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2019年4月28日 (日)

ドラムセットのマイキングⅣ

今週ヘンテコな新発見があったのでまた追記するが、今後は随時書こうと思うのでタイトルから音創りは外すとした。
従兄のドラムマイキングは既にほぼ固まったとみていたが、近頃請負ってた彼のMic修理の絡みでまだ動きが残っていたのだ。

数年前まで従兄は自らでの太鼓録音ではMic数少な目だったからか、彼所持Micの状態把握が曖昧だった様だ。
これ等のMicはかつてのLive House時代の遺産で年代物の上に酷使もされてた代物だし、今はドラム教室主体なので過半数を同時使用する機会が訪れて無かった。

例えばTom2つへ同じMicを構えてれば彼みたいなベテランドラマーだったら、片方のMicに不調があった場合その発見は比較的容易いだろう。
だが楽器も向きも距離も相当異なってたら音が違ってても、何のせいかを見分けるのは専門家でもかなり大変だ。

それで最近になって彼は「どうもちょっとオカシイかも」を毎度頻発する様になり、使ってるのそうでないのも併せて俺へ修理依頼となったのだった。
いざ調べてみたら想定を遥かに上回る悪状況で、極例では大丈夫と思ってたのが実際は全く駄目だったりと散々だった。

生存率6割程度も上記からすれば妥当だろうが、使えてるのもそこそこあったので2人共に想定外の事態だった。
最初から全部まとめて調べてたら良かったが細切れ修理となってて、治ったのを持ってって健全と思い込んでたのと並べて使うと音が違うの連続だったんだからこりゃたまらん。

それでも修理は一応終息したがそれで新たな疑念が従兄に芽生えて又しても面倒な事に…😓、俺は音響屋だけど従兄ん所へは純粋に音楽を演りに行ってるつもりですが。
でそれは音の違いにMic本体以外にも原因があるんじゃってので、マイキングに関しても再考察をする事となってしまったのだった。

大雑把な俺と違って几帳面な従兄だし太鼓の腕も違うからか、音色的には満足してたバスドラのマイキングを疑い出した。
それは録音したのにバスドラ音量の「踏んだのと合ってない」妙な増減があると言い出し、実際単独トラックで聴いたのと全トラックでのに妙な差異が認められたのだった。

録ってる最中にMicの移動や振動が無かったのを目にしてたので、俺は軽い気持ちで「だったら位相かなんかじゃないの」と口にした。
但しこれの位相については但し書き必要案件で、ドラムセットみたいに密集させてるのへ個別立てすれば完全回避がほぼ不可能なのは当初から概知なのだ。

D_1
ここで概念図の登場で左が従兄左利き用ツーバスドラムセットのマイキングの状況、右がバスドラへの構え位置で青丸が従前・赤丸が今回変更後のだ。
図左で色分けした「つもりMic」は黄緑4本が太鼓(バスドラのは省略)・桃がメインHat、青がサブClosed Hat&Ride用で赤がそれの今回変更後だ。

素直に読むとCrash3枚とSplashのMicが無くて変だが、Hat用のの位置(主に高さ)を工夫して一緒に拾っている。
数や位置に変なのがあるのは従兄のデジタルのオールインワンタイプ録音機の都合で、Mic入力・同時録音トラック数が8なのに依っている。

元Live Houseであるから24chのMixerもあるがまだ修理中なのと、同じトラックに録った分は後から個別調整はどうせ出来ない。
のともし8chでも何とか出来たら録音機へMicをつなぐだけですぐ録れる等で、若干変則的だが現状は実に従兄らしいとも言える独特な方式となっている。

先ずは従兄知りの参考例を雛形として従前は図右青だったのを赤へ変更してみたが、俺の全くのいい加減な「物は試し」だったのに録ってみたらかなり違った。
前出の妙な音量増減が無くなったばかりか、セット全体の低域量が増えてドスの利いた音となったのだ。
因みに従前のツーバス左右に対するMic位置は、セット中心に対して線対称としていた。

立て続けの因みにⅡはBass・Floor:俺言い鯨擬き君・金物用2本:SM58・後はSM57で、Snareに58を試したが従兄に良かったのは第一印象だけに終ったので57へ戻している。
「鯨擬き君」ってのは偽物じゃないがMD-421じゃなく派生形の「521」だからで
、殆ど差は無い筈だが直接比較未体験の為。

俺みたく大雑把な上魔改造をいとわぬなら同じと認識して無問題だが、微妙なニュアンスに拘りがあってまんまで使うと人次第では気になるかもだ。
従兄の場合は521でもそれがお気に入りなので、何も弄らずで済んでいる。

そして熱し易く冷め易い癖に従兄のどうして小僧魂に火が付いちゃったか、今度は「Crashの余韻がPhaser掛ったみたいで変」と言い出しやがった。
昔からこうなると納得出来る迄どうにもならないので必死に考えて、金物用Micの1本だけ向きが大きく違ってたのの変更を提案した。

それが図左の青から赤へで「Crash余韻のPhaser 」も減ったが、それ以上に全体の明瞭度ややはり低域がかなり従前より向上したのだ。
もしこれが俺みたいに分離度最優先で超Onにしてるなら、何かのせいで削れる等より混入するのが兎に角困るから余り気にしてなかったしする意義も少し低くなる。

これは言い換えるとそもそもの音(ナチュラル派)か結果オーライ派のどっちを優先するのかとも云え、元来重視なら太鼓は寧ろ分離してる方が不自然にも基づいている。
俺みたいなアホを筆頭に普段は「セットかどうか」なんて無意識で聴いてるのが多いが、現実的には割合が少なくても共鳴し得るのが有ると無いとでは音が違って当然だからね。

けれども遊び心的にどれか1つだけに極端にReverb掛をけたいとか、楽器とか腕(本来はご法度ですが…😓)の都合て拾っただけじゃ所望の音色が得られん場合はそうも行かなくなる。
天然水しか飲まない人と知ってても脱水症状でも起こしてたら、水道水しか無かったらそれを飲めと勧めても当然ってな感じだ。

不自然容認なら寧ろわざと近所と逆相にして混入してるのを誤魔化したい位で、原理上完全分離が不可能なドラムセットならではだ。
そしてナチュラルを追及するなら位置はワンポイントで、数も人耳に合せて2本とするのが理想だし成功率が最高だ。

この両極からすると今回の等は真に中途半端だが、主に’70年代前半頃迄だと結構類例が多かった手法だ。
昔は今と違ってMicは大き目だし本数も少なかったし、或は物と奏者に依っては耐音圧の都合でOnだと歪んで駄目だったりしただろう。

耐久性(万一の誤打に依る破損)も弱いし・高いの壊されちゃたまらんし…等々、少なくとも超Onなんてのは今より中々条件を揃えられなかったのは間違いの無い処だ。
もうすぐ令和になろうったって従兄の現状は8トラックで当時からあったMicだけと、デジタル録音機ったって条件的には’70年代前半と一緒だかんね。

それはさて置きこの結果を受けて俺のした安易発言がまたぞろプチ波紋を呼んでしまい、「太鼓の位相論」へ発展したが次回じゃ。

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