音楽備忘録78 寿命 編曲耳!?編Ⅵ
さて少しは本線復帰させて打込み氏の為の編曲耳であるが、人力時には殆ど無い部分にも影響がある。
それは「音源の選択」で、直接楽器を弄るの程音色の調節が出来ないからだ。
こう云う失敗例とか不適切例には、俺みたいに恵まれて無いのも唯一の出番と勝手に自負する悲しさよ…!?。
今日はどんどん具体的に行くが、今回の生贄は現用タダ古典音源のClosed Hi-Hatの音色だ。
近年の高級なのよりゃ多分劣ってるだろうが、取敢えず困る程酷い音でも無い。
のに何が問題かってば、中域成分不足が後になって災いをもたらすのだ。
ヘッドホンで聴くならそれは露呈しないが、スピーカで斜め横から聴かなきゃなんない時等にお留守になってしまうのだ。
件のの音質は結構頑張ってて高域の伸びに優れてるのは結構だが、高い音域(周波数)になる程指向性が鋭利になり伝播する範囲が狭くなる弱点が避けられない。
音響理論的にもスピーカの都合からもこれを皆無にするのは困難で、しかし良く考えて作られた作品ではそんなに気にしなくても良いレベルになっている。
実物Cymbalでも同じだが本当に良い物は、幾ら伸びる高域が強印象でも中域成分もそれなりに含ませてあるもんなのだ。
そうしてあると音源との向きが悪くても音色劣化は避けられんが、急に留守になる様な迷惑サプライズを回避出来るのだ。
近年本邦みたいに1億総耳穴に突っ込んで聴く化となると従前より平気かもだが、「意図した音に聴こえない場合が最初からある」のは後でどんな悪さをするか不安なもんだ。
これが俺は今の処悪運だけ強し君らしく、普段自分が作業する時にかなり不適切な聴取環境なので直ちに気付けたが…。😓
少しでも良く聴こうとして環境が向上すると却ってバレ難くなるとは、何とも質の悪い現象だ。
これがある意味打込み特有の、音楽なのに音響耳も要する案件だ。
因みに録音屋・音響屋として色んなCymbalの周波数スペクトラム(周波数毎の音量)を見てみた事があるが、案外聴いた音色の印象と実際の成分分布が不一致なのの方が多かった。
そもそも概述低域案件同様、天然で超高域だけを意図的に形成して出すのなんて非現実的な位だ。
それでかなり昔概述の俺言い「目立つ倍音」を駆使して、実際より如何にも高域盛り沢山に半ば幻聴させてるのだ。
その流れだけを引きずって行くと、出せるならもっと出したいと思うのは人情であろう。
ご多聞洩れずで俺も昔は強引にEQでバンバン上げてみたりしていたが、今となってはそんなの悲しい自己満足に終始してただろうと思う。
こっちは生の音も聴こえてる上で、○○部分をもっとと思って弄ってる。
なので気にしてる所に少しでも変化が出ればヨシヨシなんて思ってるが、聴き手が同じ所へ注聴してくれる保証も無けりゃ確率も宇宙空間並に低いであろう。
その後少し知恵が付くと、各楽器毎に少しのEQで大巾変化するポイントがあるのに気付く。
それが目立つ倍音の出てる帯域で、今聴こえてる傾向のままで強調するならそこを少し上げれば充分でしたってな。
因みにⅡでこれをデータベース化して活用すれば現物抜きでも学べると思われるかもだが、各ブランドの秘伝の部分も含まれてたりするから大々的にやられるのは期待薄だ。
だいちCymbalは幾ら機械加工度を上げても最後は職人の調整に依っている等、個体差がかなり大きい方の部類だ。
なので聴き味以上に物理的特性にはかなりの開きがあって、全メーカ・全モデルのDataを揃える迄しても参考程度にしか使えないだろう。
使う個体が決定してからそれの特性を探り…と、事前準備に不向きな処がある。
楽器の現物が実体として存在しててすらこんなであるから、大元はどんな音だったのかを聴けない音源の場合は大変だ。
何時も同じ音って点では音源のは上記の手間は一回こっきりとなるが、収録時に一体どの程度加工されてるのかが全く不明。
万一聴感上元音の基本的個性を維持できる限界レベルまで加工されてたら、「その音色でもっとハイを」なんて余地は残って無い事になるのだ。
これを良心的に解釈したら出来る事は全て事前にやっといてくれたとなるが、楽曲やアンサンブル毎のニーズは無限なのだ。
しかも同時に鳴る音の影響で人耳には違って聴こえるから、音色無調整で何にでも適応させるのは音楽的には無理がある。
今回案件の最大の恐ろしさはホントは上記瑕疵のせいなのに、やってみて良い感じにならなかったからアレンジが不味かったと誤解を生む危惧だ。
真面目に聴き込む程そう思える可能性が高いのも厄介で、そのままでは耳関係で幾ら頑張っても成果が上がらない。
<つづく>
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