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2019年4月10日 (水)

音創り⑰ ドラムセットのマイキングⅢ

今回は録音的厄介者!?ドラムセットの中でも、最も厄介と感じているCymbalを中心に行ってみよう。
何がそんなに困難にさせてっかっつうと、音の出る方向と一番それらしく良く鳴ってくれる場所にある。

全ての「音を出す物」は近い程音量も明瞭度も高いもんだが、Cymbalはある意味「鳴り方が変」な物のなのだ。
先ず最初に指摘すべきが聴いた印象と大違いに、思いの外中低域成分も多く出している処。
にも拘らず高域音楽器にしか聴こえないのは高域成分含有量の多さもあるが、その高域の拡がりや遠鳴りが格段に優れているのもあるからだ。

メーカやモデル毎に何処でどんな部分の音が鳴るかも様々でこれも録音となると厄介を招くが、同じ位大変なのが大きく沢山動く処だ。
もしMicもCymbalにシンクロして追従でもさせられたら違って来るが、太鼓同様至近に置きたくても音源との距離変化の比率が大きくなるから実質的には不可能だ。

もしMicが近過ぎると生耳ではCymbalが大きく揺れてても音自体は幾らも揺れて聴こえないのに、Fender Ampのヴィブラート(実際の効果はTremolo:音量の連続的大小変化)を掛けたみたいになってしまう。
敢えてそれに目を瞑っても鳴り方の事情で、音色的にも普段の生耳のとは違っちまうから2つも重大な欠陥をもたらすのでアウトだ。

唯一の朗報としてはMicがOff目になっても明瞭度等は余り低下しない処で、これは楽器の第1目的が指向性の強い高域なのもあろう。
もし単独収録なら思い切って少しOff Micにすれば音色を含めオーライで、太鼓等より楽器自体の余韻が長い上高域成分狙いの為ハコの残響から受ける影響も少なくなる。

加えてドラムセットでの収録で不利なのが、物理的音量が太鼓より実はかなり小さいのが苦しい。
聴感上ではちっともそうではないが目立つ高域のお陰でバランスしてるだけで、Cymbal用に構えたMicへの他音の混入度合いは太鼓の隣接のと違って必ず問題となる位大きくなってしまっている。

では非常手段で録音時にバカでかいCymbalを持って来りゃったって、それだと今度は奏者に太鼓の音が聴き取り辛くなるから幾らも出来ない。
それどころかプロの現場では普段14inchのHi-Hatの人が、キレを求めて13のに替えたりするのも常套手段と化している。

こんな風に愚痴ってばっかでCymbal嫌いと誤解され兼ねないが、従兄と比べたら全体では負けるがHi-Hatへの拘りは俺の方が上らしい。
そしてここ迄文句を羅列したのはそれでも何とかするのには、相手を良く知っとくのが大事になるからだ。

漸く具体的段階へ入るが先ず一般的な収録方法っつったら、CymbalはOver Topがデフォルトだ。
但し俺体験的には残響が短め且つ天井高が普通の部屋の倍位以上じゃないと、かなり気を付けても中々想定通りの音は得られない様だ。

無響室以外で無響室みたいな完全吸音になってる天井ってのは皆無に等しいから、天井板が近いとCymbalとMicが遠いのもあって反射音の影響の方が大きくなってしまうみたいなのだ。
加えて太鼓とCymbalの高低差が足りないと混入する太鼓と音量が拮抗したりして、確かにCymbalは拾ってくれるんだ
が実情は金物Over Topってより単なるOff Micと化す。

この様に貧民には太鼓以上に厳しいドラムセットのCymbal収録であるが、Micセッティングの不利を多少なりとも補ってくれるのがコンデンサMicだ。
ダイナミック型での収音具合は以前から触れてるが、Shure SM58等でも駄目では無かった。

だが過去宅で苦肉の策で使ってたAUDIXのD-1では58より高性能なのに駄目で、指向性が鋭すぎるのや超On向け設計も怪しいが反応の良過ぎがどうも不味かったらしくかなりザラついた音色になってしまっていた。
高音域になるとオルガンの持続音ですら鋭さが出て来る位で、収音としては特にCymbalの場合はアタックより余韻命だからだろう。

以前より拙ブログでは再三述べてるが同一クラスのMicだったら、アタックのリアリティはダイナミックが優れるが余韻についてはコンデンサの方が圧倒的に勝っている。
よって太鼓で特に超Onなんかの時アタックを漏らさず拾いたきゃコンデンサでは遅れちゃってて、実際宅の真空管コンデンサRODE K2とAUDIX Dシリーズで録った波形を見てみたらそうなっていた。

だがかなり邪道な発想観点だがCymbal用コンデンサと太鼓用ダイナミックの両方に太鼓の音が入った場合は、僅かな時間差でも「先に聴こえた方」が耳には目立って聴こえるのだ。
しかもコンデンサの反応遅れはアタック頭の瞬間最大音量部分はある意味スルーしたのと同じになるので、Micへ届いてた実際よりもピーク音量が下がったかの様な現象が起きているのだ。

近年は残念乍ら高耐入力音圧の普及版コンデンサを見掛けなくなってしまってるが、上記意識観点で極論すれば歪みさえしなければCymbal系にはコンデンサの方がとも言える。
因みにGuitar Pickupの種類に依る音色差をご存知なら、ダイナミックはSingle Coil・コンデンサはハムバッキングってな感じと思って差し支えない。(又もや詳細は次回😓)

