音楽備忘録60 寿命Ⅴ
この辺でもう少し音楽用の物へ近付いて行くが、一般家電等と比べると長寿命設計の物が多いと感じられる。
しかし大抵は全体の寿命より短命な消耗部品もあったりするので、全く手放しでと云う訳にも行かない。
電子機器の場合寿命は基本的には電子部品のご臨終だけなので、素人の誰にでも出来る延命措置は熱(若しくは高温)や湿気に用心する事だ。
再三出の本邦での耐熱性錯誤設定へ更に加えとくと、近年は西洋で導き出された基準を安易にそのまま使ってしまってる様にも思われる。
西洋と日本では最高気温がもし同等でもその日数が違うし、湿度や使われる部屋の広さ等が極端に違っている。
依ってもし長期実地試験をすればその差は明確に表れるんだが、どうもPC上だけでの計算で済ませている気がする。
なので変な話しなんだが「元から不充分」って事は、それを充足させると結構大差の付く可能性が高いから本件は案外バカにならないのだ。
それでも寿命を迎えれば専門家へ委ねなくてはならないが、部品さえ残ってれば必ず生き返るのは純然たる機械の良い処か。
物に依ってはたった1つの部品が尽きたせいで涙を飲む場合もあるが、それでも原形の完全維持を放棄すればまだ只のゴミにはならないで済む。
またGuitar弦等の完全消耗品!?ならそう簡単に供給が途絶えはしないので、予めメンテ費用を計上しとけばそんなには考える必要の無い部分だ。
尤も弦の寿命(寿命迄に切れなかった場合)に対する正しい知識は持っとくに限り、対価を払って張替えるのは避けられない以上少しでもその経費をなるべく有効化(後述)したい処だ。
それにしても生楽器や電子楽器なら消耗部の補填は夫々に大体1つの方法で済むのが、電気楽器みたいにハイブリッドなのだと両方へ注意が要るから見落とし易いかも知れない。
それ以上に和楽器であれば通常どっかの交換が要る様な場合は必ず専門家頼みになるが、一部の西洋系由来のはその点中途半端なのが厄介だ。
西洋太鼓(ドラムセット)なら消耗部に限定すれば、多少の学びは要るも全て奏者自身で管理出来るのは大きな利点だ。
それがエレキGuitar等となるとライフスパンは長いが、フレットは必ず擦り減るのが分かってるのにその交換がとても大変なのは不幸だ。
それ以外の場所だったらナットなら寸法の合ってる溝切加工済みのを買って来るとか、ハンダ付けのスキルは要ってもボリウムやトグルスイッチの交換は何とかユーザー自身でも可能だ。
Guitarって形態の宿命かも知れんが、俺みたいな貧民に取っちゃ厳しい部分に違いない。
そして先の「弦の寿命に対する正しい知識」はフレット寿命に影響があるからで、極端に張力が落ちた弦で弾けば悪戯にフレットを摩耗させるからだ。
しかし幾ら寿命の為でも変に軽く弾いたりするのは愚の骨頂で、そんなら全てを開放弦で絶対にフレットに触れない状態にでもしない限り殆ど効果は無い。
フレット摩耗は確かに弾かれ方でも消耗度に差は出るが、最大のポイントは弾き方なんかよりも「弦高」だ。
残念実例を次回に掲載するが、ジャンルや奏法の指向性の都合で「全体を」極端な低弦高にしてた結果である。
オープンコード(ナットの側しか押えない)オンリーの場合を除けば、弦高全体が低きゃ全体が一様に減りそうに思うかも知れない。
だが実際は1~5フレットの弦の真下だけが大袈裟に掘れちゃってて、要はナット高を下げ過ぎた(だから全体)のが不味かったのだ。
最終フレットなんてそこを押さえない限り常に弦が擦って来るから、一見そっちから減りそうな感じがある。
ライトハンド奏法(おっと今はタッピングだった、昔はそう言った)以外弦が弾かれるのもブリッジ寄りだがお忘れ物がありまして、押える場所が最終フレットに近付く程「弦長」は短くなってるのだ。
そうなると弦の振幅は小さくなってるし、押えた所からブリッジへの弦の傾斜角度も増えている。
これ等が原因で弾かれるポジションの頻度に依る差もあるとは云え、元からローフレットの方が減り易い側面もあるのだ。
本件の生贄君は何の事は無い俺の現行ユニットのGuitaristなんだが、念のために加えとけば彼は奏者としては実績充分なベテランプロだ。
それですら僅かな見込み違いで宅に修理に出される位、フレットのある楽器なら根本的な部分なんだが周知が行き届いて無いらしい。
海外事情は不明だが根本的且つ重要情報にも拘わらず、幾らもインフォメーションが無いから已む無しか…。
<つづく>
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