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2019年12月26日 (木)

音楽備忘録141 電子部品と音色の関係Ⅰ

電気楽器より電子楽器更には生楽器の人には影響度は低下するが、現代日常では生楽器・生演奏のPAレスLive以外では音楽屋の誰にでも共通案件だ。
少しでも好みの音色へ近付ける一手段として、願わくば苦手だったり興味が無い方にも知って貰えれば。

最初に本案件にまつわるお断りとして、回路構成等に依る音色の硬軟は除外させて頂く。
色んな要素を一度に論じて分り難くするのを避ける為なので、回路については気が向いたら何れ別項で。
では先ずは選択の問題点から始めるとするが、近年全盛で一般的なデジタル機器をそのまま用いると殆どその余地は無い。

デジタル回路では1つの部品が担う役割がアナログより少なく、その分膨大な数量が必要なので嵩張る部品は不向きなのだ。
その為実はデジタル回路理論自体は真空管の時代に既に基本は確立してたが、サイズやコストの都合がとても悪かったから普及させられなかったのだ。
象徴例としてスマホの実現は、電子回路や素子の高度集積技術が進展した賜物だ。

機器の小型化には多くの利点があって可搬性の他にも、エネルギー消費低減や材料節約にも貢献してるのでその点では好ましい。
しかし使える部品は省エネで小さいの限定となるので、条件に依ってはこれが障害になる場合がある。

また時代や思想の違う部品を混在させると、例えば他のとは違う電圧・電流の電源が必要になったりする。
そうなれば先ず
コスト面で不利になるし、各々の長所が喧嘩になって割りの悪い機器となってしまったりする。
なので一頃よりはハイブリッドのも増えつつあるが、用途限定の極一部の例外以外基本は混在させないのが通常となっている。

これが音楽屋にとっちゃ残念だが「音色」面の問題は半分取残された様な状態で、私的にはそもそも音が空気の振動って不確定要素の多い物だからではと睨んでいる。
以前拙ブログでも電気楽器の項で原典は真空管Ampを基準に設計されたのも述べたが、もしエレキ開発当時に半導体Ampしか無かったらそもそも今みたいに普及しなかった可能性も拭えないのだ。

さて今回俺が提唱する仮説!?は「伝わり方」に焦点を当てたもので、モノホンの生の音はそもそもどうやって音源から耳へ届いているかだ。
物理的には空気の振動が伝播してるんだが、空気自体は例えば「右から押されたのでその分左を押しちゃった」なんてあたかも究極のイエスマンみたいな動きをしている。

空気はホントは地球の引力等で保持されてるんだが、普通地上に居る者にとっては全く自由な存在と考えて良いもんだ。
存在感の薄い人を「空気みたいな」なんて比喩する事があるが、風等の現象が起きて無い限りは自分から積極的には動かない存在である。

電子部品の内部で電子の動きがこれに一番近いのは真空管で、管内の真空中を本当に電子が飛んでいる。
電子は肉眼じゃ見えないのが惜しいが、真空管内にある鉄板や針金みたいなのの「くっ付いて無い間」をホントに飛んでるのである。

それがトランジスタやIC・LSI等所謂「石の半導体」となると、それが導体にせよ半導体にせよ決まった通り道があってそこを電子は伝わっている。
故に地上交通に置換すれば真空管は自動車・石の半導体は電車みたいなもんで、後者は道を外れる心配が無い代わりレールに依って動きに制限が掛ってる訳。

音だって管楽器やスピーカにダクトみたいなレールが少しはあるが、耳迄繋がってるのは昔の大型船の連絡機器だった伝声管位しか無い。
管を通した声が普段耳にしてるのと違って聴こえるのは、メガホン等を思い出して貰えば何となく想像出来そうだ。

因みに戦艦大和みたいな巨大船→凄く遠くなのに只の管なんかでどうして何とか声が届くかってば、入口で押された空気の出口が管の反対側しか無いからだ。
だからメガホンみたいに出口が相手に届いて無いのだと、何も無いよりは遠くでも聴こえるが伝声管よりは大分到達限界が低いのだ。

また真空管は真空と温度・電圧を上げる事で電子が「勝手に自分で」飛び易くなる環境を作ってるだけだが、石の方はバイアス電流って言わば登山ならガイドさんが同行しないと動けないシステムとなっている。
因みにⅡで真空管のバイアスは電圧で竹馬に乗せた様なもんだが、石の方はガイドさんが電子を半強制的に引っ張って行くイメージだ。

するとお客さん(この場合は電子)がお疲れの場合真空管では飛び→伝播が悪くなるが、石の場合はちゃんと出口まで連れてって貰える。
故に動作の確実性では石の圧勝であるが、お客さんの微細な状況はそこで分からなくなってしまう。

これが音楽の場合は意図的に疲れた音色なんてのも使うので、それが改変されては困るのだ。
またもしお客さんがガイドさんより遥かに屈強だったとして石では同行が原則なので、今度はその強さが損われてしまうのだ。

現実には電子部品屋さんはなるべく上記の癖が出ぬ様必死に努力してるが、素子動作原理を考えると音楽にどっちが向いてるかは実は歴然なのである。
目的地へ行くのに徒歩では草臥れて大変だが、どんなに乗り物酔いが酷い人でもその心配が無いって按配で御座居。
もし疲労度ゼロの乗り物でもあるなら話は別だがね。

<つづく>

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