多重録音備忘録Ⅱ㉑ 楽器の構造とらしさⅡ
今回は俺言い「アクティブ過ぎるエレキBass」を生贄とするが、厳しく捉えるとそんなのを作るのは最早楽器屋の恥である。
これ大いに訳ありでかなり楽器にハイスキルな奏者でも、最初からじゃないと変更・改良出来ない部分を疎かにしているからなのだ。
部品を交換すれば達成される物なら後からでも出来るが、本体部分に関しては作る時点で考えなけりゃどうにも出来ない。
そんな製造者じゃないと手に負えん場所こそが作り手の腕の見せ所である筈で、材料入手等も素人では中々手に負えぬ部分なのだ。
この面で個人的に敬意を払ってるのがRickenbacker等で、失礼乍ら現代レベルでは搭載部品はBestには届いて無いとも思える。
それでもある程度使えてしまうのは本体部が良く創り込まれてるのと、本体材質のあらゆる面をずっと好評時のに近く維持させてるからだ。
Fender系の大多数みたいにネックとボディがネジで分離可能なら未だしも、スルーネックでは取替えるとしたら木部は全替えしか道が無い。
尤も過去に目にした文献では「交換用ボディ(無論ネック部含む)」すら用意があるらしいが、そこ迄に至ると楽器自体が別物になるに等しい。
どんなに高度なエレクトロニクスを搭載しようが所詮エレキは「半生楽器」、その事をあまりにも皆忘れ過ぎているのでありんす。
この件も御多分に漏れず基本的な歴史認識が足りてると回避出来るので、僭越乍ら少しそれを記しとこう。
そもそも弦楽器のエレキ化(電気武装)は音量不足が発端で、所謂エレキサウンドを得る目的では全く無かった。
近年ではより見掛なくなったが日本式にはフォークギター(ドレッドノートタイプ)と少し風貌は異なったが、ホントに只のアコギに電磁Pickupを追加しただけのが原形だ。
その格好は今でならフルアコから電気系統を取り去った様な物で、大昔はGibson等から実際に「そんなアコギ」が売られていたから興味のある人はググってみるべし。
Bassの場合も世間ではOld Fender Precisionが原典と誤認されてる様だが、実際はロクに流行らなかったがRickenbackerから第二次大戦前に既に売られてたのの方が本家本元だ。
Precisionを原典と看做せるのは「現代標準の」の但し書きを付けた場合のみであって、それにも大いに意義はあるが元祖なのはエレキじゃなく「フレット付きBass」の処だ。
俺的に今回案件ではこの差は大問題で、それはAmpに繋がずに使えるか使えないかの大きな違いがあるからだ。
誤認の原因は恐らくその風貌がPickup付きのコントラバスそのものだったからで、これにはシリーズ化されててViolinやViolaもあった。
肝心の!?Guitarの方は上記のと時期的には一緒だったが、当時のジャンルニーズと工作技術等の関係でラップスティール型のしか作られていなかった。
それが有名なFlying Panであるが、恐るべきは最初なのに全アルミ製だった処か。
しかしその後リイシューがロクに登場しない処をみると、駄目では無いがわざわざ再生産させる程の魅力が無かったと考えられる。
特にオケ弦楽器のPickup付きと同時に並んでたんだから、前出Ampの有無で使える使えないに音量の他音色的にも大差があっただろうからねえ。
阿保臭いから試しゃせんけど金属胴のSnareへアルミホイルかなんかを革にして、鉄の菜箸かなかんで叩いて頂きましょう。
そんなんしたら良くてスチールドラムの出来損ないみたいにしかならんで、きっとSnareにはもう聴こえんくなりそうだし。
でもこれFlying Panは殆どそれに近い事になってた訳で、スライドバーはガラスの他金属製もデフォだからその場合非金属はピックだけだったんだよなぁ。
今はエレキ系を本番でAmpレスになんか誰もしないだろうから無関係だけど、音色の源は電気系統より先に木部(一部金属)が司ってるんだよねぇ。
故にアクティブ(Preamp等が内臓されてる物)なだけで罪にはならんが、そこへ頼って木部(必ずしも木に限定はされんが)を疎かにしてるモデルにお金を払うのは勿体のう御座んス。
<つづく>
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