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2019年5月29日 (水)

多重録音備忘録⑩ モニタ音量Ⅰ

では具体的にモニタ音量の実例へ進めるが、先ずは録る時点での奏者のから考察しよう。
一発録りでは普通なら奏者に録音モニタは不要だし、寧ろ余程録音慣れしてる人以外にはしない方が好結果に繋がり易い。

だが今は大昔みたいに伴奏は小音量・歌手は爆声量の正反対が多いので、歌う人は被るのが常態化している。
ここで難しいってか厄介なのは、そんな歌手でも普段はMic→スピーカ経由後の音でバランスを取ったり加減してる処だ。

一発録りでも歌だけ後録りも一般的だが、それだってモニタがスピーカからヘッドホンになるのが普段とは異なる。
このモニタ方法が録る時だけ違う点では、歌手はある意味「常に多重録音」で録るのと同じかも知れない。
それがMic程度しか道具を使わない分、どうしたって道具の使い方や慣れに難があるのは予め認識されたしである。

ホントならMicがあると「マイクワーク」も利用出来て、表現巾拡大も出来たり歌い易くなるもんだ。
一般的な歌唱用Micには指向特性が持たされていて、口とMicの距離や角度で音量以外に音色も変化する性質を持っている。
それを意図的活用するのがここで挙げたマイクワークなんだが、絶対的声量が不足だとOff Mic≒歌ミュート状態となって折角確立されてる技も使えなくなる。

声の鳴らせ方も問題で響いてる範囲が狭すぎると、ちょっと位置がズレると全く子音が聴こえなくなる等も。
結局はMic無しでも何処からでも聴こえる様な歌い方の人程、マイクワークもフルに使えるって2極化の極みだ。
そのせいか近年登場のマイクワークの達人ってのが記憶に無く、恐らく活用度が下がった分Mic自体の知識も低下してると思われる。

歌手のモニタ音量は本来なら本人の声量とバランスを取るのが原則で、歌・伴奏のそれぞれが別々に最大・最小となった時にも両方が聴き取れる様にするのが基本だ。
体験的には人のは声も真横とかに並ばん限りモニタ経由だが、自身の声は自身の「体経由」で聴こえるのが中心だ。
この内部経由は音質は今一だが、外部の影響を殆ど受けない強みを唯一持っている。

にしても迷惑大声な俺だと知る由も無いが、最近のはしゃぐ時より小さい歌声の人達だとどうなってんだろねえ。
恐らくLive時の自身の声は完全にモニタスピーカからだけの音を聴いてて、それだと俺なんかよりモニタからの歌が大きくないと不都合かも知れない。

だが先ず本人単位でもステージモニタからの自分の声が大き過ぎると歌が不要に遠慮しがちになったり、弾いてる楽器の聴き取りが阻害されたりもするから困る。
次に自分と周りでみても歌がハモり(コーラス)付きならメインとハモりが同じ一ヵ所からしか聴けないのは不利で、楽器同士でも同様にハモらせ辛くなるからそんなのホントは迷わず却下じゃ。

折角健常なら耳は2つあるしそのお陰で方向性もあるんだから、複数音を聴くのにわざわざ纏めてしまうのは勿体無いと思うんだよ。
それがもし全部外部経由とかモノラルとかになったら聴き取りが大変な気がして、もしかしたらそのせいで楽器も歌も同列に聴かせられる人が減ったんだろうか!?。

またこの問題は大音量楽器奏者にも関りがあり、本来とんでもない爆音楽器だったらそれ自体のモニタは不要なのが当然なのだ。
どころか寧ろヘリコプターの搭乗員みたいに心の平静を保つ為に、遮音して体に加わる過度な音響エネルギーを減らすべき位だろう。
現にドラムの練習で被ってウルサくなくなると落ち着けて、今迄何処でヨレてたかが簡単に分かったりしたし。

