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2019年5月30日 (木)

多重録音備忘録⑪ モニタ音量Ⅱ

歌と爆音楽器の録りモニタの続きからだが、その適正音量には低音の含有量も関係がある。
低音量が多い時場合に依っては、実際よりも少し高い音程に聴こえる現象があるのだ。

音は物理的には空気の振動なので、空気に別の何らかの力が働くと音に変化を生じる場合が多い。
最も代表的な所謂ドップラー効果は音源が移動するせいだが、実際に出てる音程より近付いて来る時は高く・遠ざかる時は低く聴こえるアレだ。

これは音源が移動するせいで近付く時は音波(空気の振動)が「後ろから押される」為に少し圧縮されて波長の短縮化に繋がり、これが音としては音程(周波数)の上昇となって聴こえるのだ。
移動音源が離れる時は音波は「前から引っ張られる」状態となるので、波長延長→周波数低下→音源より少し音程が低下となっている。

ここでの要点は 空気は弾力性に富むのでちょっとの事でも簡単に伸縮する処で、それが音源位置が不動の場合でも悪戯作用する場合があるのだ。
部屋みたいに空間に限りがある場合、当然空気の容量にも限りがある。
すると低音の場合部屋の響き具合も関わるが、一定以上の音量になると出してるのより少し音程が上がって聴こえる現象が起きるのだ。

そのからくりは引かれも押されもしないけど、壁に音波が「突っかっえて少し縮んじゃう」からだ。
過去作品でBeatlesでもStonesでもMG’sのでも初期のにこれがみられるが、これ等ではBassだけ音程が少し他より低くズレてる様に聴こえる。

何れのBassistも達人中の達人だってのに若い頃は大した事無かったのかってば否、恐らく現場ではそのチューニングの方がピッタリ音程が合ってたからだ。
つまり上記の現象が発生して、正規のチューニングでは現場では上ずって聴こえてたからなんだと思われる。

その俺的根拠はMG’s以外は歌があってしかもコーラスも多いので、もしBassをそうしとかんと歌全体が恐らく全部上ずってしまうだろうからだ。
歌の「音程取り」はGuitar等でも不可ではないが、音域が近かったり被ったりもするので「音程の距離間」が判別し辛い。

それがBassみたいに離れてると分かり易くなるし、コーラスも和音の響き具合も聴くけどもし主旋律より小音量なんかだと歌同士だけでハモらせるのが困難だからやはりBassを頼りにする。
当時は今より全体は小音量だったろうし歌の明瞭度を確保するにゃ極力PAからの音は無いのが望ましく、PAはあっても殆ど恰好だけに近かっただろう。

Mic本数が少ないと音源からの距離も出て望まずとも周囲の音の混入が増えるんだから、不要なら「余計な所から」音が出て無い方か都合が良かった。
歌には流石にOn気味に構えてたけど過去記録写真等を見れば一目瞭然、「歌全体に対して1本」が多かった様だ。
すると「歌う同士」は隣り合ってるので、伴奏音量が適切で声量充分ならPAなんぞお呼びじゃないやね。

また広さもあるが録るハコがデジリバなんて無かったから残響多めで、しかもそれが低音程響く様になってたろう。
そうしとかんと録ったら軽くて迫力の無い音になりそうだったからで、エレキBass登場以前はそこ迄低域の量を出せる楽器なんて無かったし。
Micはまだしも一度録音関連機器を通ると、恐らく生より低音減少が必至だったろうからだ。

今ではハコ等の都合でこの現象が起きる事は、武道館にでも出られる様になる位まではほぼ不要だろう。
だがヘッドホンはある意味とっても「狭いハコ」とも看做せるので、結構簡単に頻繁にこの現象を誰でも日常的に体験出来るししてると思われるのだ。

歌うのに聴こえないと困る頼りになる味方のBassパートも、低域量過多だと歌の音程を惑わす敵へと寝返る。
声量が無けりゃ余り心配無いが、爆声の場合気を付けなきゃイケナイ。
「そんな大声出さんでもエエからもっと音程正確に」なんて、本人の聴取状況未確認のままで安易に言っちゃ可哀想ってもんよ。

