音楽備忘録61 寿命Ⅵ
では予告した生贄君の儀式!?へと参るが、本件は幾つかの悪条件が重なっての結果であった。
特筆すべきは演奏に不都合な程フレットが摩耗するのに要した時間で、通常では考えられない10余年程度でそこ迄に至ってしまった処である。
フレットの消耗は勿論使われ方次第でかなりの差も出そうだがずっとフレットより硬い材質の弦を張っただとか、不適切な扱いをしなければ結構激しく弾いても経験からはそんな感じだ。
それより擦り減るってよりゃ陥没と言うべきだろうが、硬い床等へ誤って叩きつけられたりすると一発で凹む場合がある。
さて先ず件の楽器自体の説明から行くと、極ありふれた普通のStratcasterだ。
所謂Fender社伝統仕様のニッケル製細目フレットで、使用弦は09からの巻はニッケルのと至極オーソドックスだ。
なので普通ならどんなに激しく掻き鳴らしてても、体験的には倍位の時間は打ち換えの必要が出て来ない筈の処だ。
因みに若干大きなお世話気味だが予備知識の念押しで、もしステンレス弦(っても大抵は巻線のみだが)を常用したいなら音色・耐久性共に「フレットもステンレス」であるのが本来はお約束だ。
自分の場合はこの知識を得る以前に音色の好みの都合で少し試すだけで終わったが、Bassの場合はGuitarより時に深刻かつ重要案件と覚えといておくんなまし。
さて最大原因は「ナット高を下げた」からと書いたが、彼が入手した時点で高過ぎたからでは無かった。
弦高調整は普通はブリッジ側で行うものだが、どうやら「それ以上」に下げようとしたみたいだ。
ナットやブリッジの高さは正しい音程を得るのにも関与してるので、それを少しでも適正化しようとしたのかも知れない。
だがこれ等は全部がセットで成立してるものなので、厳密にはそれならフレットの位置自体も非常に僅かだか合せ直さなきゃイカンのだ。
尤も弦高がどうだろうと世間は愚か持ち主のお財布以外に経済面では無関係なせいか、どの程度適正弦高で使われてるのかの実情Dataなんてのはお目に掛った試しが無い。
けれど少し思い出してみるとMetalバカテク向けのGuitarは最初から、大抵は極太ステンレスフレットになっている等それなりの対応が考えられてる様だ。
相棒の悲劇は厳しくみれば年寄りの儚い夢散るで、伝統的音色のままでテクは今風を狙って楽器が挫折しちゃった様に伺える。
しかし失敗してでも挑戦しなきゃ新しいのは絶対生まれはしないので、その面では非難するより勇気を讃えたい気もする。
俺自身では下げる前にもう減って金掛ると思って気になってしまうので、そもそも挑戦する意欲すら湧かないだろう。
それでも敢えて提言するなら、半恒久的な変更の場合はやる前に良ぉ~く考えろである。
ネジで調節出来るのだったら試す時だけ下げてそれ以外の時は正規弦高になんてのも行けるが、一度やったら戻し難い箇所の変更は出来ればやる前に専門化に相談するのがお勧めだ。
また他にも道はあって正直海外名門ブランドのよりは落ちるが、例えばMetal系のだと過去のブーム時に沢山流通した国産の中古が格安だったりした。
恐らく20年物位のが多そうだがそのお陰でPickupは無暗なHighgainで音色が駄目でも、木部・金属部自体の質は近年のより結構良いのが多かった。
悪戯に所持本数を増やしては手間も維持費も増えてアカンけど、かと言ってGuitar系は無予備では安上がりにならない事の方が多い。
それとこの面ではGuitar・Bass等とドラム系では別面での違いもあって、「無改造で出せる音色の範囲」が構造上の都合で弦系の方が狭いと感じている。
弦・皮の選択と張替えはユーザーで可能なのでイーヴンだが、ダブルヘッドの太鼓では裏を外してシングルヘッドなんて狡い!?のが簡単に出来ちまう。
その音色差を電気楽器へ対比させるとPickupのCoilがシングルかハムバッキングかってな感じがするが、コイルタップSWが付いて無きゃエレキではPickup換装と大事になる。
するとこれだって素人に必ずしも不可では無いが、普段楽器の調整には不要なハンダとハンダゴテを持って無きゃなんないのが全く条件が違っている。
なのでドラムと対比するならGuitarは太鼓よりCymbalに近いと思っても間違いじゃ無く、ドラマーだってCymbalは必要に応じて買い足すのは極普通だ。
流石にスケジュールびっしりのプロみたいにAmpにも予備をと迄は申さぬが、消耗や予備のニーズも考慮すると「最低限の複数所持」が寿命としては有利だと思う。
<つづく>
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