音楽備忘録207 電磁Pickupの強弱に対する反応③
続いて具体的な上手な音色設定を例示しとくが、これこそが音色の用途適正の正体だ。
その前に参考プチ余談としてGibsonハムバッカーとMarshallの、コンビネーションについてだうぞ。
この組合せの音色的な当初目的は充分歪ませる事だったが、それだけで今に至る迄王道化した訳じゃ無い。
趣味嗜好以外の部分で音色バランスに優れてるからで、歪みの音色だけじゃ無く音程感にも大いに貢献してるからだ。
先ず弾く音程に左右されず安定して歪ませるには、Ampのトーンセッティングは極端なHi上がりが要る。
電磁Pickupの基本性質として低音程良く拾うのがあるせいで、これは磁気テープのヘッドなんかでも全く同じ傾向がある。
面白いのは同じ電磁変換でもレコードのPUだと磁石又はCoilの方が動く仕組みになってるが、そうなると高域程良く拾えると性質が逆転している。
それでレコートでは盤由来のスクラッチノイズ:パチパチを除くと雑音は「ゴー」(つまり変換装置由来の雑音)で、テープのそれは「シー」が主体になってるのだ。
それは兎も角Fender+Marshallだって決して駄目じゃ無いが、音程の聴き取りを確実にするには上手に調整しないと刺激的過ぎる倍音過多状態に陥り易い。
余談大王の面目躍如で遠慮無しにも1つついでで行っとくと、Johnny Winterの変態セッティングがある。
これ聴いた感じは全く極普通だが、AmpのToneツマミはTrebleだけフルで他は何とゼロである。
但しこれはAmpはMusicmanにGuitarはGibsonハムバッカー時限定で、本人談によりゃAmp歪ませをするには良いGuitarなのにGibsonハムバッカーは低音が出過ぎてるからなのだそうだ。
いい加減で本題へ戻るがこの様に所望音色の為でも、両方をその性質に特化させちゃうと音程感が不足して非実用的になるのが電磁Pickup式楽器の特性なのだ。
これがGuitarより低い音域も持つBassやエレピでは、何でもすぐに歪んじゃ困るし低音を思い切り減らすのもとっても困る。
しかし歪みは倍音増量には手軽な有効手段なのにさてどうするで、「Ampじゃ無い所」でコッソリ歪ませてしまえって作戦が磁気歪みの活用だ。
前述の通りリッケンBassは他のよりゃAmpで歪むのに強いけれど、その実態は掛けてる保険の補償額が多い契約になってるって程度の物だ。
だから極限悪環境下では助かっても理想環境下ではこの面ではプラスにならず、タッチ感を前面に出してらしさを演出するには中域を好きなだけ増し盛り出来るFender系がより好まれてる訳。
だが楽器単位では無くアンサンブル単位の視点に立つと、他パートが出せない責任担当音域がどう出せるかはとても重要だ。
その為Fender系Bassを実用的に使うには、低音がタップリ増やせるAmpと組み合わせるか他パートの低音の量を控えて貰う施策が取られてるケースが多い。
前者は本家FenderやAmpegのAmpで、後者は’70~’80年代にかけてのLAサウンド等が典型例だ。
但しスラップBassなら元から打撃音成分を欲してるから良いが、滑らかさが欲しい場合に前者組合せだと弾き方はかなりシビアになる。
後者の場合は爽やかさには勝るが低音の量が多いアンサンブルが欲しい時には難儀させられ、どちらも気軽に何でもそのままでって訳には行かなくなる。
依ってローエンドの充実もタッチ感も欲しくても、弾くの自体が貧弱過ぎる近年本邦J-POPでFender系Bassが主流ってのは俺の目には愚の骨頂なのだ。
合わない楽器で合わない弾き方で得られた望まない音色を、無理して必死に何とかするのは大変だ。
それで原形を留めない程の加工を要してるんだろうが、そこ迄苦労しても結局元からなってるのにはあっさり負けちまう。
せめて軽く弾いても明瞭な音色が出せる楽器があるのを知ってたら、そしてそれを使えてたならもっと楽に音楽の内容に専念出来て良いと思うんだが。
<この項終り>
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