音楽備忘録199 リアルとバーチャルのせめぎ合い④
今回からバーチャル化に依って疎か!?になりつつある部分に言及してくが、奏法とMixの両方で最近痛感させられている。
その殆どはリアルでしか不可能だった時代に感覚に頼って加減してた類ので、感覚を正しく数値化するには新たなスキルが必要そうだからだった。
例1:Fade In・Fade Out
ウチの従兄は何故かスライドボリウムの操作が苦手だからデジタルバーチャルの方が良いなんてほざいてるが、気持ちは分かるがそりゃ怠けてるだけだと敢えて断罪しとこう。
機械任せの方がミスの起き様が無いのは優れてるが、実践的にそれが有効なのは単純な動作の場合限定だ。
Fadeさせるのも短時間のならどっちでも大して問題にならず、その極例はスイッチOn/OffのClickノイズが出ない電子式だ。
電気ってのは突然電流を流そうとすると、勢い余って突入電流って流れ始めだけ普段より多く流れる性質がある。
そこで電子SWでは人耳には判別が付けられない程度の極短時間だけ、意図的にFade In・Fade Out動作を密かにさせて雑音が出るのを回避している。
これの逆となる長時間のFadeとなると増減の量がシビアになって来て、極力音量変化が気付かれ難いのが良い。
ここで音響屋として気になったのは上げ方・落し方の基準で、音と電気では信号減衰の仕方が正比例して無い点だ。
俺の場合落して消してく場合に普段最初は一番小音量で入ってるのを基準に、聴こえなくなって行く度合いがリニアに感じられる様に手加減している。
その後も同じ手順で進んで最後は一番大きく入ってるのが聴こえなく…つまり最終的に無音に至るが、耳に自然な減衰としたい場合はこんな基準でやっている。
単純理論では一定速度でFaderを動かせば良いんだが、そうすると大抵音は滑らかに減衰してくれないのは上記理由に依る。
そしてこれをパラメータ化しようとすると案外複雑になってて、技術的に可能でも正確に割り出して打込むのがかなり大変な作業になりそうなのだ。
耳頼みのリアルでなら慣れさえすれば誰でもある程度は出来る操作が、バーチャルにすると誰がやっても必ず結構な手間暇を要するので考えものなのだ。
振り出しに戻って従兄の愚痴のアナログ時代の結果に触れとくと本人には辛く不本意だったかも知れないが、俺にはバーチャル化で好結果になった様には一切聴こえて無いんだが…。😓
例2:場所次第でReverbの深さを任意に増減
今手掛けてる曲のリードギターにこれをしたくなったが、慣れもあるにせよPC内のバーチャルでは実に面倒臭かったわ。
何をしたくなったってば一番最後Hand Vibratoで余韻を引っ張ってる所へ掛けたくなったんだが、リアルの場合なら余韻が小さくなるのに応じてReverbへの送りを増やせば済んだ。
オールデジタルだってリアルタイム操作は可能ではあるが、汎用PCでそれをするのは一寸はばかられる。
それは映っている画が変化する時に僅かでもノイズが出るからで、画像用と音声用のCPUは共用で独立してないからおっかないのだ。
これだけなら実際は平気な場合も多いだろうがもう1つ懸念があり、変化させたい速度やタイミングが意図通りにならないケースも多いからだ。
PC系は総体的には全て高速だが構造・構成的に、僅かでも一定では無い遅延が付き物だ。
今回は従兄との合意事項!?もあったから何とか妥協点迄持ってったが、手間に対する出来栄えとしては甚だ不満が残っている。
上記の「一定では無い」は絶妙な加減をするには完全な邪魔者で、デジタルでも独立機の集合体だとまだマシそうだ。
その昔俺等今はオッサン達も若い頃は、オールデジタルだともっと色々出来てと夢を見ていた。
実際に改善点も多く一概に批難しはしないが、現状は想定よりも不便になった部分がかなり多かった。
弾くのも録るのもとても大変な楽器が今でもまだ生き残ってるのは恐らくこの辺のせいで、単に○○の音が入ってて聴こえりゃ良いなら打込みでも充分だ。
しかし少しでも拘りが出て来ると現状では急に難しくなったり時間が掛り過ぎたりな上、一等問題視すべきは初めてそんな小技に挑戦してみたくなった時ではないだろうか。
あまりにやり辛ければ未体験なのだと諦めるしか無くなる場合が多そうで、そうこうしてる内に何時かやってみようを忘れてしまいそうな気がする。
それが積み重なってくと折角既に開発されてる様々な技がすたれちまったり、その結果機器性能が上がったのにMixの質はどんどん低下してしまう。
現代環境に適した技だけを駆使する様に人間の方が変更するのも一手段かもだが、得意を有効活用するのとやりたい事を我慢するのは決して同じとは言えない。
古い機器を持ってたり使えたりする人は良いが、新しいのしか使えない人にとっちゃ熟考すべき問題の様な気がする。
<つづく>
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