多重録音備忘録Ⅱ⑪ PCだけMixの弱点Ⅱ
厳密には次善策・現実的には最適かもな録る時何とかしちゃう式、誰でも思い浮かぶのはMicプリだろうか。
どっこい俺的にはそれは△で、もっと気にせにゃアカンのがLine録りの入り口だ。
Micも使う場合その機種選択とセッティング等例えば許される範囲で少し音源から離して、概出「エアクッション」を利用する等プリ部以外でも補填策が考えられる。
だがLine録りではそれらは皆無くなるから、Preampの音色の比率が凄く高くなるのだ。
チイとばかしあべこべ気味のややこし話しになるが、デジタルマルチトラッカー活用の擬似Bandでは全く気にしなくて良かったんだから変に思えるかもねぇ。
その訳は「出口が違う」からで、擬似Bandの場合は再生時に音色を作れば良いからなの。
今回の項では実機Effectorはほぼ不使用の前提なので、「後からじゃ充分には作れないかも」なのを見越しての事なのだ。
その中でも重要となるのは音の柔らかさで、明瞭度より優先しても損しないと言い切っちまおう。
これって俺の趣味じゃなくて非バーチャル時を想定してで、上記の如くエアクッションの代用なのだ。
もし硬い音が好きだったり平気だったとしてもこれを無視すると、録れたDataが不要にピーキーになってたりして後の作業が面倒となるのは請合いますぜ。
体験的に条件が本案件とだいぶ違うので何なんだけど、Line録り主目的の球プリの自作前後で実際に違いが結構出てましたですよ。
録音機のデジタル化を意識したつもりは無かったが、テープ式adatになってから求めが強まったのは偶然とも言い切れぬ。
アナログオープンリールの時代ですら4から8トラへ移行後は、普通のエレピとかワイルドなBassが欲しい場合はLine録りを避ける様になってたし。
それがadatHDになっても特別歪ませたいとか以外は、球プリLine録りだと特に不具合は感じなくなっていた。
コストと部品入手等の都合で本家大御所Fairchild 670なんかにゃ遠く及ばんが、それでも所謂Directboxとはかなり違うですよ。
因みに今業務用リミッタの名を出したのは勘違いでも偶然でも無くて、リミッティングの程度等に無関係に兎に角通すととても気持ちの良い軟らかい音質になるって訊いてるからだ。
具体的な程度はBeatlesの生音を聴いた事無いから不明だが、音声信号経路にトランスが入ってる真空管音響機器にその傾向があったのは覚えがある。
音響的にトランスは程度差はあるが必ず劣化させる物なんで排除の努力がされて来たが、今に至ると少し様相が変わっている。
それは電子回路の方が劣化が桁違いに低いが、余計な物が加えられてしまう事が多い点だ。
電子回路を能動素子とするとトランスは受動素子で、原理的に自ら何かを仕出かす事は不可能なのだ。
だから落ちるより変えられるのが嫌な場合は、どんな高性能な電子回路よりトランスの方が「マシ」なのである。
そうは言っても録音に耐え得る性能のトランスは高価で重く大きいし、使わんでも録れるのにわざわざ通して劣化させるのも今更ではある。
しかし和らげるのがとても苦手なデジタルなので、それ以外の方法でも少しでも柔らかい方を選ぶのには大変大きな意義が出て来た。
今回前提条件の場合基本的にデジタル録音機に「入る迄」が勝負の全てであるから、かなりシビアっちゃシビアだ。
初球を打ち損じたらノーチャンスってなもんだから、Micを真空管コンデンサのにするとかこっちの方には普段以上の思い切りも必要だと思う。
実際にもう21世紀に入って随分経ったってのに、昔より真空管物の新製品が次々出て来るのはこの現われだ。
時代が進むにつれ安上がりで安易になったっても、ホントに良い音が欲しいとなればやはりそう簡単には行かぬらしい。
<続>
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