音圧感科学館③ デジタル録音とCompressorⅠ
近年本邦全盛の高音圧サウンドも元を辿ればアナログ録音しか無かった時代に確立された物なので、録音のアナログとデジタルでの「印象差」から分析してみよう。
実際初めてデジタルの音を聴いた時綺麗だが物足りなさも感じたが、後で知ったその根本原因は何ともアホなもんだった。
それは裸の王様でも腰抜かすんじゃ位で、無意識にもアナログ録音では歪ませちゃってたからでしたっと。
でお終いじゃ話しが出来んから追及すると、完全無歪は無理なアナログテープが更にその原因にあった。
これが俗に言う「テープコンプレッション」で、掛けたく無くてもするつもりが無くても避けらんなかった。
その音色は真空管Ampのパワーコンプレッションとも似てるしで、電気楽器だったら都合2回弱いコンプかリミッタを掛けた様なもんになっていた。
場合に依っちゃドラム等生楽器でもMicのダイナミックレンジ不足のせいで、実際より強弱の巾が狭くしか収録出来ていなかったのだ。
テープ録音での楽器の収録ではdbx等(ノイズリダクション+ダイナミックレンジ拡大)の登場迄は、僅かな歪みよりピアニシモ部がノイズに埋もれなくさせる方が大変な位だったしね。
けれども概述の如く音源⇔人耳間には空気のクッションが介在してるから、元々音源自体が発したのよりはマイルドに聴こえてたのとこれ等は偶然近かったのだ。
これを「正しく」現代に持ち込むにはすべからくコンプを掛けてるんだが、案外その再現は困難だ。
それは歪みを音色的に目立たせずに歪ませるのが、デジタルではとても苦手だからなのよ。
何せアナログ時代のは「間違って仕方無く歪んでた」だけで、結果と違ってやる方は「歪ませるもんか」と頑張ってたんだからさ。
デジタルので俺が最初に体験したのはSONY DPS-F7ってのに付いてたSoft Clipperで、使えなくは無いがレベル抑えが控え目な割に音色変質が大きいと感じられた。
近年のはどれでも進化したのは分かるけど、やはり偶然を「違う物で」完全再現させるのはとても困難な様だ。
人の聴感をAIでも用いてマクロ制御し再現させたらその内近付けるかもだが、人の聴感のData収集の時間とコストを考えると現況では見通しが暗そうだ。
それともう1つは概述だがLine録りとMicとその距離等の問題で、その時点でもう耳より不要に強弱等がワイドな音になっしまってる処である。
この件をしつこく持出すのはコンプサウンド確立期と密接にリンクしてたからで、一番今と違ってたのは「生の出音」だがその他録音機器以外にも沢山相違点があるのがかなり忘れられ掛けている様だ。
「生の出音違い」に関しては敢えて断言させて頂くが、今昔の機材性能差で昔の人の方が音への人力依存度が格段に高かったのがその理由。
必ずしも昔の人の方が良い音を出してた訳じゃ無いが、悪環境に対する「耐性」が昔の人の方が高かったのは論を待たない。
そして今迄提示しそびれてた気がするのがCompressorの「掛り具合」で、全体傾向としては昔のは今のみたいに強くは掛けられなかった処だ。
音色目的で使われ出してから徐々に真空管からトランジスタそしてICへと素子が変遷して来たが、これ等使用部品は音色だけじゃ無く増幅率にもかなりの差がある。
これに依って聴いた感じがどうだろうと少なくとも電気的には、昔のは最近のみたいに深く強く掛けるのなんて不可能だったのだ。
そして性能的には今のの方が良いにもかかわらず、業務用途では古いの程優先的に使われている。
厳密には不明も現在真空管式テープレコーダの新品販売は覚えが無いが、Compressorとかだったら一寸昔じゃあり得んかった¥3万代からわんさか出とるですとばい。
こうなったのは個人的には嬉しいけれど手放しで喜ぶのは考えもので、それだけ電気的性能は上がったが録音機器の音楽的性能が下がってる証拠かも知れんのだ。
言い出すと遠大となりそうなので自重し乍ら行くが、体験からはこれが楽器の方にも同じ傾向が益々と感じられる。
Live時の明瞭度を優先し過ぎたか、演奏環境が良くなる程ガッカリな音色になってくっつう…。
今昔でコンプも違えばそれ以外もこんなにであるから、誰もが弄りたくなる気持ちは分かるがそれにはやり方が。
で、それはまた明日。
<つづく>
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