音楽備忘録336 素人に可能な防音・遮音④
前回「音波の基礎知識-その2:打ち消し」の説明がちゃんと出来て無かったので、先ずはこれから行ってみよう。
これを強引に可視化するなら腕力の拮抗した腕相撲ってなもんで、その上選手が本人とクローンの対戦って処か。
元のへ丁度真逆になる分意図的に遅らせたの(逆相)と合成すると、殆ど空気の振動力が失われる。
これの詳細は過去述なので必要ならそっちを見て貰うとして、低音になる程空気の振動巾が大きいので中々大変だ。
海岸には近似目的で護岸を守るのに消波ブロック(テトラポット)が山と積まれてたりするが、イメージとしてはそれ位大袈裟に思っても良い位だ。
因みに海の波で例えば来るの行くの各5秒だと、10秒で1サイクルになる。
これを周波数(1秒間の振動数)で表すと0.1Hzになり、我々の出す騒音はそれよりは高い(短周期)からこれよりゃ小さく出来るって按配だ。
尤もバスドラのアタック等には波よりかなり微量だがそんな成分も混じってて、然るに誰もが手に持てる程度の箱(消音ボックス)数個程度ではビル火災に小便小僧状態なのだ。
自作するに際し可能なら音域的最適寸法を計算で割出すと高効率になるけど、内部にグラスウール等の吸音材を貼り詰めてやればそんなに厳密じゃなくてもそれなりに効果は得られる。
低音を風と捉えれば、兎に角思いっ切り滅茶苦茶にかく乱しちまえば良いって事あるね。
専門家だと一番ウルサイ周波数を設計値にはするけれど、3弦開放のAしか弾かないBassistなんて居やしない。
依って結局は上記「滅茶苦茶」が必要悪!?で、この面では意外とプロと素人の差が出難いのである。
消波ブロックとて同様で「波のプール」じゃあるまいし、どんなのが次に来るかは下手すりゃ神すら分らないからね。
だから整然となんか並べて無くて、極力出鱈目な並びの方が良いのだ。
これからするとダクト自体の形状も曲がり具合もてんでんバラバラなのが良いが、スペースや通気量に対する断面積の都合であまりそうは出来ない。
しかし既成量産品を羅列して完全に統一規格の連続となるよりは、「手作りに依るムラ」程度でも無いよりマシだ。
因みにⅡで台風のとかだと風もゴーォなんて聴こえちゃうけど、天然の微風はそれでわざとMicを吹かせたりしない限り音として感知出来ないよね。
これは強さや速さのエネルギー差だってありはするけど、大抵の最大原因は速度等が一定で継続したりしてないからだ。
これを強引にこじつけりゃ音程がちっとも聴き取れない、音として認知出来ないってまやかしみたいなもんだ。
でも空気の移動が無くなってはいないから、音はしないが何か風は来てるみたいとなるあるね。
因みにⅢでこの用途の消音ダクトに吸音材がマストなのは、空気視点で壁をランダムな形状とする為だ。
全く不規則に凸凹があるともし跳ね返っても全部向きが違ってしまうから、それのどれかが何某かの音程を相殺してくれるって算段だ。
勿論跳ね返り(反響)が悪い程勢いを削いでくれるからそれもあるが、吸音材って通名は本来の機能からすると今一不適切だ。
観念的に跳ね返りが減ったのを「きっと吸っちゃったから」だって発想みたいで、実際にはスポンジが水を吸う様な現象は一切起きていない。
そんな吸音材は助かる存在には違いないが、「遮る力」はその大多数で限り無くゼロに近い位持っていない。
その目的には「遮音材」が要るが、どうも紛らわしいのか一般世間での混同や誤認が激しい様だ。
遮音材の場合は極論すればどんなに丸々跳ね返してでも、通せんぼさえしっかりしてくれりゃ大合格だ。
鉛シート等がその代表格なのは隙間が無いのは当然だが、比重が重くて振動し難いのも含まれてるからだ。
毎度の論法で行くと超低音≒振動と明確な境界なんて無いんで、中の震えが外へ伝わる≒音漏れとなるから。
でもそんなん言うたって薄い膜じゃって思うのはご尤もだが、壁板と「震え方・震えやすい周波数(これが所謂固有共振周波数)がズレてるだけでも伝わり難くなるのよ。
差し詰め敵軍に仲間割れさせて戦力低下させる作戦みたいなもんか、或は伝言ゲームの途中に絶対訊いたままを言わないひねくれ者が居る様なもんか。
純粋な理想としては何があっても完全に微動だにしない重く頑強なので囲うのが良いが、分厚い鉄筋コンクリートで作ってすら完全にとなると厳しい。
<つづく>
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