音楽備忘録53 ドラムスローン簡易修理のその後Ⅲ
道具ってのは相性や慣れ等もあって古いのを敢えて使い続ける場合もあるが、近年本邦では機能面の都合でそうしてるのが増えたのは由々しき事態と感じている。
従兄が問題があったせいで保留してたスローンを復活させたのも、大袈裟に言えば腰痛対策もあったのだ。
本人談に依ると大昔俺の引っ越しを手伝った際に少し腰を痛めてしまい、それ以来特定の角度とか特定の向きで動くと痛むのだそうだ。(どうせ暴露するなら20年以上経つ前にお願いしたかった、スンマセン)
それもあって近年迄予防策として本人理想の高さより、敢えて座面を低くしていたんだそうだ。
しかしツーバス再挑戦や彼本来の姿を取り戻すのには低イスが支障となり、元のオーソドックスなと云っても旧標準かもだが高さに戻す事になった。
すると低くした時は気にならなかった座面の安定度が大きく問題となり、もし不安定だと本人意思に反して突発的に彼にとってヤバイ角度になってしまったりするのだ。
それには座面の固定度もだが現在生徒用にはまだ継続使用中の、座り心地の良いクッションも仇となってしまった。
このスローンは座面自体の安定度はとても高かったが、厚みのあり過ぎる高級クッションのせいで座面上の尻の位置がズレ易いのだ。
仮に厚みがあってもチープなクッションだと荷重が一定を超えると完全に潰れてしまい、弾力は殆ど無くなってしまう。
座り心地観点ではそれでは痛みを生じて不都合だが、支点って視点で見れば基準点が動かないとも看做せる。
高級クッションで問題が出たのは腿に明らかに角度が付く以上の高さにした場合で、座面が大きい為に座面と腿の不要干渉を避けるには殆どの人が低目時より浅く掛けなければならないのも災いしている。
そう掛けるとあまりにも弾力が良い為に、腰を前方へ押出す力が働いてしまうのだ。
中心上へ体の重心(座面真ん中に座る)を持ってけば尻位置は安定したが、俺みたいに脚が激重の者ですら今度は腿の動きに制限が掛って今回の高さ変更の主眼を台無しにしてしまう。
そこで色々対策を進めて行ったがクッションの改造は大変そうだったので、座面自体の彼との相性は一番良かった件のを簡易修理する事となったのだった。
因みに彼の教室にあるイスはこれの他に随行者等の為にパイプ折り畳みイスが用意されてるが、俺の体感としては只座ってるだけ用のそっちより寄り掛かれないがその高級スローンの方が長時間に耐え得るあべこべ状態だ。
尤もレッスンは最長90分なので俺みたいに半日以上居座る奴は他に居ないから、実用上は何の問題も無い。
俺が宅で座面の合皮が劣化して割れても放置してるのは経済事情もあるが、その最大の理由は座面の大きさなのだ。
自身のガニ股コンプレックスからすると小さい座面は「内側からしか支えてくれない」感じなので、これをより悪化させそうな気がして今も毎日恐れている。
だが腰の安定を第一義とするとデカ尻の俺でも近年の標準的座面サイズでは浅く掛けなきゃならなく、体の重心をスローン支柱と一致させられなくなって芳しく無いのだ。
連続スライドなんてアホな真似をするとそれをしてる間は、フットボードに触れるにしても脚はずっと宙に浮いている。
それでいて色んな方向へ動かそうとするんだから、腰位置がどんな向きに振られても復元出来る様にしときたい。
それに一番良いのはイスの中心に座ってる事で、浅く腰掛けてると前へ振られる力が生じた時に腰では抵抗出来なくなってしまう。
尻の前には支えとなるクッションがもう全く無いからよ。
尤も普通の踏み方をしてる場合なら短時間堪えれば脚にすぐ休みが来るので、決してお薦め出来ないが脚で支えるのも不可能では無い。
でも連続で踏んでればその間、脚は自分の体であっても自分の為には使えない。
敢えて座り心地を無視して演奏だけの都合で座面を考えると、股関節が乗るだけの直径があれば道具としてはそれで事足りるし不要腿干渉の心配も無い。
そうは言っても1曲終る迄座ってられない程座り心地が悪くては駄目だが、演奏し易さを現代のみたいに犠牲にするのはオジサンにはどうにも解せないのだ。
それがこんな状況なのをみると今他のドラマーの皆は、ドラムに座って演奏しないで居る時間の方がよっぽど長いんだろうか!?。
<つづく>
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