音楽備忘録380 素人に可能な防音・遮音㉗
本項前回たまたま表面仕上げの話しに至ったので、今回は床以外のへも言及しとくとしよう。
個人使用前提だと見栄えを無視すりゃ仕上げ不要なのもあるが、汚損は未だしも注意すべきは破損や性能維持だ。
それともう1つは残響や定在波への対策で、これは無策だと大抵は綺麗なRoom Reverbとは似ても似つかぬ嫌な感じに響いてしまう。
この2つ等は感じの悪さを許容してもまだ危惧が残り、特にそこでばかり・だけでずっと練習してると思わぬ悪癖を招き兼ねない。
仮に50Hzだけやたらに響くんだったとすると、Bassなら4弦だけ・Drumならバスドラだけ妙に弱く奏でる癖が付いたりする可能性が浮上して来る。
こんなのを予防するには「実際出したのより大きく聴こえる」特定ポイントを退治しとくと良いが、素人でやり易いのは吸音材の適宣貼付けだ。
専門家が設計時点で計算し乍らやれば他にも方法はあるが、それは向かい合った面が平行にならない様にする等だ。
それだと必然的に箱の形は複雑になり作るのも面倒だが、何より空間効率の低下が問題となりそうだ。
またある程度響かせたいとしても大きさがそれに足りないとか、特定楽器専用となったりしがちなので自由度が低い。
では何らかの吸音材を貼るとして問題になるとしたら、狭目の箱の壁であろう。
吸音材はその第1目的からして触られたり擦られるのは苦手なのが多く、遮音自体に直接的貢献度が低いのもあって省かれる事が多そうだ。
だが定在波を空気式ブースタとかエアEQなんて風に捉えれば、余計に響かせた分余計に外へ伝わり易くなるのは覚えといた方が良い。
それから平行面を避けるってば天井と床は普通に作ると平行になるもんだが、傷対策で床に何か貼るのが当り前な分壁よりは後回しで平気な事が多い。
大抵は強度の都合で床はコンパネ(木板)・天井は石膏ボード等と、意図的に一致させない限り材質が違って来る。
すると共鳴度・反射度や共振周波数も異なるので、壁同士よりは強い定在波は出現し難い。
一方壁材は意図せぬ限り窓も押入れも付けない箱となると、この面で違いが出るとしても扉位だ。
とは云え狭いのに壁に絶対触れるなったって至難だし、フワフワのぐにゃぐにゃじゃ棚板すら付けられなくて何かと不便だ。
それには例えば左壁は板に壁紙として反対の右壁だけ吸音材を貼るとか、敢えて壁の内側に棚等を付ける際に使える柱を追加しとくなんて方法もある。
その他にも昭和に大流行した「穴開きボード」なんてのが今でもあるが、その手のであれば少し触った位ではビクともしない。
但し吸音効果もだが特に反射抑止力が柔らかいのより劣るので、最低でも壁全部位は貼らないとこの用途には多分不充分になるだろう。
又防音業者的にはなるべく何でも「置くだけにして」ってのが多かったが、それには床がかなり丈夫にしてあるからって裏付けもある。
そうするのが素人でも不可能じゃ無いけれど、最初から「普通じゃ無い重さ」に耐えられる建築になってないとどうしようもない。
これが持ち家の最下層なら建物と別に新たに地面からの支えを追設する手もあるが、1Fでも下にBFもあるだとか借りてる所だったら足りるだけ弄れる可能性はとても低いからね。
それに勿論全体の強度は考慮しなきゃ駄目だし限度はあるけれど、別個の棚を置くより少しでも一部を共有させれば軽量化に繋がるメリットもある。
この共有させては材料だってその分節約出来るけど、何より狭い部屋の場合にはかなりの差が生じると考えられる。
だだっ広い部屋→バカでかい箱だったら箱の形を維持させるのに頑強にすれば重くなるが、小さいと音さえ遮れればそれ以上の強さや重さは要らなくなる。
これは同じ様に軽量化を追及してても自家用車のボディはベコベコなのが、バスから電車…と大きくなるにつれて人力では凹ませられなくなってるので実感出来るんじゃないかな。
それとこれは空間効率や荷重の掛かり方にも大いに関係してて、特に移動が不要な物に関して顕著だ。
薄い板に力を加えた時の反応を想像して貰うと分かるんじゃないかと思うが、立て掛けた板の真ん中を押せば簡単に凹むだろう。
だがそんなヤワなのでも板の縦横方向からの押しには桁違いに強く、つまり力の掛かる向きを工夫すればそれだけ軽く安価な材料で済ませられるって事だよね。
<つづく>
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