録音では重要度が上がる耳と神経の健全を維持するにゃ過大音量はマイナスだから、被ったのから流れる他パートのと被ってても聴こえちゃう自分の奏でた音でバランスさせるのが一番静かに事を運べる方法だ。
近年の高遮音性のだとまた様相も違って来るが、今でもまだ録音での標準機となるとSONY CD900STなのでそれだと外の音も結構聴こえてしまうからね。

もし楽器の音量が爆音でないならこの限りじゃ無いけど、楽器は音色の都合で音量が決まってしまう場合も多い。
俺知りのドラマーでは従兄が一番音量の割にしっかりした音を出せるが、彼の教室に訪れる最近の若い生徒さんからするとそれでも結構な爆音なのだそうだ。

それにGuitarのフィードバック奏法等は音量が大きい程歪ませなくても可能になる等、求める音に依っちゃ小さくするのが無理なのもある。
歪ませGuitarの音色についてもEffector利用で極小音量のと、Ampへ過大入力でのとでは明瞭度を始め様々な相違が出る。

先ず問題視すべきは機器の雑音で音量に無関係に出てるのもあるので、極端な小音量にするとそれと楽音との差が縮まって録るとノイジーになったりする。
次に大抵影響が考えられるのが前回迄に記したスピーカの適正音量域案件で、特に業務用系Ampのはその設定が最大音量近くになってるのが多い。

生耳にはけたたましい爆音だが、そのけたたましさがもし無くなったらどう聴こえるか考えて欲しい。
無駄な爆音は決して推奨しないが弾く時にどんな音量でも、普通は録るのにレベルを合せるものだ。
すると録った後のは大体同程度の音量となっているから、そこで漸く同じ土俵に上がったと思っとくれ。

録音ってんだから録った後の音で比較するのが当然で、言葉では当り前過ぎて誰も言いそうに無いけれど。
バカっぽいけどでもしかし、結構こんな原始的な部分に意外と落し穴ってあるもんなのよ。
どっかを有償で借りて録るんだと時間=コストだからテストを省きがちかもだが、もし試し録りレスでパーになれば財布落しちゃったのと同じだかんね。

んで脱線臭いけど録る都合がそんなだと、どんな高遮音性のヘッドホンを持って来ても厳しいのが低音ざんす。
光では赤より赤いのが赤外線で見える見えないでその境界線が引けるけど、音は凄く低い音域になると振動とは連続的で明確な境界線が無いんです。

全く同じ周波数でも体に揺れを感じない小音量だと音、耳にどうこう以前に全身が揺さぶられりゃ振動と感知したりしてませんかね。
故にそこ迄低く無くても中高域よりは遮るだけでは止められず、完全に揺れられない様に出来ないと低音は少し伝わっちゃうんだわ。

んでも皆さんヘッドホンは軽くてちっさいのがお好きざんしょ、そんなんじゃ低音は戦車が森の木をなぎ倒して進むみたいに役不足で御座居。
それで首に過酷で古臭さ100%でも一部にゴッツイのも生き残ってるが、それでもマシにはなるけど完璧には程遠い。

遮るのがとても困難なら漏れるのを許容するか前提として考えるしかなく、それが上に記した「大きいのはヘッドホン越しの音を聴いちまえ」なのである。
それと最後にまた重い指摘をしとくと各個人の適正聴取音量域は、その人が出せる音量と強力にリンクしてんの。

噛み砕いて言うと歌の声量が一番の指標で、もし絶対歌わんなんてんなら自分が演る生楽器のがそれに近い。
面倒なのは蚊の鳴く様な声しか出せない癖に、生じゃない楽器って武器を持つと豹変するタイプの人。
よく巷でハンドル握ると性格変わるなんてのは居るけど車は自転車みたいに漕ぐ必要が無いが、音楽だと耳にだけは必ず来ちゃうからね。

更に考えると難聴になるのって工場騒音とかのを別とすると、音楽なら「聴くだけの人」の方が多いと思うけど気のせいかな!?。

<だら続き>

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