音楽備忘録62 寿命 内容編Ⅰ
とっても私的で今更だが、今回はPaul McCartneyのアルバム「McCartney」についての与太話しだ。
Beatles関係に関してはお気に入りになってから40年以上にもなるが、他の多くのファン同様本作は当初のミーハー!?ニーズとズレがあったのでロクに聴かないで居た物だ。
それが近年ドラム教師の従兄との関連で「ドラマー耳」で初めて聴いてみた処、全くホントに今更乍らブッ飛んでしまったのだ。
Paul氏が何でも演奏出来るのはずっと前から知ってたが、ドラムの腕前については特にテクニカル面では侮っていた。
あまり本気で叩いてないのが多かったのか、俺のイメージからするとドラムだとそんなに面白い事をやってない様にも思えていた。
今は本案件を良く聴いてみた事でそれなりにドラマーPaul McCartneyの全貌を漸く把握したつもりだが、いざ知ってみると従前の認識と真逆でとても非凡だったのに気付いた次第だ。
俺が誤認してた原因をあたってみると
1.飽く迄曲・歌重視で持てる技の数%程度しか使ってないのが大多数だった
2.ワイルドで独特なリズム感は上手下手では無く、彼独自の個性だった
3.音色や音質も飽く迄曲・歌重視でドラムとしてHi-Fiっぽいかどうかなんて気にせず収録がされていた
等となる。
個人的にも今後の指針としてとても役立ちそうだが、全部のパートを担当するのとそうでないのには大きな意識差が出易いのに気付かされた。
それは例えば歌うだけの人だったらその歌唱へ自分のしたい表現や、人に思われたい姿等を込めようとする。
そう云う演奏家なだけなんて立場へ置かれれば、誰だって演奏自体の理屈的クウォリティはとても気になるもんだ。
楽曲視点ではもしド下手に聴こえてもトータルとして良い作品になってる方が大事だし、本来はそれこそが真の名演奏ってもんだ。
だが人にエゴは付き物だし生活が掛ってるとなれば理想ばかり追ってられず、どうしたってこれでもプロなのかよみたいな醜態は見せられないのだ。(その恐れがあるだけで既に恐れるって云う…)
その結果各パートだけの精度みたいな観点に立つと、特に近年になる程専業奏者のは体裁が整ってるのである。
しかしこれは万一行き過ぎると大変危険な兆候で、ホントは演奏が非最適なだけなのに楽曲や編曲が今一なせいと誤認し易くなってしまう。
のが全て自前となると自身内部で勝手に葛藤しつつバランスを取るしか無く、曲に対してマイナス作用となるエゴは自然と出し辛くなるのである。
ここでは何時も吠えてる様に、全同時目立ちは原理的にそもそも不可能で御座居ますから。
で本題へ戻ってくとインストが多めの本作では歌が留守なら楽器が張り切ってOKだからか、P氏のドラムが普段より音数は3倍で最後の曲等ポリリズムのもしこたま入ってたのだ。
是迄はずっとタイム感は甘めな印象だったが、ホントにそうだったら細かい組合せリズムなんて演れない。
これからすると状況に応じてノリを変動させても居るんだろうが、不正確なのでは無くエライ個性的なリズム感だったのが証明されちまった。
それで内容については失礼しましたとなったが、スピーカから小音量で聴いてる分には宅録のだからって先入観も手伝って音質は高く無いと感じていた。
その後暫く経ってから偶然被って(🎧)聴いてみた処、細部迄しっかり聴こえてみたら驚く程Hi-Fi録音だったのに気付かされて2度ビックリだ。
つまり録音すら飽く迄曲・歌重視で、オーディオ的高音質より音楽イメージを優先させてたらしいのだ。
彼にとって初Solo作なので、もしかしたら専門家を欺く意図もあったのかも知れない。
大馬鹿熟知自認の俺ったって一応専門家の端くれが見事に騙されちゃって、作者からしたら「してやったり」の極致かも知れないと思った。
して最後になるがなんでこれが寿命と関係するかってば、表面より中身が色々と高級になってたのが長寿命に大いに役立ってると感じたからだ。
私的には近年本邦のが超短寿命なのはこれの真逆を行ったせいと考えられるからで、音楽は何度も全く同じ物を繰り返し聴かれる点が見逃されてると思ったのだ。
第一印象も確かに大事だが、本当の勝負はずっと経って後でどう聴こえるかだと思うんだが…。
<つづく>
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