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2019年4月30日 (火)

ドラムセットのマイキングⅤ

今回のキーワードは「太鼓の位相」と「シングルヘッド」で、シングルヘッドには穴開きも含めて進めて行く。
前回の如くMic位置次第で「低域に変化」が現われる場合で、音源との距離が殆ど変らないのなら位相の容疑が濃厚となるものだ。
しかも従兄が高域の位相回転現象(Phaser掛ったみたいな)を聴き抜いてしまったから、面倒が嫌でも考察してみるしかなくなった。

従兄は各太鼓とMicの位置関係(特に
距離)に目を向け、俺はそもそもの太鼓の出音の位相はどうなってるのかを想像してみた。
今回案件での逆相を簡単に言うと音波の一方が山の時にもう一方が谷だとで、波は上下「交互」に振れてるから相の正逆も距離次第で交互に訪れる。

先ず単純思考をすると叩かれた皮は凹むので、その反対側の皮はその時凸ってそうに思える。
だがもしそうだと太鼓が垂直で皮は横向きの場合左右片側でだけなら平気でも、上下前後から聴いたら音量が左右からのより減ってないと位相の理屈に合わなくなる。
でも普通は場所が変わっても電気楽器Ampなんかよりゃ、太鼓だと音が幾らも変らない様に感じられるんだが…。

Photo_6
そこで今回は観念図で1だが太鼓の皮両面の打撃瞬間時の様子モデルで水色が打面皮、左は上述単純思考の・中と右はそうでなかった場合の想定だ。
矢印で描いたのが周辺空気の流動方向で、黄緑とオレンジは両方共引っ張られるか押されるかが違うだけだ。
ご注目頂きたいのは黒矢印の場合で、引くと押すだとどうなるかだ。

詳細には胴厚分の距離はあるし空気の移動に僅かでも時間が要る等、この観念よりもっと複雑だ。
しかし今回案件で必要なのは空気の向きが「同じか反対か」だけなのでそこへ焦点を当てさせて貰うとして、その時の空気流動に離れた場所だと影響力差がありそうってのが検証点だ。

図左の場合だと赤皮で押された空気は「近くの」水色皮が丁度引っ張っているからその流動は、近所の空気が中心となって黒矢印みたいになりそうだ。
一方図の中と右の場合はどっちも押し引きが同方向なので「太鼓周辺」の空気だけでは足りず、結果的にそれより遠くの空気も押したり引っ張ったりしそうだね。

これ等を音に変換すればある程度より低い周波数域では遠くの空気に影響小のは離れたら音が随分小さく、影響大のは出元のから距離減衰分が差し引かれただけの大きさで聴こえるとなる。
って事ぁ太鼓が充分鳴る様に適正調整されてたら、その皮の状態は実は図左の様な単純思考にはなって無い事になる。

またドラムセットがちょっと他の楽器と違ってるのが各楽器の基本的な向きで、バスドラだけ打面の裏がお客へ向いてて他のは皆「横から」となっている。
バスドラだけに限定してもClassicのオケ等他のでも、大抵は横向きで皮はお客からはモロには見えない。

今回最新マイキングで試し録りした各トラックの波形をAudacityで拡大してみると、やはりバスドラのだけ波形(音)の出だしが「上から」となっていた。
この「上から」はMicダイアフラム(振動板)が「押された」のを意味してて、他のトラックではMicから打面が見えてるので「叩く→皮凹む→Micダイアフラム引っ張られる」で下からスタートとなっていた。

だが良く見比べるとバスドラトラックのだけスタートのタイミングが極僅かだが遅れていて、それは凡そ波形1サイクルの1/4程度他のより「後ろへズレて」いた。
もしこれが1/2や1サイクルだったら音波の山と谷が同時になるので、混入がある全トラックを同時再生したら単独トラック再生よりバスドラ音量が逆相のせいで小さくなってしまう。

1/4だと足し算と引き算の両作用があるのでトータルでは音量は増えも減りもしなくなり、それでウルサイ従兄も納得したんだろう。
但しこれはバスドラだけ共鳴皮側のOn Micで両面穴無し、それ以外のはどれも俺言い「準On Mic」で打面側収音の場合の話しだ。

2_1
試し録り結果を踏まえ観念図2を描いてみたのが上図で、一応上下問わず波形が最大になった瞬間を想像してみた具合だ。
実際にはこれ等の間の状態が連続で存在してるし、 両皮の状態ももっと中途半端な位置になってる場合が多そうだ。

しかし兎に角観念図1左或はそれに近い状態だと最大限に褒めても「指向性が鋭すぎ」で普通の太鼓としては不便でしかなく、それでは構造的にもわざわざ「そんな形」にこしらえる意味さえ無くなる。
しかも元からドラムセットではバスドラだけ「裏」がお客へ向いており、それでもし完全逆相状態になってたなら他のと同時に鳴らした時だけ音量低下と珍妙な事態に陥ってる筈だ。

