音楽備忘録75 寿命 編曲耳!?編Ⅲ
本シリーズは苦労して獲得した技等を末永く活用可能化するのを念頭に置いてるが、今回は比較の意味も含め編曲家或はそれを目指す者に必要な編曲耳に言及しとこう。
その中でも電気・電子楽器を頻用する場合音色巾が広いので、その面ではよりアレンジャーとプロデューサーや音響技師との境界線が無くなってるのにも触れとこう。
更に自らも演奏出来る場合とあまりそうでない場合で相違が出て来て、幾らも弾けない編曲家の場合は曲以外には「何も音が無い」状況からスタートする事となる。
体験的に正直申せばRock系等の場合上記後者は不利が多く、生楽器主体ジャンルの編曲家と比べると知って無いと困る事が量・範囲共膨大だ。
してその中には最早耳案件とは言い難く、編曲家は音響技師では無いのに音響理論等も必要となっている。
この原因は私的分析に依れば「電気による後の加工」が介在してるからで、電気不使用で出せる音と大きな違いがあるのがその実体だ。
例えば音の低音の含有量等がその典型で電気不使用の場合は、エレキやシンセのBassみたいな高含有率はまず不可能だ。
それが本件にどう影響するかってば、混ぜた時に単純な足し算にはとてもなり難いって処だ。
生系楽器にだって他のと混ぜる前後で違って聴こえる場合もあるが、大抵は夫々の音量と音域の調整だけでバランスさせられる。
この辺でRock系のの実典型例を提示しとくと、殆どの場合バスドラの音をEQで低域を増やしてるのがそれだ。
近年では一部で敢えてバスドラの低域を放棄してアタックを極端に強調したのも聴かれるが、何れもBassと同時に鳴った時も聴き取れる様にした結果だ。
現行の最新設計のドラムセットですら低域残響の多い場所で演奏される想定もあるので、響かない場所とか残響が極端に減る収音方法で録るとBassの低音の量に負けてしまうのだ。
因みに生の場合はそんなに気にならない場合も多いが、それは振動や衝撃若しくはそれに近い物が直接体感出来るからだ。
だったら録音にだってサブソニック成分を増強してで、現にHip-Hop系等の一部ではそう云うのもある。
だが一般的には聴者はこの成分をバスドラの音とあまり思って居らず、姿が見えないとそんな大袈裟なとか保険のオバチャンの無理盛りメイクみたいに不自然と認識され易い様だ。
しかも再生装置が非対応だと却って聴こえ辛くなったりもするしで、少なくとも隙間の少ないアンサンブルではこの手法は不適格だ。
概述だが念の為にクド念押ししとくが、物凄く低い音程は一定以上の時間鳴らせないと再生出来ぬである。
なので俺の嫌いなRock系でのつまんない「ドンパン節」(リズムパターンを揶揄してるつもり)みたいにスカスカのじゃないと、鳴り切る前に他楽器に被られて聴こえんくなるあるね。
エレキやシンセのBassは状況に応じて音色を簡単に自在に変えられるが、それが困難な生楽器はあらゆる環境下での妥協点でそれ自体の音色設定をしとかなきゃならない。
またバスドラとは逆に生Pianoや歌ではエレキアンサンブルでは高域強調される場合も多いが、こちらはエレキGuitar等への対応策と云え様。
故に典型的なエレキサウンド等と生楽器を上手に混ぜるコツを先に知っとくべきで、そうでも無いとエレキの音色をアンサンブルの為に普段とはかなり違う音に変えなきゃなんなくなったりしそうだ。
時に依っちゃそれもアリだけど何時もエレキがらしくない音色ばかりになっては、「エレキのアンサンブル」って特徴を損ねちまうからねえ。
PAレスの生演奏アンサンブルだと電気・電子楽器側での協調が求められるが、大抵そんな場合は生楽器が主役のものだ。
そしてちょっと屁理屈っぽいが妙なもんで、生楽器の方がMic以降で音色操作をしても違う楽器に聴こえる事が実際には少ない。
これってエレキのはAmpのスピーカを出た時点でやっとその楽器の音になってるからで、上記生楽器の音色完成後に弄るのとは何処かで基本要素の欠落や不足を生じさせてるんだと考えられる。
これからすればClassic畑出身の編曲家と後から何でもして貰えると思い込んでる電気・電子楽器奏者の組合せが最悪となるが、近年では流石にそんな杞憂は要らなくなった様だ。
かつて’70年代に入る迄は編曲家・奏者とも近年よりは皆しっかりしたスキルを持ってたのに(機械の助力が少なかったので)、時折何じゃコリぁな事態となってる作品が耳に入って来たもんだった。
しかし冒頭の方で記した如くエレキ関係をキチンと扱うだけで大きな負担があるせいか、イージーリスニング全盛時に比すと大規模なのとかジャンルの垣根を超越したアンサンブルを組める人が減ったのは残念だ。
打込みの方では割と誰もが節操無く採り入れてるが、生の魅力体験が足りぬせいか色んなのを混ぜた成果が低目なのは仕方無いのかな。
って処で打込みの人ってほぼ基本的に全員が編曲家な必要性がある訳だが、それは次回に。
<つづく>
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