« 多重録音備忘録⑲ Line録りⅢ 電気鍵盤楽器 | トップページ | 多重録音備忘録㉑ Line録りⅤ エレキBassⅠ »

2019年6月 4日 (火)

多重録音備忘録⑳ Line録りⅣ エレキGuitar

今時一番選択を常時迫られるのがこれかと思うが、基本的な指針等を。
ホントはオカシイ事なんだけどエレキGuitarでは、楽器を始めた時期によってどうしても「知る機会」に随分な差が生じてるのでその辺から。

Amp録り激奨の俺だが、敢えてLine録りじゃないと困難なのを先に挙げて行こう。
それは例えばStratハーフトーンでの煌びやかなクリーンサウンドとか、とてもメカニカルでインテリ臭いスラップBass等だ。

もしそんなある意味「極端な」音色が欲しい時は、普段がどうであれLine録りを選んで結構だ。
だが「始めたのが近年の人」に気を付けて頂きたいのは、これを始めた・常用してる多くの奏者はそうじゃない「基本形」の経験値が豊富だし熟知してる処だ。

頻度がどうあれ公開される動画でどう映ってようと、「知っててわざとそうしてる」だけなのでありまする。
体感的には近年になる程コスト面ではハードルが下がったエレキだが、真実を知る機会がそれに反してどんどん減ったのは真に遺憾で御座居ます。

ここでの真実とは付属機能が付いて無くてもある程度の音量が出る真空管Ampがあって、それを遠慮無しに弄り倒せる事でごんす。
その点Classic系とかの生楽器界では金は掛るし敷居は高いが、基礎体験が出来ないなんてのは皆無なのが羨ましいねぇ。

では俺の懸念を述べてくが近年のEffector依存状態だと、基本的にエレキってどんな楽器なのかが何時まで経っても掴めぬ処だ。
これを明解例示の為に生ドラムを持ち出すが、先ずは標準的なドラムセットを思い浮かべて貰おう。
それを過大音量にならん様に丁寧に叩いてる時と設定して、もし間違って皮の上へ何か落しちゃったらどうなるかだ。

道を歩いてたら目の前で急に車のタイヤがパンクした、みたいな騒ぎになったりしそうだ。
そんな風にいとも簡単にデカい音が出る癖に、いざBONZOの真似事でもしようと思ったら自らが全然非力で…なんてのがドラムの特徴の一面だわな。
各楽器各々にはそんな意外性もあるもんだが、そう云うのを知るには演ったそのままの結果が出て来る状態が必要だ。

これを何でこんな処で持ち出したかってば、Line録りの方がAmpに「助けて貰えない」からだ。
Amp時比だと表情や音色変化は減る癖に、妙に「過剰反応」する部分が出て来る。
その中で一番耳障りなのがタッチノイズ等で、その処理は音響面のみならず奏者側にも色々必要だ。

なるべく雑音が出ない様に弾くのは当然だがそれはEffect後掛けなら第2位で、楽器音とは直接は無関係な雑音は「聴こえないフリ」をして弾き倒すのが肝なのだ。
録った後で楽音に無関係な周波数帯域はザックリ削いじまうんだから、そんなどうでもいい処へ気を取られてちゃアカンのです。

では超強力な助っ人たる近年Effectorだと命だけは助かりそうだが、「やって貰う」範囲が広過ぎてこっちの意見は僅かしか取り上げて貰えん様な状況となる。
そしてこれも前回迄のと同様「先に作り過ぎちゃってる」と問題があり、折角Liveじゃないのにじっくり調整が出来なくなっちゃうんだよね。

ここでのじっくりには多重録音ならではの「後から」も含まれてて、他パートと混ざってからの調整も含まれている。
Effect掛け録りにも長所はあるがそれをすると「後から」は、主にレベルバランスと左右間の定位(パン)程度に限定されてしまう。

更にこの中に重大なのに見落とされ勝ちなポイントがあるんだが、それは基本的な楽器の音色を構築する部分とそれにEffectの文字通り効果を加える部分が混在している処だ。
前者は通常は最初から必須要綱なので、言うなれば「代理Amp」だから掛けといて構わんしその方が良い場合すらある。

こんな何でもあるご時世になっても、「録音されたGuitar」に掛けるの専用のDistrtionなんて訊いたこたぁねえなあ。(もしや最近ならどっかに…)
Line録りを考慮されたPreampだってそれは「録る前に使われる」想定で、やはり録った後用なんてのにお目に掛った覚えが無い。

それをもし専用機器以外でやろうとすればかなり困難だし、雑音等他の面で不利になる場合もあるから。
だが後者に関してはそもそもその使用黎明期にはGuitar用の物等登場前だったりしたし、冒頭のLine・Strat・ハーフ・クリーンだと録られた音の性質に通常のとは色々差異がある。

典型的なのと比べたら一面で「エレキGuitarらしくない音」には、Guitar用よりPA用のEffectorの方が最早特性も相性も良くなっているのだ。
少なくともこのサウンドが使われ出した当時、Guitarの音色だけじゃ無く登場したてのデジタル空間系Effectorの従前とは違うのの相乗効果はその方がより鮮明になって斬新だったのは今でも覚えてる。

かつてこんな俺でもこれを自分でも演った事があったが、総体的にみるとやはりエレキGuitarには通常はその半身たるAmpは通した方が良いとの結論に揺らぎは無い。
その理由は実に単純明快で、No Effectだったらどうなるかやってみりゃ一目瞭然だ。
素晴らしいEffectorに全く罪は無いが、この音こそがあなたの基本的Guitarサウンドなのだから。

やっと終わったと安心された方には申し訳無いが、因みにRock系等では何時も歪ませた音色ばかり使われる事もある。
だが「歪む前の元音」に、歪み方やその音色までもが支配されてるのをどうぞお忘れなく。

<続>

« 多重録音備忘録⑲ Line録りⅢ 電気鍵盤楽器 | トップページ | 多重録音備忘録㉑ Line録りⅤ エレキBassⅠ »

音楽」カテゴリの記事

ドラム」カテゴリの記事

PA」カテゴリの記事

ギター」カテゴリの記事

電気」カテゴリの記事

ベース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 多重録音備忘録⑲ Line録りⅢ 電気鍵盤楽器 | トップページ | 多重録音備忘録㉑ Line録りⅤ エレキBassⅠ »

フォト
2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