音圧感科学館⑥ デジタル録音とCompressorⅣ
念押し兼昨日のおさらいから入りやすが、少し箇条書きにしてみまひょ。
1.コンプは音の出だしとその後の音量差の大きい音に程掛けた効果が表れる
2.持続音にコンプしても音圧向上には全く効果が無い
3.コンプリミッタを掛けるとダイナミックレンジは狭まる
でありんす。
恐らく世間認識だと音圧=コンプと思われてそうだが、ちょっと待ったあぁぁぁぁ。
以下に概念図を掲げるので先ずは見るべし。
画力表現力の不足から問題点があるやもであるが、何も無いよりゃマシ精神で御免被る。
では説明に入るがコンプリミッタを典型的な掛け方をした時の、音圧向上効果の具合を視覚化しようって趣旨だ。
折れ線グラフ状のは音量変化を表してて、上段はアタック部とそれ以降のバランスの違うのを右に2つ描いてみた。
この横方向3種は左の波形をノーマルとして中は滑らか目な・右はパーカッシブなののつもりで、音色に依る効果の違いも一度にと欲張って!?みた。
そして2段目はアタック部(1段目の原波形ではオレンジ色)にリミッタを、3段目はDecay部(1段目では緑)にコンプが掛った後の様子をイメージ化してある。
どっもレシオは2:1の設定で普通ならOV基準線(各段下の黒実線)から描くのを、高音圧志願って事で敢えて0dB(各段上側点線)側へシフトさせて描いてみた。
また線色の上記未説明分は青:サスティーン部(余韻)・紫と赤はEffectに依って改変された部分で、4段目は黄色:原波形・水色:如何にもなコンデンサMic・ピンク:旧態依然な低速ダイナミックMicで拾えた音の様子。
現実は音もEffectorもMicも多種多様ですから上図以外の場合も大いにありだが、基本原理を理解するには邪魔なので敢えて飽く迄イメージとして居ります。
先ずはここでの「掛け方の前提条件」を示しとくがコンプでもリミッタでも無神経に深く強く掛ければ、それ即ち単なるLow-Fi化でダイナミックレンジを狭めるだけとなる。
これが特にデジタル録音だと不味いのは、不要な雑音も「簡単に良く聴こえる」処迄音量増加させてしまうからだ。
そこで今回例では音量変化率の大きい部分にだけコンプとリミッタの各々の特徴(相違)を明確化させる意図で、リミッタはアタック部・コンプはDecay部にだけ作用させた場合としてある。
では4段目は後回しにして本題に進むが、基本的にオレンジ色以外の部分が上寄りになってるの程高音圧化している。
ここでの注目点は中の滑らか目のだけコンプの方が若干効果大で、それ以外はリミッタの方が効果が大きい処だ。
これはアナログと違って最大音量厳守のデジタルでは、如何に波形の全体が「上へ寄せられるか」が肝だからよ。
現実的には音色の都合もあるので何時もこの図の様には行かぬ場合も多々であるが、デジタルではコンプだけで音圧を求めるのは理に反するのを指摘しとくわ。
さてオマケ的な4段目だがコンデンサの波形が「全体的」に右にズレてるのは電子回路での遅れが主因で、旧ダイナミックのの線が基準線から浮いてるのは小音量への感度の不足が原因だ。
どちらもアタック部の標高が下がっちまってるがその理由は異なっていて、コンデンサは小音量は得意でも大音量は苦手なののせい。
旧ダイナミックのは単に反応があまり良くないせいで、音色的にだとコンデンサはリミッタ・旧ダイナミックはコンプが原音に少し掛った様なのに印象的には近い。
但しMicで変ったのとEffectorでなったのでは図の如く結構違いもあるし、前者はもし「そうじゃない音」が欲しくなっても後からでは変更不可なのにご用心である。
<続>
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