多重録音備忘録⑬ Mic録りとLine録りⅠ
新項目に入る前に前回迄の若干の補遺をしとくと、録る時の奏者モニタ音量は当然だが演り易さが基本条件だ。
この場合は限度はあるが各個人に適合させるのが優先なので、本人以外は余り口を挟まない方が良かろう。
但しもし「個性的な音量・音質」を望んでるなら、それ用のヘッドホン位は奏者が自前で用意するべきでっせ。
他所へ出向いて録って貰う時等は、場合に依っては持参ヘッドホンの駆動Ampもあった方が良い。
この点も個人差千差万別だがモニタの具合が出来栄えに響いてる様なら、ヘッドホンとそのAmpは買っても壊れる迄は1回こっきり。
スタジオ代が2~3回位迄なら兎も角、それ以上になれば時間を要する他にトータルではコストも嵩むからね。
では本編のMic録りとLine録り、今回は先ずMic録り「か」Line録りかから行ってみよう。
生楽器の場合エレアコタイプの以外は選択の余地が無いので外すとして、電気楽器以上の機械寄りのでは一応選択可能だ。
ってより現実的にはコストや場所等の都合を鑑みると、今では「可能な限りLine録り」が多そうだが。😓
上手に処理すれば元は「スピーカから鳴らす物」をLineにしても何とかなるが、もし空間処理等に不安があるなら遠回りするかも知れん覚悟が要る。
また生が歌だけとかたった1つならまだしも、太鼓と歌が生なんて時は可能な限りMic録りをするのがお勧めだ。
パッと聴きはLine録りの方が大抵小奇麗で、Mic録りのは下手すっと素人臭さが出るかも知れない。
だがLine録りはリアリティや存在感が「後から薄れ」易く、小奇麗だがひ弱とでも思っといて頂こう。
今はマルチEffector等にそれ専用の出力が付いてたりして昔よりかなり楽になったが、それでもMic録りと比較すると楽器音としての完成度が実は低い。
幾らAmpやスピーカの高度なシミュレーション回路が付いてても、完全再現には未だ程遠いのが真実だ。
それは電気(電子)だけで処理しようとしてるからで、実際の楽器Ampには物理的作用も大いに含まれてるからだ。
またベテランなら脳内イメージが強くて平気かもだが、聴こえる音の様々な違いのせいで演奏自体が望まぬ変化をしてる可能性も高い。
例えば3段積みMarshallを実使用すれば、極一部の方を除き一にも二にもその「ウルサさ」と先ず格闘するであろう。
それがウルサいからって遠慮がちに弾いたら失敗だが、そこ迄の爆音だとどんな僅かの雑音や弾き損じだって嫌でもハッキリ聴こえてしまう。
なので慣れられさえすれば、大抵は自然と丁寧に弾く様になってる筈だ。
それをEffectorで小音量モニタなんかで演ってたら、現物では聴こえた部分がその時点では聴こえなくなるのだ。
だが録った後はどっちでやっても概述の通りほぼ同音量になるんだから、この場合は無配慮に演ればLine録りの方が「荒い演奏」になってる確立大なのだ。
ここでの注意点は楽器自体へのタッチノイズ等はLine録りの方が一聴分かり易いが、それが楽器音として体裁を整えた後には不一致となるのも多い処だ。
楽器音として不要な周波数帯域の雑音は、あっても無くても処理後はどうせCutされるのよ。
寧ろ雑音がその楽器を構成する中心的な周波数帯域にだと、Line録り時点では「こん位なら平気だべ」と思ってたのが処理後には巨大化してアウトになる心配をしといた方がいい。
これを会話に比喩するならMic録りは同国人同士・Line録りは通訳付き、そんな風に解釈しとくと相応しいかと思う。
勿論音色の都合で意図的にとか環境等の都合でLine録りってのもままあるが、一言で言えばMixはLineの方が手間が掛って当然って覚悟はちゃんとしといておくんなましよ。
つまりMic録りとLine録りの差はもし奏者と求める音が同一なら、旅の前半・後半のどっちで有料道路を使うかってなもんなのよ。
例えばその道程が前半は雪道だったら南国出身者はそこで有料の方が除雪が行き届いてそうとか、後半が急坂なのに乗ってる車が非力だからそっちで有料乗ってとか。
故に出来んのを無理してでもやれってんじゃなく、もし選べる時はどっちが合うか良ぉ~く考えてねって話し。
一応の選択指針を例示しとくと、演奏と音響細工のどっちにどれだけ得意かが先ず一点。
電気や機械は苦手だけど演るのなら楽勝の人だったら、Webへ上げる弾き語り動画はもう思い切ってワンポイントMicだけで行っちゃいましょう。
音響理論のみではOn Micの方が明瞭となるけど、PAレスの生演奏が得意ならその影響はとても小さくなります。
On Micにも欠点・弱点はあって、距離や角度の僅かな不適当でもう利点は台無しになりますから。
逆にカラオケならしょっちゅう行って歌い慣れてるけど生演奏なんて滅多にの人だったら、上記の逆で試行錯誤した方がゴールが近いでしょう。
但し最低限の音響処理技術を身に付けるか、出来る人に手伝って貰わんとだけれど。
<そら続くわ、初回だもん>
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