音圧感科学館⑨ デジタル録音とCompressorⅦ
そろそろ指向を変えて、デジタルでも典型的コンプサウンドが欲しいのについて書いて行こう。
それは低域より中域が主体となる楽器に多く、その中で太さが要るのと要らんのの大枠では二手に分かれる。
太さの要るのの典型はエレピで基本線はBassと似ているがそれ以上にコツが要り、音域からしてエレキGuitarとBassの両方の条件が要るのも仕方無い。
Bassでは最悪低域と高域(Bassとしての)が出せてれば何とかなるが、エレピでは全体域が出せてないと途端にショボくなってしまう。
通常は太さ不要の代表はLine録りの生音エレキGuitarのカッティング等で、太さ・滑らかさ・マイルドさが欲しい場合はAmp→Micで拾う方が適している。
なので上記後者の音が欲しいのにLine録りしか出来ない時は、エレピLine録りの場合と近くなり中域を盛って誤魔化すしか無い。
念の為但し書きを加えとくがこれ等は録る時の楽器用プリAmpの設定の話しで、そのプリも極力「球」のであるのが望ましい。
それでないとTone回路での掛り方に問題が出て、他ので代用不可じゃないけれど知識も技術も余計に要るからかなり大変だ。
も1つオマケでDirectboxしか無いよなんて場合、各楽器の基本音色形成は録ってからなになる。
が、通常は先にコンプ掛けたらアカンからね。
それだと後で音色を弄ったら、音程に依って変な音量の凸凹が出来ちゃったりするからな。
処で宅では近年エレピは球Ampがあるのに上記誤魔化し式が常套化してるが、機種が本家のじゃないせいでAmp録りだと高域の伸びに欠けるのが原因だ。
だがかなり注意しないと如何にもLine録りで御座居な音色になって、俺的には最大の魅力と思ってる艶や厚みが得られなくなってしまう。
このCOLUMBIA Elepian EP-61C決して悪い音じゃ無いが、本家Rhodes等と比べ高域の「上限」の含有量が少ない。
大昔の一般水準では足りたと思われるが、録音のレンジが拡がった今だとこの差が結構分かっちゃうし気になってしまうのだ。
本家はFender系だからか一面でPrecision Bassと楽器出力の周波数特性が似てて、中域主体・高域は柔らか目だが量や帯域は無制限ってな感じだ。
こうなってると高域を上げ気味にしても高域鍵盤だけ音量が増えたりし難いが、宅の紛い物では見事にそれが出て音域毎の音量バランスが崩れるなんてのもある。
俺がここを気にするのも訳ありで音源になってる物はどれも超高域と艶のバランスや、歪みがある場合それを上手く処理出来てる物にお目に掛らないからだ。
実物だと(エレピ+球Amp)若干歪んじゃったかなぁ位では基本音色が不動なのに、サンプリング物では随分とダーティでLo-Fiな上にザラ付きが是又中々で勘弁しとくれよなのである。
体験的にデジタルシンセのYAMAHA DX系のエレピ等の方が圧倒的にHi-Fiではあるが、存在感に長けたエレキGuitar等と同居させるとどうも負け気味だ。
デジタルシンセでは簡単に音色自体を変更出来るから、必要に応じて違う音色を使えばって考えなのかも知れない。
それって間違っちゃいないけど1つの音色から様々な表情ってのが、伴奏等で幅広く使うには意味のある処でもある。
本筋へ戻してくが宅のエレピの場合Line録りのをどう料理してるかっつうと、球プリのMidの他Bassも大胆に増やして凌いでいる。
これをしても音色的には多少太くなる程度で大差無いが、アタック部の雰囲気は目立ち難いがかなり違って来る。
電気楽器のエレピは基本的に「音源を叩いてる」物なので、この部分には打撃故あらゆる帯域成分が含まれている。
これはある意味Bassのサムピング時の応用で、低域が足りないと代用バスドラのつもりがせいぜいタム程度と軽く弱くなっちまうのがヒントだった。
依って一聴で大差が無くても特に後でコンプを掛けるなら、ここの拾え方次第でその反応にはかなりな差が生じる可能性が高い。
こんなんするとデジタル録音が苦手なPeak成分をわざわざ増やすのにも繋がり兼ねんが、高域だけのPeakだとその時間が一層短くなるのでコンプの「掛り漏れ」は多くなる。
そうなるとコンプしたにも拘らず、音圧確保の為の全体音量レベル上シフト出来る量は随分減ってしまうのだ。
なので例えPeakの程度が軽くても後処理がどの程度出来るか、Peakの質も考える必要があるのだ。
それでも高域欲しさのLine録りでこれでは一見矛盾っぽいかもだが、上記現象等のせいか不思議なもんで打撃成分の不足がエレピでは「Line録り臭さ」に一番影響してた様だった。
私的分析に依ればこの「Peakの出方と割合」が、電子音源と「半生」である電気楽器でかなり違うからと推定している。
エレキのカッティングもそうだけどこれ等電気楽器、雛形となった音色は元は球Ampを通した音である。
今更原典に縛らる必要も別に無いけれど、下手に掛け離れ過ぎても違う楽器を使ったに等しくなってしまう。
なので特別な意図無くば弄るにしても沢山は不味く、聴いた印象がかなり違ったとしても実際変更出来る範囲は案外狭いのだ。
んでそれを当初世間の者はテープに録音しLPにした物で、更にAMにせよFMにせよ電波経由で耳にするのが一番多いパターンだったであろう。
だから録音で未コンプでも楽器Amp→盤焼マスタリングと送信時のリミッタと、大凡3段の圧縮が掛った後の音だったと考えられる。
一方太鼓やスラップBass程じゃ無いにしてもこの手のパーカッシブな音は、生で聴く時は音源と聴者耳間の空気のせいで言わば「天然コンプ」が掛っている。
恐らくいち早くこれにBeatlesは気付いたんだと思うが、故に「上手に掛ければ」コンプはあった方が自然な感じに聴こえる場合も出て来るのだ。
この辺詳細はまた明日。
<つづく>
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