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2019年7月10日 (水)

音圧感科学館④ デジタル録音とCompressorⅡ

Compressor自体はおろか録音機器のデジタル化等で非音楽的になったのを前回指摘したが、それをどう料理して行くかが今回のお題だ。
先ず最初にパワーコンプレッションだのテープコンプレッションだのは無理なので諦めて、とは言いたくないが拘るならどうにかして実機で施すのがお勧めだ。

取敢えずこれの構造的差異を記すがテープのの象徴的部分は磁気飽和による部分で、パワーのの方は出力トランスとスピーカとの「非リニアな関係」が主役だ。
なので磁気テープや出力トランスとスピーカを持って来ない限り、「その様な反応」を得るのは厳しい。

しかし只諦めろとも言ってらんないので対策の一例を披露するが、飽く迄次善策に過ぎんし直球勝負で打ち取れる相手じゃないのを周知したかったってね。
相手を良く知るのが最初なんで例に依って本家の分析へ行くが、これ等は歪みってより「ゆがみ」だってのが最初のポイントだ。

音色の前に本業の音量から行くとコンプでも大きい処は小さくなのは似ているが、上記等のは小さい処は大きくにはなってないのが違っている。
ここから学べるのはつまりコンプじゃなくリミッタの方がまだ近いって処で、実際有名所の元祖たるBeatlesのは音色はコンプでも使った機器はリミッタだった。

これは超高性能業務用機器ではあったが真空管式の大掛かりな回路構成の物で、今のPC内でやるのと比べりゃ遅いしちっとも完璧なリミッティングは出来て無かった。
尤もそれ以外の機器も当初は皆トロい管球式だったから大凡時間的には間に合っていたし、業務機器のインピーダンス(当時は600Ω)に合せるべく用いられたトランスのお陰で多少の不作法は吸収される按配だったのだ。

だが少々遅いのだからアタック部に動作遅れを生じ、音色としては今のと比較したら誰が聴いたって「コンプでしょ」となっていた訳。
それプラス今のデジタルだと0.0001dBでも入力レベルをオーバーさせたら音が忽ち破綻するから、もし運良く本家のFairchild670を用意出来ても当時のままの使い方ではリスキーになってしまう。

でどーするてっば先ずはMixバランスの都合を考えて「コンプじゃ無くリミッタ」を掛けるんだが、申し訳無い程いい加減で済まんが俺は今回の自分達ので初めてこれを試している。
一応その言い訳をさせて貰うと是迄は何時もPC内では無くデジタルでも実機でやってたからで、アナログ部分があちこちに挟まっていたからなのですわ。

つまりデジタルの入り口部だけ気を付けてりゃ済んでたのが、今回に至って全部デジタルになったので転ばぬ先の杖をと思い始めたんですと。
それもまだ本チャン太鼓未録なので本格的にはやってもしょうがないし、だからって全然試せないのも困ると。
そこで細かい音色には目を瞑って、ラフMixだけ可能にして色々細工を試そうとしたのだ。
VST Pluginのどれを本採用するかさえ未定だが、自然な音色を優先するとリミッティングの完璧度が下がるのはこちらでも一緒だった。

今回先にリミッタとしたのには他にも魂胆があって、それはPC内オンリーでは球コンプが使えないのもあった。
所謂「コンプ掛けた音色」はアタックタイムが遅めな程らしく(掛ってるのが分り易く)なるもんで、しかしそうして音色を優先すればアタック部のPeak抑制効果は下がってしまう。

この時にアナログ回路での「ゆがみ」が利用できると、限度はあるがそれなりにPeakの緩和が図れた。
アタック部のコンプ漏れした部分は通常時間的にとても短いので、厳密には歪んでても真空管回路等ではそれが許容され目立ち難いのだ。

高度なシミュレートをしてもデジタルでこれが苦手なのは原理由来で、アナログ信号は連続変化なのがデジタルでは恐ろしく細かく出来ても所詮は「階段波」だからなのだ。
この段の間部分は聴く時にはアナログ回路を利用して間を埋めて坂道(連続化)に出来てるが、デジタル→デジタルではそれをする事が出来ない。

アナログの曖昧さが無いのは正確さには繋がるけれど、上記みたいな「バレ難い誤魔化し」が出来なくなってしまったのだ。
現実空間での音のアタック部は別に誤魔化したんじゃ無く空気クッションで鈍っただけなんだが、だからって何時でも何でもOff Mic収録って訳にゃいかんからのう。

<つづく>

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