音楽備忘録360 ヘッドホンと体格の関係Ⅳ
では続けて真横視点での耳の大きさ角度より、もしかしたらもっと問題なのへ進んで行こう。
それは「耳の立ち具合」とでも言ったら良いのか、正面視点での左右への張り出し或は真上視点からだと耳後部の飛び出具合とでも…。
これヘッドホンとの関係では頭からの突出程度が問題点で、出っ張りが大きい人にとってオンイヤータイプだと半ば拷問器具と化す。
ヘッドバンドの締め付けが最弱のだったとしても、柔らかい耳は大抵裏が頭にくっ付く位迄圧し潰されてしまう。
そうなると自然体の時とは大巾に違うので、たったこれだけで連続して被っていられる時間はとても短縮されてしまう。
この点で本邦の業界スタンダードがオンイヤータイプなのは極論すれば人種差別の一種で、或はじっくり聴かずにサッサと終えてしまうチャラい連中が主流派だからだろうか?。
尤もオーバーイヤータイプとて内部深さが浅かったら無圧とはなってくれず、体形に依って負担を強いるのに対する配慮はどうも軽視されがちな様なのは残念だ。
ここで特に機器制作サイドに物申して於きたいのは、決して我慢さえすれば済む様な案件なんかじゃ無いんだって処だ。
これは耳穴部分の前方のヒレみたいなのが大き目だったりする人だと分かり易いんだが、状況に依っちゃ頭へ向かって押すと耳穴開口部が狭くなったり最悪だと塞がったりする事だってあるからだ。
ドラムスローンでもギターストラップでも整合調整がどれでも可能化されてるのに、楽器メーカのM社やR社のヘッドホンにすらヘッドバンド以外の調整機能が用意されて無いのはどうした事だろう。
更に罪深いのが所謂評論家の主流派の連中で、本来ならこうした部分に対しての言及がもっと多くて然るべきなのよ。
悪いけど兼業の人なら未だしも、音響の非専門家が電気や音響の部分に対して偉そうな事を言ったつもりでもそんなのたかが知れてるんだよな。
では技術者が何でも勝るかってば全然そうでも無くって、実使用時の体感だとかそう云う面に対しては却って非専門家の方が理屈に左右されなくて良い部分も少なくない。
Guitarとかだったらプロ奏者がインプレを兼務するのが多いからか、音は抜群だけど重過ぎるのが難点なんてのは何処にでも溢れてる情報でしょ。
欲しがりません勝つ迄はが成功した試しがあるのかそもそも大変疑わしいが、本件でどうにも無視出来ないのは体が「マトモに聴ける状態」を維持出来てるかどうかなのだ。
耳穴を始め耳たぶでも何でも耳の形状・寸法諸々全てには、音響上の作用が必然的に備わっている。
故にそれを下手に弄られてしまえば特性も変わってしまうので、ヘッドホン自体の性能がどうだろうと意味が無い。
なのでスタンダードは無いよりあった方が良いのは確かだが、それが誰に対しても本件で同じにならなけりゃ実は皆夫々が却って「違う音を聴かされる」事になってるのよ。
ではインナーイヤータイプなら平気かってば影響箇所はかなり絞られるけど、そもそも突っ込んだ時点でもう非天然状態だし穴の深さを補い切れていない。
とは言え文句ばかりでも仕方ないからじゃあどうしろってんだってば、なるべくどんな耳の人でもそれを改変しないデザインになってるのが相応しいとな。
重さや大きさではとても不利が増えちまうが、大耳さんでも楽勝で中に収まりユニットが思い切った遠目に付けられてるのだと良い。
上記が何で「思い切った」なんて表現をしたかってば、近い程音量その他の効率的には有利だからだ。
聴取距離の2m:1mと2mm:1mmを比べると、数学的比率では単に半分になるだけだから同じ感じになりそうな気にさせられる。
が音の場合1m以下になると聴こえの変動が顕著になる性質があるし、ヘッドホンの場合中途半端な離し具合だと使用者の耳次第ではある筈の隙間が無くなるケースだって考えられる。
なので最低でもどんな大耳さん飛び出し耳さんでも、絶対にくっ付かない位離れてないと近似環境の達成は困難になるのだ。
尤もそれには現代常識からしたらかなり大柄となってしまうので、少なくとも新製品でそんなのの登場は見受けられなくなっちまったがね。
<つづく>
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