その逆もしかりで参考に他楽器で単音のみと複数音同時に鳴らした時の音量差を考えてみると、総体的には複数時は単音より若干音量増位がデフォって処じゃなかろうか。
例えばずっと楽譜的に同じ強さのメロディで単音に途中からハーモニーが付く場合等、そこから急に余計な音量増加があっては不便なだけだ。

奏者側もそうならない様に自然と加減はするだろうが、楽器側の度合いが極端だったら対応が面倒で大変だ。
これの象徴例が単音と複数音の音量差が殆ど気にならない生Piano辺りかと感じるが、ドラムでも例えばリズムパターンの自由度等を考慮したら余り極端だとやはり不都合だと思う。

んでもってMic位置改良後に体験から少しだけでも増えたであろう知識を基に、従兄が先頭に立って他人様の例を2人で再分析へと展開した。
従前の解釈の錯誤修正もあるがそれ以上に、そうしてた理由の見落としがあるかもってのが中心だった。

要約から行くと元が2枚なのをシングルにした発祥はレコーディングが主な様で、収音方法がOffから俺言い「準On Mic」への移行と時期的に重なっていた。
皮への穴開けに至ってはもうほぼPAの都合に依っていて、これは次回とするがどっちも端的にはMicの都合なのが明らかだろう。

感覚的には例え裏からでも共鳴皮より打面のを拾ったら明瞭度が高そうだが、以前記した如く特にバスドラでは実際は差が僅少だったのは概述だ。
だったら何の為だったのよで、現況2人の推理はもしや録音時の位相が原因かとなっている。

対照的な例としては所謂メロタム(最初からシングルヘッド仕様)の収音で、宅で当初他のダブルヘッドのと同様表側から拾ったら生耳より著しく音程感を損ねていた。
小音量の小技を多用するならタッチ感保持の為には打面表一択だが、どうせそんなテクはロクに持ってないので試しに裏からそれも胴の中へMicを突っ込んでみた。

結果的に今度は音程感が大勢を占めた様になったが、シングルヘッドは元音がダブルのよりアタック中心なので俺ニーズとしては充分許容範囲内だった。
つまりシングルヘッドTomを表近くから拾うんだと、裏側の胴に依って作られた音が殆ど拾えて無かったと。
しかも皮が折角出した低域成分は皮が無くて増えた裏からの逆相回り込み音のせいで、皮の近くでは更に削がれちまってたか。

また従前表時代は中低域をEQで後で盛大に盛ってたが、それだと他楽器からの振動的共鳴が不自然に目立って弱った。
今裏式で今度は高域を後盛りしてどうなるかは未体験だが、何れにしてもMic「超On」だと対生耳では一点豪華主義化するのを覚悟しといた方が良さそうだ。

現況未実験だがこれに則るとシングルヘッドバスドラも、もし打面表(奏者側)から拾ったら低音が減っちゃうから誰もやってないんだろうか!?。
尤もそれなら両面張りのを打面側から拾う手もある訳で、しかしそんなの殆ど記憶に御座居ません。

マルチマイクが分離度向上目的ならバスドラ打面表は至近にSnare裏皮があるので気になるが、それも多くの場合は次の理由で不問になるケースが多そうに思う。
その鍵はドラムセット音のStereo化黎明期にあり、バスドラかSnareの一方をセンタ定位させると他方はほぼ無例外で左右のどっちかに寄っちゃってたヤツ。

原因はMic本数の少なさで2本なら火を見るより明らかと思うが、バスドラだけ専用にした3本だって普通に構えたらSnareにとっては2本と全く同条件で寄っちまう。
結局の処バスもSnareも比較的無理せずセンタ定位に出来るのは、超On Mic且つなるべく「個別立て」迄やんないと難しい。

ならないと困ってもなったら御の字のバスとSnareのセンタ定位、それに貢献しそうな両面張り打面表側収音が…無い。
それに特に昔のに多かったのが折角共鳴皮が無くてもっと近付けるのにMicは「胴の外」ってので、もうその頃のは耐入力音圧性能が超Onでも平気なのが使われてんだよねぇ。

この準Onは分離度的には超Onには劣るけど、実際録られた音は殆どOnの音でしかなかった。
するてぇと音色の為とか耐圧の為に遠ざける意味が無く、んじゃMic用ブームスタンドでも足りなかったかってばそれも違った様だ。

まだ検討要素に不足や欠落があるやもだが、消去法的には録音時の位相しか残ってる理由が無いんだわ。

<つづく>

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