連続で因みにⅡでOn Mic収録時は聴感上の都合等で後処理Compressorを大抵掛けるが、根源的には言わば生耳時の音源と人耳間の空気クッションの代用だ。
これもダイナミックより瞬間アタックに対しては速度的に低反応なコンデンサでは、コンプレス若しくは掛りが軽重でも耳馴染みに耐え得る音が得られる。

もう1つしばしば苦しめられるのがHi-HatとRideの音像定位の問題で、一般的には左右両サイドに離れてセットされてるのに逆側のMicが案外拾ってしまったりする件だ。
そもそもCymbalは垂直より水平方向への音の拡がりが凄いが、それで人が1人で手が届く位の間隔では音の減衰が他より僅少となってるのが災いしてる様なのだ。

しかも面倒なのが音量的には本来サイドMicの方が大きくても、俺言い目立つ倍音は反対サイドの方で大きく拾えてしまってたりする場合があるのだ。
もしそうなってると具体的にはヘッドホンで聴くとあるべき側に居るのに、スピーカから聴くとまるで反対側にあるかの様に聴こえるなんて現象が発生するのだ。(つい最近も従兄の処で体験)

気のせいかもだが過去の米作品では本邦人より録音でも全開でブッ叩くからか、或はリズムパターンの核なのでスピーカの左右どっち寄りで聴いても聴き取れる様にの意図かHatとRideはモノラルっぽくなってるのも多かった。
しかし俺的には登場頻度の低いCrashよりHat・Rideがステレオで居て欲しいので、そんな場合は最低でもHat担当のMicを限度一杯までHatへ近付ける様にしている。

その他Hatでの永遠の課題はSnareとの収音時の音的相互干渉で、特にSnareとHatの高低差が少なかったりすればSnareとHatを明確に違う場所へパンニングするのは諦めた方が賢明だ。
これも13inch Hatの件と同様、敢えてHatは殆どセンタの理由かもだ。

一方SnareにGateが掛ってたりすると、Back Beat時だけ急にHat音量が大きくなってたのなんかもあった。
’70年代一部でBack Beat時にわざと瞬間的にHatをOpenにさせてなのなんかは元は怪我の光明由来なんだろうか!?。

Cymbal収録は一般的にはHi-Hatだけ低い位置にあったりするので、Over Top+Hat専用ってのがデフォである。
尤もRideが音量控え目なタイプだとこれの音像定位が曖昧になり勝ちで、俺的にはCrashに「犠牲になって貰う」方法の方が気が休まる。

俺感覚では本邦では割とCrashは「遠慮の無い」録音のが多い気がするが、アンサンブル観点からするとこれは頂けない。
他楽器の聴き取りに支障しても構わんのならそこへ他楽器を入れる必然性に疑問が生じるし、ピンポイント的なニーズなんだったら追加録音も可能なのにそんな最初からバカみたいになんて思っちまうのだ。

俺言い「ドラマーナルシズム」観点では常に演ったままに記録されるのが良いんだろうけど、過去作品では曲やニーズ次第でCymbal音量バランスが意図的に増減された作品も海外のには多かった。
けれど曲全体で聴く分にはそれが全く気にならないもので、極端なのでは叩いてるらしきCrashが殆ど聴こえないなんてのもあったなぁ。

若干乱暴だが聴者最優先思考で行けば誰も聴かない聴こうと思わない音は、録音に入って様と否かろうと知ったこっちゃ無いのである。
そう云うのは良く言えば隠し味かもだが、厳しく云うとアンサンブル的には無駄な音かも知れないのよ。
或は録音初期段階では必要だったが、他楽器を色々足して行ったら不要になったとかね。

俺も該当してるので何なんだが、近年はたった1曲にも一々ご丁寧に何でも全部叩いてるパターンが多い。
だが過去の名作には意識しなきゃ全く気付けないが、良く思い出してみたら例えばCrashがとうとう最後迄一度も出て来てないよなんてのもかなり沢山ありまった。

何れにしてもHat・Rideの分離度を稼ぐにはMicの間隔をなるべく各楽器から離れずに拡げるとか 、Mic感度低目でも拾える様にそれぞれへ近付けるのが必要だと思う。
又俺がHat・RideをCrashより優先させるのには別の理由もあり、余程奇特な使い方じゃ無い限りCrashの方が必ず「長い音」で使うからだ。

短い音はその瞬間に聴こえなけりゃ無いも同然になってしまうが、長い音ならその鳴ってる間の何処かで聴こえれば最低でも入ってるのは分かるからだ。
また特例外が稀に有るか知らんがCrashで極度な小音量でリズムキープなんて場面は思い浮かばんし、特別弱くCrashを入れる場合その目的は余計な隙間を埋める等だと考えられるからなぁ。

最後にCymbalの「近くでもらしい音」が得やすい位置についてだが、それはCymbalのフチ・端っこだ。
Cymbalはスティックチップで叩いたアタック音はその上側に一番出るが、それ以外と余韻の高域成分は多くはCymbalの縁から水平方向へ出ている。

故にMicは「縁狙い」となるがそうなると「揺れ」が大問題で、中々思った様にMicを近付けられなくて参るのである

ついさっきベテランの従兄には、「ドラムセットの音は基本的に明確な分離は不可な物」って言われちまったぃ。

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