音楽備忘録㉝ 大ホール用の楽器Ⅱ
大ホールと題するにはちょっと裏道だが、予告通りエレキ歪ませの為の件の続き詳細内容から。
では早速だが「歪ませ準備の2段階の高域優先」の件だが、1つ目は楽器からの出力が1オクターヴ下がる毎に電圧的には凡そ2倍のレベルになってるのに依る。
生音の場合はこうしとかないとオクターヴ下の音が同音量に聴こえくなるからで、詳細は面倒で済まぬが拙ブログの過去に記したと思うので探してちょ。
んでこれをそのまま歪ませようとしても上記の様な状態なので、低音だけ先に歪むし高音の歪みだけ先に止んじゃって音が伸びなくなってしまう。
それでは弾き辛いので低・高音とも均一に歪む様に、その歪ませる深さに応じて高域を増幅させてるのだ。
2つ目はそれで歪んだ音色の都合で、高域増幅が上記の為のだけだと出て来る音はFuzzみたいな音色となってしまう。
これは低音の余韻が歪ませに依って生時より長くなるのが影響してて、良く云や太い音色になる代わり楽器毎の音色差がとても出難くなってしまうのだ。
私見ではFuzzを掛けてる多くはSingle Coil PUのばかりで、もしハムバッキングのに掛けてても直に気付けない処をみると掛けた後に音色を普段のと違う弄り方がされてると考えられる。
Fuzzも悪か無いが汎用するには個性が強過ぎるし、和音を出したい時にはそれが潰れ気味になるので困る。
それにしても歪ませて使われるのを設計に盛り込んだ嚆矢のMarshall系にしても、何処でそんなに高域ばっかりブーストしても平気(寧ろ丁度良くなる)なのを知ったのだろうか。
当時は歪ませるったって今のより全然軽度だった訳で、その程度の歪ませならあそこまで極端にしなくても事足りるんだが…。
より身勝手な推察に過ぎんが当時「低音がやたらに響く会場」「今迄に無い大音量」に対するスキルは、主に英国のAmpメーカーがリードしてたのがその一端な気がするのだ。
当時は「British Invasion」なんて呼ばれる位売れ線はイギリス人が多かったから、そのニーズへ最初に対応に追われた訳だからね。
これの先頭は言う迄も無くBeatlesであるが、彼等は機器向上の途中で一旦Liveを止めちゃった。
なので一番最初に知見を得たのはVOXでもそれでか100Wクラス以上のは出してなく、それ以上のを大音量目的で早くに出したのはMarshallとHIWATTだった。
興味はあってもVOXもAC100の情報は中々出て来なくてかなり近年に漸く知れたが、AC30には無かったツィータが付いてたのはやはり環境対策だったと思われる。
但しこっちはAmp自体の基本音色バランスは変えずにで、MやH社みたいに全替えって程には至っていない。
これ等の実使用例で俺に一番印象に残ってるのは実はGuitarじゃ無くBassで、CreamのLive Cream II(’72)のJack Bruseのサウンドだ。
どうしてそうか原因不明だがCreamはこれ以外の作品では異様なカマボコ特性(低高音の両側が下がってる)
のばかりで、チープな音質のせいで評価を誤られてる場合が多そうだ。
昔の欧米の人はLiveに接する機会が持てたから平気そうだが、本邦で周りが皆それなりに迫力のある音質になった後で聴くと影響大となりそうだ。
俺自身演奏内容としては出逢った当初から評価出来たが上記を聴くまでは、音色(実際は作品音質)は全然評価出来なかった。
これのBassはGuitarとまるっきり同じ様に歪ませてあって、それでいてローエンドの質・量共に圧巻であった。
だが楽器本体はGibsonのEB-3ってSGのBass版で、その音色は決して細くは無いが取り立てて重かったりローエンドに秀でたモデルでは無い。
<つづく>
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