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2019年4月 7日 (日)

音創り⑮ ドラムセットのマイキングⅠ

前回の流れからまだ試行錯誤中なのに物申すのも何だが、それでも体験から分かってる範囲の事を一度まとめておこうって趣旨で。
恐らくマイナーだが敢えてなるべく独自の観点から、でも大事だと感じたのをつらつらと。👣

始めはそれこそ前回の続きだが、そもそもどれ位の距離からがOn Micなのかについてだ。
ハコ(録音Studioとか技師とか…)によっちゃ規定があるかもだが、一般論として明確な特定距離なんて聞いた覚えのないのがコレだ。

そこで逆転の発想で少しでも核心に迫ろうと思うが、ドラムセットでマルチマイクにする意義・目的を考えてみよう。
正攻法の価値としては各楽器の自由な2ch以上での記録時の音像定位等があるが、「元の並びを再現したい」だけなら2本でも上手に配置すれば済む。
それからすると最大差は、目的楽器以外の音の混入度合いと云えるのではないだろうか。

Off Micだとどんなに少なくても無響室ででも無い限り演奏した場所での響きか必ず混入し、これが後から違う響きとしたい時等に邪魔になってしまう場合が出て来る。
収録場所と求める残響が不一致の際Reverbを掛ける等「後処理」で調整するが、足す方は出来てもマトモな手段で減らしたり削ったりはほぼ不可能だ。

故にこの点からだと極力音源に接近させるのが望ましく、もう思い切って各太鼓に内臓させたりすれば理想的だ。
だが究極近接にも弱点があって、その最たるのは生耳のとは掛離れた違う音になってしまう点だろう。
通常最も楽器近くに居る奏者ですら、騒音下でチューニングしようなんて時以外はもっと「耳は遠く」にあるからだ。

最近従兄が「On Micでも普通より少し遠目」を気に入った原因がこれで、奏者としては自分の出したとの同一性は重要だろう。
しかしこれへ平気で突っ込み入れちゃうのが俺らしいと勝手に自負してるが、もっと視野を広げれば「ドラマーナルシズム」とも思える発想に過ぎない。
主要聴者たる観客は普通はもっと遠くに居るもんだし、そもそも「聴く側が反対向き」なのである。

近年本邦ではLiveでもPA常用になっちまったしマルチの音の方が馴染みがありそうだが、本来的に聴者耳を再現可能なのは奏者反対側からのOff Micが適切なのだ。
それも耳の数とMic数が一致してる2本が望ましいが、Micが耳より多数でも近似な仕上がりになってたのが過去の名作にはあった。

それはBONZOサウンドの主流のだったり初期Beatlesのだったりするが、これを無理無く達成させるには元から所望の響きが得られる場所で録らなきゃなんない制約がある。
これ等を鑑みると求める音次第ではあるが、通常平民にはどの道「そのものの音」を最初から収録するのは極めて困難って前提を覚悟するしかなさそうだ。

かつてプロの世界でもマルチMicが普及した背景にも次善策要素が多くて、記録媒体の性能不足の補填があった。
故に暴論的に述べればドラムセットへのOn Micは、所詮次善策に過ぎんと思っても大間違いじゃない。
但しOnやマルチにして効果が得られる条件は明確なので、それを次に記して行こう。

先ずは単なる距離が問題でドラムセットの場合は、音源と各Mic同士の間隔だ。
前述の通り音源から離れる程らしい音に近付け易いが、Micから担当音源と隣接音源との距離差を最低でも倍以上にしないとわざわざ個別に設ける意義を損ねる。

次に単ならない距離と方向が出て来るが、例えばSnare用のMic等で発生し易い問題だ。
最近の従兄との実験でもより体感したが、Onでも割と離さなきゃなんないのがCymbal系とSnareだ。
要するに音を出す場所が複数だったり広かったりするからで、だがうっかりしてるとSnareへ向けたMicの頭が距離的にはHi-Hatの方が近かったなんてのが起きるのだ。

Micには前回述べた指向性があるから高域はちゃんとSnare主体になってくれるが、Hatの大抵は不要な低域だけご丁寧に盛大に拾ってくれちゃってたりするのだ。
狭い所へ角度や向きの制約もあって厄介だが、その為だけに楽器の距離を広げるのは本末転倒だ。

またここで云う角度とは例えば皮とMicの事で、指向軸はちゃんと中心を向いててもMic頭と皮の距離がかなり近かったりする場合の問題だ。
先述の如くMicに指向性があるってもそれが安定・一定になってるのは中域以上で、音域が下がる程鈍くなって「向きで感度の加減」がどんどん効かなくなってしまう。

Dmic1
少しでもこんがらがり回避の為に拙い概念図の登場だが、左2つは太鼓の皮とMicの角度違いについてだ。
右2つは横並びTomについてで手抜きのせいで同じの2つに見えてるが、気持ちとしては一般的なツインタムを想定している。
また右2つでは3色のMicが並んでるが太鼓との角度・皮との距離は同一で、方向だけが違ってるってつもりだ。

では左2つから参るが実際は状況や好み次第で軸が端を狙っても構わないが、一応アタック音を漏らさぬ意図でMic指向軸は何れもど真ん中へ向けている。
相違点は横目からか上目から狙うかだけだが、それに依って自動的にMicの頭と皮との距離にも差が出ている。

これを青と赤の線で示したがその距離が最左では3倍かそれ以上の差になってるのが、左2番目のだと倍未満の差しか無くなっている。
んでもし最左みたいに全然狙って無くても極端に距離が近いと、少なくとも低域ではMicの横からの音の方が大きく拾われてしまうのだ。

かと言って安易に遠ざければ今度はお隣さんのとの距離差が減って、独立性を損ねてしまうから限度がある。
皮に対して垂直方向の距離巾が足りないかもとなると残りは水平方向で、ちっとも万能じゃないが右2つのが対応策だ。

Micの黒のをニュートラル位置として青のは低域を、赤のは高域のお隣との分離度を稼げる向きだ。
先ず赤のは頭は近寄ってるから低域は隣のも拾い易いが、方向はそっぽを向いてるので高域は拾われ難くなる。
次に青のだと指向軸がお隣のすぐ近くを通るので高域の分離は今一だが、頭は他の2つより離ればなれになってるから低域の分離度は高めに得られる按配だ。

尤も実際には青・赤の位置がCymbalの稼働範囲だったりして思うに任せない場合も多く、従兄の現況ではCymbalがすぐ隣の低めに位置してるのでこの手が使えない。
最終決定権は奏者次第だが幾ら録音の為でも明らかな間違いでも無かったら、技師がドラムセットのセッティングに注文を付けてパフォーマンスを低下させては本末転倒だ。

んな具合だから焼け石に水と迄は行かぬが、全くドラムセットって奴は…。

<つづく>

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