音楽備忘録388 半導体 vs 真空管④
前回「電解コンデンサ」の問題点の続編からだが、実際に修理を任された立場での感想なのは知っといて貰いたかった。
何が困るって部品状態の確認が少し面倒なのと、石の回路だと使われてる数量がハンパじゃないのも大きい。
寿命を使用時間から推定すれば、製造後7年以上経ってて不具合が出たんなら全数交換すりゃ手っ取り早い。
だがそれをしても他にも悪い処があったら、それだけ買い込んで取替えたってまだ直ってくれない。
それでなるべく安く上げるには回路状態の全把握が必要になるが、それには回路図や正常動作時の各部電圧等のデータが手に入らないと途方も無い手間と時間が掛る。
それに加え運が悪いと修理時は無事でも修理後幾らも経たない内に部品寿命を迎えれば2度手間になるので、万全を期すと結局かなり大掛かりな部品交換が最適となってしまうのだ。
因みに電子部品の寿命は普通は経過時間では無く通算通電時間だから、使用頻度が低かったりしたら10年以上持ったって不思議じゃ無い。
けれど家電製品は国内では「6年は持たせろ」つて法があるので、それを逆手に安全策を取ると上述の様な考え方になる。
これ等の費用がメーカのサービスセンタや専門業者なら高くても何故か許されてるみたいだが、それを負担し切れないか出したくない方々がこっちにはやって来る。
こんな風になったのは平成に入ってからで昭和の内は、「気の利いた町の電気屋さん」は要望に柔軟に応じて今の俺みたいに最低限もやってくれていた。
修理担当とユーザーが地元の近所の昔馴染みであれば、何かあったら買い物帰りにでも店に寄って声掛けてで済むから生活自体に殆ど何の影響も無い。
し普段からお互いの状況も熟知してるので、その面で推測も出来ると正に地域密着利点のオンパレードな状態だった。
例えば○○さん家は暑いの平気な人達だから熱劣化の確率が一番高いだとか、□□さん家は川沿いで日当たりが悪いから湿気の影響が大きそうだとか…。
視覚には一切現れずに壊れる事のある物の修理には、こんな一寸した情報だってかなりな助けになる場合も多いのだ。
こんなソフト面に関しちゃ球でも石でもそんなに差は無いけど、旧式な球回路の方が視覚的変化が出易いのも確か。
それだけで原因をピンポイント断定は出来ないが、それこそ球切れとか電源回路の断絶時は「球が光らない」って反応をしてくれる。
視力に優れた人と明確な断線の組合せだったら、電球の球切れにテスタ不要なのなんかがその代表だ。
もし運良く電球フィラメントのバネみたいなのが途中で分離してるのを発見出来りゃ、わざわざ新品乾電池を買って来て試さなくったって故障個所の特定はもう終了だ。
この点石系で厄介さが増すのは、折角付いててもパイロットランプの供給源が回路と別になってるタイプのだ。
それだと他は全部お亡くなりになっててもランプだけ点いちゃうから、俺は自作の際例えば電源が3系統あったら夫々にLEDを繋げとく様にしている。
どれだってそうしといてくれたら親切なんだけど、業務用中の業務用の以外ではそう云う仕様になっていない。
そりゃアソコ壊れましたって言われたって、それを見た人が直せなきゃ意義は低いから仕方無いのかな。
っと脱線から漸くの復旧となりやしたが、球でも石でも電解コンデンサは大抵は使われてるのにどしてそんな差が出るかだわね。
その内「容量と耐圧が大違い」なのは概述だが、その主因は回路のインピーダンスだ。
またぞろご登場の厄介者だが増幅素子の性質から、全体的には球はハイインピーダンスで石はローインピーダンスとなる。
その実態としてはハイ君は高電圧・小電流になり、ロウ君の方は低電圧・大電流となる。
すると例えばその流れてる10秒分のを貯めたいとなった時、ロウ君の方はハイ君より飛躍的な容量が必要になる訳だ。
もし貯められる量が少なくて良きゃフィルムだとかセラミックだとか他の方式のコンデンサでも可能だが、ロウ君の要望に応じられるのはほぼ電解式しか無い。
一部には法外な価格とサイズを容認すりゃ電解以外のタイプのに置換可能なのもあるが、石だから球より小型・軽量・廉価の利点が無くなるから一般用途の売り物でそんな真似はされない。
それからすりゃ変な言い草だが「石で長寿命を狙うなら自作が一番」、ってなっちまうがどうなんだろねっと???。
<つづく>
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