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2019年4月15日 (月)

音創り⑲ AmpのマイキングⅡ

前回はほぼ意義と概念に終始しちまったが今回は図も交えて、実例とその理由や結果へ踏み込んで行こう。
今回は断り無き場合にはOn Micの場合を前提としているが、これ迄にも述べて来た通り距離が離れると懸案事項は別の点へ移るので。

Photo_5
毎度の事乍ら飽く迄概念図なので細かい突っ込みは自重願うが、それでもスピーカユニットの描写等それなりにグレードアップさせたつもりだ。
先ずは上段から説明してくが上左は1.スピーカ(コーン型)の周波数指向特性(前面側限定)で、水色:低域・黄色:中域・緑:中高域・桃:高域の様子を視覚化したつもりだ。

次に上右の2.スピーカが4つ並んでるのはMicの指向軸位置(構える場所)で、色丸印は上左の各帯域への対応を示している。
下段左3.はBeatles初期の録音時のMic位置をAmp正面斜め上から眺めた様子で、実際にはブームスタンドだったりMicサスペンションが付いてたりしてたが省略させて貰った。

そして下右4.はバスレフ型のキャビネットでの音の周波数指向特性の視覚化で、やはり色は1.と共通としている。
どれもに共通事項なのは大凡の一般的な傾向で、スピーカ・その箱等次第で拙図とは結構異なるのもあるのをお断りさせて頂く。

1.スピーカ(コーン型)の周波数指向特性
周波数帯域の分別についてはオーディオとは少しズレてて「電気楽器用」で、大体水色は200Hz以下・黄色は400Hz以下・緑は800Hz以上・桃が2kHz以上ってな感じ。

因みにオーディオでは大凡可聴帯域を均等割りとしてるので、その意味では電気楽器には高域は殆ど存在しないも同然となる。
尤も含有率は僅少でも実際はある程度オーディオ的高域も出てるが、割合が増えすぎると多くの場合は「らしさ」が損われるだけとなる。

兎に角音域が上がる程正面軸上近くじゃないと聴こえなくなるのを知って貰う趣旨で、スピーカコーンの凹み具合が深い程普通は指向性も鋭く(聴こえる範囲が狭く)なるものだ。
んでこの指向性は距離と大いに関係があり「近く」だからこうなるのであって、充分に離れれば影響が殆ど無くなるのを分かって貰えるだろうか!?。

2.Micの指向軸位置
出てる高域を漏らさず欲しけりゃ「中心軸上」の赤色位置を狙うのが正しいが、多くの場合Bassで水色~黄色・Guitarなら黄色~緑色辺りへ構える事が多い。

その訳が上記したものでその1は奏者が「中心軸上」に居られるのは少ないのと、その2聴者も「平均すると」聴いてる位置が軸から外れるからだ。
又例え軸上でも距離が遠くなると大抵は到達音に複数の反射したのも含まれて来るので、相対的に高域の割合が低下する。

敢えて極端に言うなら低域オンリーになったら電子音や振動みたいに、高域オンリーだと物と物が接触しただけみたいな音になってしまう。
昔は充分にはありつけなかった迫力の低音とか明瞭度抜群の高域ばかりに気を取られがちだが、実は「何の音か」の成分は中域が主体だし大変重要だ。

録音では録画と違い視覚が無い分音だけで姿を想像させねばならぬのを加味したり、個人聴取ではLiveより聴き取り条件の良い場合が多いのも考慮すれば尚更だ。
中域は余りにも何時でも聴こえて当然・当り前なのもあって気持ち的にはちっとも目立たないが、これまた極論すれば中域が無い=空気が無いも同然と思って良い位なのだ。

かつて低・高域両端の確保に精を出してたのは収音・記録共に困難且つ必ず劣化してたからで、楽器の種類は良く分っても似た様な音色になり易かったからだ。
今では不要となって録音業界での悪癖でしかなくなったが、いい加減で脱却すべき処だろう。

3.Beatles初期の録音時のMic位置
俺的にはClassic的発想に基づいてる印象もあるが、それ以外にも理由を見付けられる設定だ。
先ず云えるのはMicの指向範囲に丁度Amp若しくはスピーカキャビネット全体が入る位の距離になってて、出てる音の取りこぼしの心配が無い。

次に安全度が上がるのが電源トランスからの雑音から逃れられそうな処で、初期の初期にはComboタイプのAmpだったからスピーカの割とすぐ背後には電源トランスが付いていた(る)からだ。
Micは電気・磁気に依って動作するので、なるべくそれらから離せた方が雑音が入らんって理屈だ。

真空管Ampでは他にもトランスが載ってたりするが、チョークトランス(電源電流平滑)は直流(厳密には不完全で脈流と呼ばれる状態)だからもし混入しても殆ど「音にならない」。
Reverbや出力トランスには交流が流れてるが「録りたい音」の一部であるのと、低効率な回路のせいで電流がかなり弱体化してるので大きな心配は不要だ。

そもそも多くの電気楽器Ampでは楽器からの入力信号が微小で雑音に弱い為、Input Jackと電源トランスはなるべく遠ざけられてる筈だから気が向いたら見てみとくれ。
大き目の電源トランスでは作りが悪いと(失礼)電気を流すだけでも唸り音の出るのもあり、加工精度の問題で昔の程唸っていたのは体験済みだ。

但し当時は録音機のトラック数が音のパートより少なかったので、今の様な分離度はMicを張付けたり別々のブースで録っても無意味だったのが注釈である。
それでもトラック数よりMic数を多くしてたのはソロの時「リアルタイム」で音量を単独で増減させたり、やはり「リアルタイム」でエコーを増減させたりが可能となるからだ。

因みにⅡで当時残響系ではスタジオクウォリティとなると所謂コンパクトエフェクタ等夢のまた夢で皆無、どんなスーパー奏者でも弾きながら操縦するのは不可能でした。
しかし技師も「リアルタイム」となると録音だとその場限りでなく生涯残るので、録音時奏者と同じかそれ以上の緊張を強いられたかと思うと頭が下がるですよ。

4.バスレフ型のキャビネットでの音の周波数指向特性
内容は既に述べてるので詳細は割愛するが、音の出処から距離が離れれば音量が下がるのに留意されたしだ。
例えば1.の黄色位置へMicを構えても水色の「範囲に入ってる」がMicがスピーカキャビネットへ「最接近」させてたら、黄色の元からと水色の元からでは距離差が倍以上あるのが分かる筈だ。

Mic1本だけで全部賄える様になるのは桃色の巾が、スピーカキャビネットの高さと同じ位になる迄遠ざける必要がある。
が、それはもうOff Micの範疇だ。

最後に敢えて1.に戻るが中心から離す方向が、図では左斜め下へ向かってるのは何故かだ。
それは3.で登場した電源トランスからの雑音回避の為で、ComboタイプAmpの多くは電源トランスが正面から右上奥に位置してるからだ。

通常Amp正面側からは電源トランスの姿は目に入らないので俺自身も含めうっかりしがちだが、「何処でも良か無い」って原則を持ってるだけでも注意喚起のキッカケ位にはなるんじゃないかって発想だ。
では因みにⅢで左上だって大差無い場合もあるじゃんに対しては、前述の如く入力ケーブルとの不慮の干渉の危険性が高くなりそうだからだ。

Ampがセパレートタイプだったりスピーカユニット数が多いと少し条件変化があるが、それは次回の講釈をお楽しみに!?。

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