音楽備忘録㉟ スプリングReverbⅠ
上手なReverbの掛け方の参考として、今回は古典管球式Guitar Amp内臓或はそれと同等のReverbへちょっと目を向けて貰おう。
等と言ったのは近年でも触れる機会が持てそうなのはそれ位しか思い当たらんからで、要はスプリング式Reverbが今回の研究対象だ。
近年だとこの旧式のは何にでも使えるとは言い難くなっては来たが、基本的にON/OFFと掛りの深さ調節だけで対応させてる処が1つ目のポイントだ。(単独機ではもう少し調整・選択箇所があったりもするが)
性能・音質・バリエーション等色んな面でデジタルの方が勝っちゃいるが、完全プリセットタイプの以外では設定をしくじる等すれば本来の性能は発揮させられない。
して設定ミスの心配が無い完全プリセットタイプでは、今度は音や曲に合わせた微調整が出来ない。
なのでLive等一回こっきりで兎に角響けばには使えても、何度も聴き返せる録音には所望の響きとプリセットが「偶然に一致」して無い限り使い辛いもんだ。
これに対し大昔の球スプリングReverbは大雑把の権化みたいなのの癖に、録音時にそんなに困った人は多分居なそうなのが考え処なのだ。(不調や故障は除く)
掛ける元の音が限定されてるから可能な事もあるだろうが、Ampに繋がれるであろう楽器の明瞭度をあまり損ねずに掛る様に図られている。
勿論現代的視点に立てば基本的な音色が一切選べない等欠点は多いが、操作が簡単で大失敗の懸念が無いとなれば安心して多用出来てた訳だ。
アナログで半機械式で毎回僅かには必ず音が違って来るし、録音品質が低目且つ曖昧(これも何時も僅かでも違う音になる)なので許容されてたとは看做せるが。
ここからお馴染みの年の功体験談へ入るが、大昔録音用に俺は初代としてスプリングReverbを数年間使ってた事があった。
当時はデジタル機はおろか電子式ですら高根の花で、エコー音とヒスノイズが大差無い位のテープエコーかスプリング式位しか手が届かなかったのだ。
上記の電子式もアナログ回路だから格安テープ式よりはマシでもノイズもかなりだったし、肝心の響きがDelayとしてなら合格もReverbとしては高価なのに殆ど絶望的な響きしか出なかった。
スプリングReverbだって中古購入したAmpに付いてたのに別買いしたのは、Reverb掛けるとモノラルになるのは流石に困ったからだ。
響かせたいってのは音場を広げたいってのも含まれてるから、響かせる程ステレオ感が減ったんじゃ使い物にならんって判決を下したのだ。
Delayの場合は妥協の産物でも原音とDelayを反対側のチャンネルへ振れば一応「距離」が稼げるが、Reverbの場合は原音と残響音が分離しちまうと不都合な場合も多いんでね。
でGuitarの都合でコンパクトDelayは持ってたので、Delayはそのストンプ・Reverbは上記のステレオのバネので何でも賄っていたのだ。
エレキ用を躊躇なく録音に掛けるとは今だと杜撰にしか思えんだろうが、これにはちびっと「変な正論!?」をぶつけて抵抗しておこう。
たまたま電気に興味があったのでそれを知ったんだが、当時一般市販品に使えた心臓部品のICにその秘密!?があったってのがその答えだ。
当時はアナログ電子式のDelayだとどんなグレードのでも心臓部ICはたった1種類しか無かったから完全に同一で、幾らも性能差の出し様が無かったからなのだ。
ついでで補遺しとくとアナログ電子回路時代にはReverb用の石(半導体集積回路:ICやLSI等)は存在せず、Delay用の石を何段も膨大に用いて捏ね繰り回したりして誤魔化されて!?いた。
そんな中Delayだけでもテープエコーじゃ絶対にGuitarケースのポケットになんか入れられない大きさだったし、高価で掃除や消耗テープの交換等手間も大変だったから皆大喜びしたもんだ。
所詮は「バネの響き」で独特の癖もあって妥協の産物に過ぎぬ部分も多々だったが、今とは別の面では楽だったり便利な部分もあったがそれは次回へ。
<つづく>
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