音楽備忘録56 寿命Ⅰ
近年では音楽界でもパソコン等電子機器を道具として使うのが当たり前だが、それ等の寿命とミュージシャンにとっての対応等についてひとくさり!?してみよう。
今回執筆のキッカケは従兄宅のノートパソコンのキーボード部と拙宅では何故か冷蔵庫なんだが、何れも普段は壊れる事だってあるのを忘れられがちな部類かと思う。
一見電気機器って以外には殆ど共通性が無さそうな両者だが、先ず言えるのは正式な呼称で捉えると電気では無く電子機器な処だ。
宅の逝かれた冷蔵庫は20数年物であるから、近年のと違って所謂CPUと呼べるほどの半導体は入っていない。
だがそれでも電子回路で制御されてるのに違いは無く、電気回路と電子回路では壊れ方やその予兆に大きな違いがあるのだ。
音楽界でも楽器にだって今は電子物が一杯あるが、それでも音響機器等と比べると意外に電子物の割合はかなり低い。
その上楽器と名乗ってる物はリアルタイム性も含む「人が弄る物」の度合いが高いので、他の電子機器と比べると電気機器のまま残さざるを得ない部分が多目となっている。
では壊れ方と予兆の具体的な違いはっつうとアナクロな物程予兆が必ず出るもんで、メカニカルな要素の少ない物程人にとっては予兆は殆ど出てくれないと思っていても良い。
これは特にデジタルかアナログかでより顕著で、デジタルので極度に単純化すると原理的にはスイッチのオン・オフしか無いのだ。
因みに電気機器と電子機器・デジタルとアナログのこの面での相違を、便宜上1つのツマミで複数回路を3つへ切替えられるスイッチで想像してみよう。
両方共スイッチ(切替器)であるからには機械的部分が存在するが、その割合と任される仕事には大きな違いがある。
先ず電気の方は3つのポジションを得る機構の他、電気的にも物理的に全て「接点」が設けられててそれで直接切替えている。
一方電子の方は3つのポジションのどれにするかの指令を選ぶだけで、電気信号の切替え自体は回路に依っていてスイッチで直接は扱っていない。
なので接触不良の影響が多く大きく出る電気の方が先に不具合が出だすが、暫くの間は清掃や接点復活剤等で一応正常状態へ戻す事が出来る。
片や電子ので特にデジタルのだと接点不良等が起き始めても指令信号の許容範囲が広く、直ちに動作には響かなかったりするからそこだけを見れば高安定で長寿命と云える。
だが電子のはスイッチの他に回路の不具合も起こり小型化・簡便化・低廉化等本来は有難いが、近年では回路が集積されてたった1つの半導体となっている場合も多い。
この有難い筈の半導体も修理の点では色々問題が多く、その1はたった1ヵ所だけの故障でもそれが半導体内部だと全体が異常を来したり問題箇所だけをピンポイントで直す事が出来ない。
その2は部品の互換性と入手性で複雑なだけにモデルチェンジが早く多く、一部を除き汎用的に有効な規格が制定されていない処だ。
その為少し古くなったり特殊(例えば専用設計)な半導体だったりすると、単純な部品交換すら出来ずそのせいで分かってても修理が大変困難化するのだ。
故にデジタルで壊れると良くあるのは突然電源が入らなくなったりして、アナログチックなのみたいに少しづつ元気が無くなってとか音が小さくなってみたいな人が感知し易い予兆段階が殆ど存在しないのだ。
ここから先は各人のライフスタイル次第で大まかに二手に別れるが、音楽を演ってようとなかろうとスマホやPC等を頻繁に買換える人にはあまり問題にはならなさそうだ。
但し音楽家視点では不要に道具が交代するのは歓迎されぬもんで、自在に高度に操るには習熟期間や経験値がかなり必要だからだ。
殊に楽器やその代りとして用いるなら鉄則並と言っても過言でなく、姿形が違っても幼少の頃から延々Classic Pianoを習い続けるのと同じ事なのだ。
生楽器だって完全に無メンテナンスにしてりゃ持ってせいぜい10年位のが多いが、それでも少なくとも他の健全なのと比べれば不調は簡単に把握可能だ。
これの詳細は例に依って次回以降へ譲るが、修理し辛い不具合が感知し辛い道具を使うならどうするかだ。
最も簡単確実なのは予め「スペア」を用意しておく事しか無いんだが、諸事情でそれが困難だったりするのも充分理解はしてるつもりだが…さてさて。
<つづく>
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