音楽備忘録287 音楽のテレワーク④
前回「含めた」の後部で何やら雲行きが怪し気になってるが、Drum録音に関して少々「愚痴の元」を抱えてたりもしたからだ。
自粛要請のお陰で自動的にその厄からは離脱出来た様な格好になってるが、そもそもの発端は今や音楽は記録するのが当然の物になったからかも知れない。
オジサンの懐かしい記憶に依ればかつては奏者側が録れるのはせいぜい練習を簡便に程度で、設備・機材・操作スキル等の事情で本チャンは専門家任せにするのがデフォだった。
俺の場合は金無し技ありと特殊境遇だったから今と大差無かったが、それでも機材の高価格の影響は免れずにいた。
今だって「ちゃんと分かってる人」がそれなりの機材を使うとクウォリティに差が付くが、スマホのみでも一応鑑賞に耐えられる程度の動画が録れちゃうと時代は変わった。
こんな今の環境で苦しんでる!?筆頭が私見ではClassic系の方に散見されるが、弾くだけなら電気・電子機器の操作なんて不要だったからだろう。
従前のアマチュアならせいぜい防音室の照明と空調が、最低限弄れればそれで事足りてただろう。
稀にはご身分次第じゃそんなのは全て下僕が整えてて当り前だったりして、そうでなくても家のリビングで弾いたりするなら誰か先に居れば既に環境は整ってそうだ。
尤も近年では欧州では木の保護目的で紙の譜面の使用頻度が著しく低下し出してて、こっちでも若い目のプロでは荷物等の都合で電子化して持ち歩いてる人も増えつつある様だ。
それでもPC系でメールを打って送るのと、音や画をキチンと記録するのでは結構な違いはある。
楽器趣味人の中には個人でひっそり楽しみたい人もある程度は居そうだが、そうでも無い限りはアマチュアでも自らの無発信は色々と不遇を生む様になって来ている。
特にそれを顕著に受けてるのがClassic系の音大生等で、大衆には少し敷居が高いのとJ-POPみたいな人気は無いのが災いしている。
例えばアニソン・ボカロ・ゲーム音楽が好きな者は大抵ネットや電子機器にも明るいが、古典系ではお客さんの方もこれらに疎めな人が多いと2重苦だ。
尤も近年は一部音大等では学校側が率先して動画を上げたりもしてるが、沢山上がってるとか直に見つけられるとなればお客側の状況も徐々に変わって行くだろう。
まあこれもある意味どれだけ瀕してるかもあって、もしとても世間的にマイナーなのを演ってたら人気度不問で片っ端から動画や音声ファイルをネットへ上げようとしてるだろう。
又例えば打込みみたいにLiveパフォーマンスがほぼ皆無だったり無理だったりしたら、完成作品の露出以外に世間に音を直にお披露目する方法が無いんだからね。
こうした芸術系作家の中で今時自発信をしなくてもセーフなのは、コミケ等の趣味の大会が安定開催されてる様な類の限定と思われる。
それだって漫画も原作なら大丈夫でも画を描くだけの人だったら、個人だけで完成作品を作れないから無発信では埒が開かない。
これが音楽だと作曲家でも今は譜面だけの発表では読取りが限定されるし、不特定多数がそれを見にやって来る様なイベントも皆無に等しい。
となれば仮に楽譜だけだったとしてもせめて自分で誰でも見られる様にしとくべきで、そうしてすら音や姿の印象が残せないんだから動画全盛の中ではとても苦しい。
だがそんな手間を面倒だと一蹴しては怠慢で、それは過去と比べたら一目瞭然だ。
実際体験した期間割合が多かったが昔だったら多重録音や打込みは簡単には出来なかったから、メンバー不足の時は何も正規のお披露目は出来なかった。
だからって妥協して誰かに協力して貰っても、意図の反映が不充分でこっちのイメージが伝え切れない。
或は単独弾き語りにするにしてもそれが正規のスタイルの人じゃ無いと、例えばコーラスも売りの一部にしてたりするとそこが披露出来ない。
それである程度の規模が要る人から積極的に取り組みだしてるんだろうが、近年みたいに生のジャムセッションや飛び入りが減って来るとソリストだってもう他人事では無い。
場の問題だけじゃ無く年寄り観点からだと一番気になるのは所謂「スタンダードナンバー」の衰退で、知らなかったり弾けなかったり共通事項が不足し過ぎてるのが何よりヤバイ。
これは実は個人発信に限らんが、誰でも知ってるので誰も知らないのを披露出来てこそ真の個性と言えるのに繋がっているからだ。
仮にどんなに個性的な音が出せても素人や初見さんは、曲のせいか編曲のせいか演奏のせいでそうなってるのか直ちには判別出来ないからだ。
<つづく>
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