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2020年2月28日 (金)

音楽備忘録205 電磁Pickupの強弱に対する反応①

リアルとバ…は未だ終って無いが告知通りお題案件へ行くが、特に近年本邦では一部のお利口なBassist以外は気付いて無い様なので力説させといて頂こう。
今回キーワードは「歪み」なんだがそう言うとほぼ全員がAmpとかEffectorのでしょってなるけど、違わぁ~いッ!!。

それは言うなれば「磁気飽和歪み」でAmpのみたいに分り易く無いが、電気楽器の強弱表現の点ではこれがとても貴重な現象なのだ。
毎度の回りクドさでスンマヘンがそれには人の音量感覚の予備知識が
必須で、これは何故生楽器よりかなりダイナミックレンジ(最大・最小音量の差)の狭い電気楽器が生と共生出来てるかに繋がっている。

実際剛力Drummerに最強爆撃を喰らえば電気楽器なんて殆ど聴こえなくなっちゃうが、それさえご遠慮頂ければそれなりに対抗出来てるのも事実だ。
それには音量の代わりに何か電気楽器の音に加勢してる成分がある筈で、それが特に普段Ampでは歪ませないBassの場合にかなり顕著に表れている。

中でもFender系のを指で弾いてる(スラップ含む)のが典型的だが、Brightな音色のRound弦を張ったって軟らかい指先で弾いたんじゃ幾らも倍音増量は出来ていない。
それなのに何で派手な音色のDrumやStratのキラキラハーフトーン等に混じってアンサンブルっても、それなりにアタックの明瞭度が出せてるかだ。

先ず電磁Pickup式の楽器は音量や感度を上げたきゃ、磁石はより強くCoilはより多く巻いてやれば良い。
けれど実用的バランスの範囲があって、もっと増やしたくてもおいそれとは出来ない事情がある。

磁力については強過ぎると音源たる金属体の振動をスポイルして、弦楽器なら余韻をどんどん短くしてっちまう。
Coilの方ってばバランスを超えると必要な高域が拾えなくなって行き、この面で電気的には理想よりかなり妥協したレベルに抑えられているのだ。

その結果特に磁気容量は必ずしも発音金属体の最大振幅には対応し切れなくなってて、磁界が飽和して歪みを発症する事も暫しだ。
これはオーディオトランスの歪むのと同じメカニズムで、レベルオーバーで増幅素子がクリッピング(音波形の「頭打ち」現象)するのとは又趣が異なる物だ。

具体的には音はひずむってよりオーバーした分は、正に「ゆがむ」って感じだ。
それに依り露骨な音割れ感は出難いしちっとも刺激的では無いが、特有の倍音が加算されている。

この科学的には望ましくない性能不足も、実際にアンサンブルしてみると結果オーライだったから敢えて特には改良されぬままの場合が多くなっている。
それはPUのダイナミックレンジがもっと拡大出来ても、少なくとも昔のAmpでは追従し切れなかったからだ。

つまり結局はPUかAmpのどっちかで歪んじまうので、テキトーな処で妥協させてたのが実態だ。
そしてここからが本日の核心なんだが、この俺言い「磁気歪み」が起きた時の音色は音色演出の為のコンプを掛けたのに一寸似ているのがミソなのだ。

具体的にはある程度以上の強さのある指弾きBassのアタック音にこれが豊富で、しかしFender系以外のBassだとあまり多くは得られないものだ。
その原因はPUのポールピースと弦の「近さ」のせいで、近いけど磁力は他との比較では弱目である。

遠かったり磁力が強かったりすればPUでは中々歪まなくなるが、上記の如くその分Ampでは歪み易くなる。
因みに俺知りだとPUで歪み難いのはRickenbackerが象徴的だが、そのせいでBassではタッチ感の演出がし難いのもあってFender系が多くに好まれてると思われる。

これは同系列のエレピのRhodesにも当て嵌まり、特に低い方の鍵盤での強く弾いた際の磁気歪みは音色特徴の大きな一部となっている。
実際ボリウムツマミを上げ過ぎてればAmpでも歪むけれど、その時は磁気
歪みだけのより明瞭度や音程感を著しく損ねる場合が多い。

実用上はそんなに厳密に設定する必要は無いが、リッケン以外ので少なくとも歪みが磁気のよりAmpのの方が上回ってたら明瞭度・音程感に無歪み時とは結構相違が出て来るのは確かだ。
何れにしても弾く強さでこの面での音色変化もあるお陰で、限られたダイナミックレンジでも生楽器と何とか渡り合えてるのである。

<つづく>

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