多重録音備忘録⑱ Line録りⅡ 電子楽器
厳密にはPC打込みも含まれるかもだが前回やったので、それ以外のについて進めてきますよ。
ほぼ無意識でもLine録りされてるのが電子楽器で、これ等は他のより一番録音が考慮された出力端子を持っている。
だからもしかしたら録音するのも一番楽で簡単だが、油断し過ぎると惜しい結果を招く場合もある。
特に近年のはEffector内臓のも多いしその性能もかなり上がったが、他に生楽器等も入れる場合は迂闊に掛けたままで録ると難がある。
古いのだと先ず性能に問題があるので多くの者が考えるけど、どんなに高性能・高音質でも「他のに掛けられる」のと喧嘩したりしないか見極めとく等の必要はある。
また音源自体はモノラルでEffectでステレオになってる物等、そのままでは1パートに2トラック必要になる。
更にそのEffectは通常はステレオ左右チャンネル仕様になってるから、後からMix時にパンポットで定位を寄せた場合にEffect自体の音すら変わってしまう懸念もあるのだ。
このシンセの内臓或は付属Effectはアナログシンセの黎明期からの物だが、それ等のと近年のでは用いる目的に結構な変化があるのだ。
近年のは単により美しく演出するとか折角デジタルだから一度に纏めて処理した方が音質劣化を避けられるとか、音色の切替に合せてEffectも変更出来るとか言わばお便利グッズみたいな要素が強い。
便利に越した事ぁないしその音もかなり立派で結構だが、かつてのの場合はEffect自体が今よりショボかったにも拘わらず実はもっと別の重責を担っていたのだ。
それを一言に凝縮すれば「他の楽器と同じ様に使える為」で、その代表としては当時シンセ以外の音には必ず余韻や響き等が付帯してた処だ。
それは楽器本体より奏でた場所のせいである事が大半だったが、爆音のだと壁等からの反射音だって比例して大きくなる。
それでか生爆音楽器よりはそれ等Room Echo等が掛り難かった電気楽器では、技術的に困難だったのにそのAmpにはかなり早い時期からReverb等が搭載されたし好まれた様なのはご存知の通り。
処が黎明期のシンセと来たら音源音は殆ど只の発振器のままだから、ある意味その音の姿が実在する楽器なら持ってる響き等の部分が全く無いのだ。
それはホールの開園ブザーなんかよりももっと酷くデッドで、とてもじゃ無いがどう頑張って音楽的に演奏しても「機械の音」にしか聴こえない様な有様だったのだ。
勿論当初から意図的・積極的活用もされては来たが、そもそもの理由は単にそうじゃないと「楽器の音」に聴こえんかったからなのだ。
それだと下手に省いちゃ不味いのも当然で、だが今日の多くのみたいにNo Effectでも楽器に聴こえるのだったらこの面での必要性は無くなっているのだ。
本シリーズお題の多重録音だと「後から個別に弄れる」のも大きな売りであるから、最初からEffectが掛ってる必要は無いのである。
寧ろ下手に「作り過ぎちゃってる」と足りない場合はまだしも、後で減らしたくなった時にそれが出来なくて困るのだ。
例に依って世間知らずor半ば無視!?の俺は近年の他所様のは知らんけど、録音やEffectに少しでもHi-Fiを求めるなら「後掛け」を定石としている。
Effector自体の性能も楽器用より音響用の方が優れてるが、それ以前にEffectの調整の絞り込みが無妥協で幾らでも追及出来る等色々利点が多いのだ。
俺がこれに知ったってより気付いたのは過去の名作で、コンパクトなストンプではどう頑張っても無理なのを試しに変えてみて実感した処からだった。
エレキGuitarのAmp歪ませ音に無歪Effectの掛かってるのなんか、どう考えたって後掛けじゃないと難しい。
この先は次回予定の電気楽器の項へ譲るが、今回の電子楽器の場合も程度は軽減してうだが原理的には一緒だ。
又近年は兎も角Effectの使い始め時期を考えると、楽器が生→電気と来た段階で既にEffectorは登場していた。
し電子楽器楽器をターゲットにしたEffectorの登場は、楽器のそれより後からで当然なのだ。
Live等生演奏ではそんな暇は無いし、もし専属スタッフを付けてたって奏者が自由に気紛れを遂行するにはリアルタイムなのが絶対条件だ。
だからこそ折角じっくり取り組める時に先にやるのが勿体無いし、音響技師としてはシビアに暴露しちゃうと迷惑な事も多い。
当該奏者が全体統括者だったらまだ良いが、部分担当のみの人だと特にそうなり易い。
単体担当のみの人に本来瑕疵は無いんだけど、その人はどうしたって全体より自分のだけに注力する。
逆に技師は個別収録の最中だって録ったの全体に責任があるから、飽く迄「完成想像図」に基づいて行動している。
視点に共通性が低いとその分コミュニケーションも低下するし、わざわざ分業化した意義も薄れてしまう。
なので絶対的必要性が無くば「後回し」とした方が、プロジェクト全体の進行も円滑になって好結果をより生み易くもなるのである。
要約すると楽器収録は生度が高いと拾う時点に苦労と工夫を要すが、電子楽器等ではそれが楽な代わりに段取りに注意が要ったて事になる。
余談だがこんな処からも音楽ってな面倒ばかりで、楽して儲けようったってそうは行かないのがバレそうだね。
<つづく>
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