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2020年2月17日 (月)

音楽備忘録194 On Mic収音に適した太鼓奏法④

前回後半は一寸ハード寄りになったが、奏法が音色で制限されると何かと困るもんだからだ。
それは収音や楽曲の細かい都合に合わせた手加減が利かなくなる処で、合せてドラムヘッドにも言及してこう。

楽器の音色は安定してる程音響の設定は楽にはなるが、これは諸刃の剣でしか無い。
設定・調整が楽になるのも弄れる処が少ないのの裏返しでもあるから、運が悪いと後もう一寸だけ○○に出来れば良いのにが無理になるからだ。

特にCymbalは太鼓みたいに皮の締め具合での加減要素が無いから、ミュートの他はせいぜい演奏性を犠牲にしてでも角度を変える位が関の山だ。
因みに太鼓だって角度を変えると少しは音色が変わったりもするが、対Cymbal比では皮は重さが無いも同然だからOn Micにしてたら殆ど分からないだろう。

もしハッキリ変わるのがあるとしたら実際大昔の安物にゃそんなのもたまにあったが、そんなのは単なる胴(シェル)とかの強度不足なだけだ。
万一そんなので何とかしなきゃなんなくなったら、ラックタムでもRimsやSnare Standみたいに「胴では保持しない」様にするしか無い。

特にローピッチにしたい時やシングルヘッドのだったら尚更で、こう云う場合は変形抵抗成分となる皮の張力の減りも結構バカにならない。
と来た処でその「皮」の適正に行くが少なくとも体験からは、最初から何かが貼ってあったり強度の倍音抑制処理がされてるヤツは不向きだ。

皮「ヘッド(本革以外製のも勿論含む)」はミュートがどうとでも出来んだから、倍音は足りなくなるより余ってる方が特に録音ではマシなのだ。
皮の厚みや打点の硬さでアタック音にも少しは違いが出るが、そっちへ気を取られ過ぎるのは考えものだ。

概述だがノーミュートのCoatedとかClearヘッドでも、高遮音性(特に高域が)ヘッドホンを被って聴いてみりゃエエ。
この場合は敢えてヘッドホンには何も流さないか、少なくとも太鼓の音は流さずにだ。

要は耳の側で倍音ミュートをしてる様なもんでこうするとあれだけBrightにしか聴こえて無かったのに、想像よりはかなり低音も一杯出てたのが分かる筈だ。
万一これで全然低域が無かったなら別だが、出てた場合はヘッドミュート次第でそんな音にも出来る証拠となる。

例えば今の従兄のケースだと奏者本人希望でバスドラにCSを使ってるが、もしかしたらそれがこの前のEQ案件と絡んでると俺は睨んでいる。
現況位相の都合でバスドラは両面張りのフロントヘッドから収録してるが、例え打面裏側収音に変えたとしてもCSは最も裏面にアタック倍音が伝わり難いタイプだ。

それと従兄は飽く迄奏者聴点での音色で選択してるので、そのまま録りたいなら打面打点側へMicを立てて位相は逆転(向きが正反対になるから)させて然るべきだ。
この辺は趣味嗜好にも依るんだろうけど、俺的には太鼓の音は普通はセット全体正面からの音を基準とすべきと考えている。

叩く都合で主にそうなってるにしても、On MicでもMicは奏者とは対面の向きに普通はしてるよね。
だからもしDrummerにとって奏者位置で最高な音色なのを変えたく無いなら、究極はダミーヘッド録音だ。
と言っても奏者の頭がその位置にあってダミーじゃ無いから、奏者自身にその耳と向きも位置もほぼ同等となる様にMicを付けて頂きましょうか。

けどそんなの大変で非現実的よねえ、叩く都合とかで顔の向きを変えたくても動いちゃ駄目だから。
だってもし一々叩く方を向いちゃったら、例えばTomが全部センタ定位になっちまうから。
なので音響屋としては普段は未だしもせめて録音時位は、もっと他人に聴こえてるであろう音を基準にして貰いたいもんザンス。

そして具体的に大抵は奏者耳より他パートや観客位置では、倍音は小さく聴こえてる場合が多い。
それで思い出したけどこの辺も録音技師と奏者の意思疎通に障害してる場合があるので、もし奏者側での音がベストだったら技師に叩いてる後ろに来て貰ってその音で録ってと一言言ってやっとくれ。

上記の上で奏者側も技師が「録るとそれだと籠っちゃう」なんて言われたら、生耳には倍音過多に感じられても是非指示に従っとくれ。
まっとうな技師なら「録ったのが生耳と同じ」なる様腐心し、録る側だけじゃどうしようも無い時にそんなお願いをしてるので。

因みにⅡでこの点では一寸お題に反するが、敢えて手加減等で変更せんでよ。
余計な事を意識して実践すると普段のその人のらしさは、大抵スポイルされるだけだかんね。

因みにⅢでもし普段のが録音に足りて無い奏法でも、録る時だけ何とかしちまえなんて横着は通用しませんぜ。
録って無い時でも常にいい意味で意識し乍ら調整しといて、いざ録る時は無心になるのが一番ええねんで。

因みにⅣで応用が効くとか対応力に優れるのは素晴らしいが、実際はそれって天才だからとか神懸ってるから出来るんじゃないのよ。
簡単な話しそれ迄にもちょくちょく演ってたから、すぐに簡単に出来ちゃうってのが構造的には真理でせう。

<つづく>

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