多重録音備忘録Ⅱ⑥ Effect中掛け
前回迄はMixdown時の一括Effect例を書いたので、今度はトラック毎の個別掛けについて触れて行こう。
以前にも記したが個別掛けの後掛けの利点は自由な調整の他トラック数の節約にもなるが、近年の様にPC内作業が主流になって来るとかつて程のご利益は無いかも知れない。
最低数の実機Effectorを使い回すとなると、もし1つ目を掛け録り出来ても当然だが2つ目以降は必ず後掛けとなる。
これがPC内Pluginとなると使用数の制限は減るけれど、動作の重い物だと状況に依っちゃ全部一斉には厳しくなる場合も想定される。
そこで普通の使い方をする場合でMixdownよりは事前のを仮に「中掛け」と称すてして、中掛け・後掛けのどっちが適してるかをEffectの種類で大別してみよう。
これの基本条件になるのは先ずは「効果の浅さ」で、その次は「効果のタイプ」だ。
意味深に!?深さと言わず浅さとしたのは、「Effect掛ってる感は無いが生音と違うのは分かる」様な場合を指している。
この場合はEffect音は「ギリギリ聴こえるかどうか」位となるから、周囲音次第でその限界値は変動する。
故に可能な限りこの手のはMixdown時に、同時に施す方が成功率が高いと云える。
例外としては個別コンプ等が考えられ、その中でもリミッタとして用いる場合は中掛け向きだ。
ここで改めてCompressorの用法についてひとくさりさせて頂くが、近年本邦の何でも掛け過ぎはそこ迄したいなら手弾きなんてもう止めてしまうべきだ。
現代にはサンプリングやそれをループさせたりして音源化が可能なので、これを打込みで鳴らした方が音量の均一性は圧倒的優位なのだ。
しかも邪道ではあっても「元ネタ」は奏者本人の物を使うんだから個性が損われはせず、常套化してるClick使用の手弾きとかなり近い感じとなるだけだ。
これと全手弾きで最大音量に関してはほぼ同一化させられるが、最大の相違はノイズレベルで無理くりコンプは元ネタの雑音を盛大に増幅してくれるのを決して忘れちゃならぬぞなもし。
ノイジーになればその音はもとより他の音の聴き取りも低下させるので、聴き取れる様にする為だけに各パート間に音量バランスの仁義なき戦いが勃発するのであ~る。
近年のコンプ使用目的は音圧感の増大がメインだが、ホントにコンプせん限りパワフルな音は得られんのか是非再考願いたい。
近年の状況しか知らないと恐らく分からない可能性が高いが、多くの楽器は規定以上の強さで鳴らせばそれだけで少し歪むものだ。
近年の「堅牢過ぎる胴」の太鼓では困難化したけれどそれ以外でなら、想定以上に皮が動けば胴も微妙な変形を起こして出音が歪むのだ。
電気楽器でも設計値より弦等の振幅が大きくなると、Pickupが過大入力となってやはり出音に歪みが現われる。
これはPUのCoilが過大電流となるのの他にPUの磁界に対しての磁気歪みもあり、どっちかっつうと後者の方が発生し易い。
これの詳細は又今度として先へ進むがこれ等の歪みは電気的に意図的に企てたの比べると、歪み自体は地味で目立たぬので音色としての歪みを求めるなら効果は小さい。
だが管球式Ampパワー段の歪みと同傾向の特性を持っていて、音の太さや音圧感の向上には一番効果的なのだがこれも詳細は又今度。
上記を踏まえるとコンプがホントに必須となるのは音圧目的じゃ無く、一点の曇りも無い繊細な音を滑らかに聴かせたい時等となる。
また聴いた感じに大差無いが1ヵ所だけレベルが大きくなってたなんてのを補正するのがリミッタで、これの主犯は演奏力じゃ無く実音と電気信号の性質差だ。
更にリミッタを掛けるタイミングが超例外案件で、そのパートをアンサンブル内でどう用いるかに依って変わって来る。
近年ではニーズが薄れたが昔の狭いダイナミックレンジのにピーキーな音を収める場合は掛け録りが良く、歪みに対してマージンを取ると小さい方がテープのヒスノイズに埋もれてしまうのを避ける為だった。
次に今昔問わず比較的大きいバランスにするのだったら中掛け推奨で、その方がMixバランスを取るのが楽になる。
これ等以外の場合でアンサンブル内バランスが未定だったりすると、必要に応じてMixdown時に個別後掛けとなるのだ。
現代のデジタルだと録音側の雑音を気にしなくて平気になったので、歪みに対して充分なマージンを取りさえすれば「只拾うだけ」が可能となった。
その点では昔の先掛けの多くは今なら中掛けがそれに対応したものと考えられ、後から出来るのを何も慌てて先にやる事ぁ無いんじゃってね。
<つづく>
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