音楽備忘録160 真空管って何であんなに高電圧?
ここでは何度か紹介した球としては最新のKORG Nutube 6P1、他のよりゃ軽く小さく低電圧で動くがそれでもUSBの5Vなんかじゃ全然足りない。
真空管ってぶつけりゃ割れちゃうし熱くなるし石より大きいし、何より電灯線より高い電圧で駆動しないとマトモな音にならないのが一番厄介だ。
近年では低圧動作させるのも出ては来てるが、球独自の「元気一杯なのに硬過ぎず耳に馴染む音色」がそれじゃ得られない。
これは熱電子を飛ばす原理上仕方無いんだが、実は石の半導体でもFETでまともな音が得られる様に使うにはトランジスタや低圧仕様のICよりは高くしないとならない。
極初期のストンプ(Guitar用コンパクトEffector)のFuzzでは、ゲルマニウムトランジスタを使ったので電池電圧は3V(単3×2)だった。
このゲルマニウムのは今のシリコンのより低圧から動作可能だが、過激に歪ませるには増幅率も電源電圧もそれでは足りなかった。
その結果高価格で近年一時期入手性がとても悪かった006Pって角型9Vのが標準となったが、9Vあれば多数のFETやオペアンプICも使えるのでそのままになった様だ。
体験的に増幅素子は規格の範囲内で高目の電圧で駆動しないと、どうも実音より反応が遅れて音色を損ねてる様だ。
そして高い電圧で駆動出来る素子程音色改変(改悪若しくは劣化)が少ない様で、だから石の半導体でも電流増幅型トランジスタより電圧増幅型FETの方が高電圧となっている。
音色は素子だけじゃ無く回路設計の可否や各自の好みで評価は割れるもんだが、元のにどれ位近いかを基準にするとこの傾向は100%適用だ。
とは言えもっとずっと低電圧でも音は鳴らせるんだからその点じゃ非効率な話しだが、そもそも音のメカニズムを考えれば音自体がとても非効率な物だ。
音→空気の振動は意図的制御をしてない場合、音源から全方向の空気が揺すられている。
耳に届くのはその極一部しか無いんだから他は不要な気がするが、メガホンなんか使えば声色に妙な癖が付いて音色が変わっちまう。
それで無駄でもそこら中へ音はぶちまけさせるんだが、人間になら聴こえるのは耳だけでもまだ体感ってのがあるから少しは有効そうだ。
だが生以外のを聴くにはMicで拾うしか無いが、Micはその空間に充満してる音の極一部・極僅かしか拾えない。
そりゃ壁一面がMicなんてのも作れなくは無さそうで、もし部屋の床・壁・天井全てがMicだったら出た音の殆どを拾えるかも知れない。
けれど持ち運べないし普通の部屋って直方体なので、反対面は見事な逆相になるから電気的にはとても困った事態となる。
だいいち人耳とは著しく違う聴こえ方がするだろうし、ステレオ感はどうやって出すか・その恐らく膨大なData量をどう捌くか…。
これに近い発想を取り入れた物としてサラウンドの他、最近はバスドラを音と風圧を個別に拾うのも流行ってる様だ。
尤もスピーカはどう頑張っても扇風機みたいな風は起こせないので、音としては目立たずあまり聴こえなくても実際には含まれてる低域をウーハ(低音用スピーカ)を逆利用して拾っている。
とチト長くなったが要するに大抵は音は極一部しか拾えないから、それで得られるエネルギーはとっても小さいって言いたかったのよ。
Micの変換効率が低いのもあるが元手がそんなだからPreampとかで増幅するんだが、この時電子回路では電流より電圧でアシストするのが向いてるのだ。
凄く小さい音をちゃんと拾うには高感度なMicが要るが、現状でそれに一番合致してるのはコンデンサタイプだ。
コンデンサMicは電源が無いと動かないが、同時に多数使う場合が多い時の為にファンタム電源ってのがある。
ファンタムの規格電圧は48Vだからそこそこ高圧だが、殆どの真空管を駆動するには全然足りない。
石の半導体を動かすのに普通なら9Vもありゃ足りるのに、どうして48Vなんて半端に高いのか?。
これは規格制定時の汎用な石の半導体の多くはその耐圧が50Vなのに由来してて、誤差で石を焼かぬ様2Vのマージンを取った訳だ。
ここで戻るが極小音対応でコンデンサMic→ファンタム48Vって、つまり音が小さいから限度枠スレスレの高い電圧が欲しいって事になる。
そこで高電圧と云えば何たって真空管で、実際に球コンデンサMicを使ってみてそれを露骨に体験させられた。
のを次回乞うご期待!?。
<つづく>
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