でも上ずり聴こえが回避出来そうな位にBassを下げたら、小さいよなんて言われたらチョイ焦るか?。
その場合はBassの「倍音」で音程が分る様に全体レベルを下げるんじゃ無く、EQで低域の過剰分だけを削るのが良い。
それで少し全体音量が低下する場合は寧ろその分を補って、チョイ上げすれば大抵は解決する筈だ。

これが歌以上に割と何時も関係しそうなのが爆音エレキGuitarのリードパートで、特にアーミングをする場合は音程がホントに手加減オンリーになるから「聴こえ方」は大問題だ。
加えてその奏者がもし歌わん人だったりすると、この現象の認識が無い事も多いから本人任せは危険かもだ。

今回案件は機器や人耳に対する補正ってより、鳴らす空間に対する補正と言える。
但し爆音太鼓の音程の低いのとかAmpで歪ませるBass等だと、それ自体の音量は抑えるのが不可能だ。
理屈だけだと低域を減らしといて録って後から復元すりゃって思うかもだが、それをすると楽器の鳴り方や歪み方が変わってしまう。

そんな時は高遮音性ヘッドホンは救いの神にもなり得るが、耐入力と出音のバランスに配慮しないと意味を為さない。
一部の古典機以外は必要最低限音量再生を主軸とした設計なんで、その多くは低・高域が実際と同等かそれ以上に大きくなる様になってるからその配慮も要る。

最近は昔より小音量化した気がするしPA等の進化で昔比だと遭遇頻度は減ってるが、それで逆に業務用Bass Ampでの「対応」が省かれた面も伺える。
宅では俺の齢やキャリアの都合もあってそれが’70年代の物だが、Low Endは確かに出せるが当初の想像よりは意外と低域量が少なかった。

後に俺が時々やってる太鼓練習用シミュレーションの俺言い「擬似Band」で、一度に沢山の爆音を同時に鳴らす様になってその意味が漸く良く分った。
もし低域過多だと真っ先にバスドラが喰われて犠牲になるが、それ以外のも「巨大なうねり」に飲まれるからかアンサンブルの聴き取りはかなり悪化したのだ。

また主目的の太鼓練習にはBassのリズム聴き取りが最重要項目となるが、Bassの高域が足りないと音の始まり(アタック部)が不明瞭になるので不都合だった。
その度合いがBass単体だとそこ迄いらねんじゃねって位ちょっとオーバーにしといても、いざアンサンブルに入るとそれでやっと足りたか位に聴こえたのだ。

周囲の音色の影響もあるだろうが幾ら重低音ヲタの俺でも、先ず殆どの場合生太鼓は録音調整後のより高域成分が豊富なのが原因の様だった。
よって全パートをイーヴンなバランスで心地良く聴こえる様にしようとすると、宅の化石ベーアンの設定が見事にビンゴだったのである。

録ってからだって低音過多だとリスナーの聴き方次第ではこの懸念があるが、録る時や録る前だとマトモに録れなくなり兼ねんからスルーするのは自傷行為並と思って然りだ。
因みに読者様の疑問を勝手に先取りする積りでもう少し述べるが、中高域にだって波長圧縮は起きている。
だが周波数が高くなるにつれ音程に与える影響度が低下するので、通常は殆ど気にしなくて差し支え無い。

冒頭のドップラー効果では音程変化が中高域にも及ぶが、音源若しくは聴点との移動相対速度が低くなると効果も低下する。
つまり速度が高まるにつれ高い周波数でも変化が起きていて、それ故音源と聴点が固定なら影響が出るのは低い方だけで済んでるのだ。

またここ迄語るなら適正音量の具体的指標位は挙げるべきだが、ヘッドホンの形状と人耳の形状が実に多彩な上組合せも膨大なのでそれが不可能なのだ。
スピーカとハコにしても同様でこっちは更に響き具合等の差異も加わるから尚一層で、何れも実地試験で確認するしか仕方無くなっている。

けれども全然知らなかったり疑わずにやって後から「アリャー」よりゃ、そんな場合があるって知識を持ってるだけでもイザって時には助けになると思うんだ。

<つづく>

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