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2019年4月21日 (日)

音創り㉓ エレピ等Ⅱ

前回具体的な使い方迄言及出来なかったのでその辺り、Ampのセッティングや録り方等を少々。
大枠としては収音が電磁気式で電気楽器用のAmpを使うので、エレキGuitarやBassと基本的な部分は一緒と考えて良い。
キーワードは「ハイインピーダンス」と「真空管Amp」だ。

音色を極めるのは最後は感性頼みとなるがそれだけでは遠回りなので、俺らしく簡単な構造解析から始めよう。
Organ(持続音)系以外のはGuitar・Bassの生対エレキと同じく、基本的には生の発音方式を継承している。
弦では無くボディやブリッジの振動を拾うエレアコ式もあるが、鍵盤でそれに対応してたのがYAMAHAのCPシリーズ等だ。

前者の音色は高域目立ち・中域主体・後者は比較的ワイドレンジとなっているが、これぞまさしく構造・方式がその原因となっている。
順を追っていくと先ず「高域目立ち」の原因は「発音方式」にあり、鍵盤系の殆どは発音体(主に弦)のとっても端っこを叩いたり引っ掻いたりさせてるからだ。

Clavinetに一番近似な音色得るのにGuitarの低音弦でブリッジすれすれを弾く手があるが、弦の真ん中を弾くのに比べて一番倍音含有量が豊富になるよね。
だが良く聴き込んで貰うと分かるが、Clavinetの方はGuitarよりオーディオ的には高域が全然出ていない。


この「実際は中域主体」の原因が拙ブログで再三登場してる「電磁Pickupの方式」で、その多くは各鍵毎に個別にPickupを持っていて全部「直列」につながれている。
過去に並列接続仕様もあったが鍵盤楽器の特徴の音源と鍵盤が同数に反するからか、音色や反応に不都合で普及せず電気音響的には芳しくない直列接続が主流だった。

すると鍵盤数が少ないのでも数十個が直列になるのだから、弦系のより更にインピーダンス(交流信号抵抗)は高くならざるを得なくて「籠って来る」のだ。
S/N比(信号対雑音レベル)や伝送特性に不利だがハイインピーダンスには特有の様々な事象・特性・音色があり、電子式(デジタル音源の)みたいなオーディオ的Hi-Fiは望めないがデジタルでは代替不可な別の魅力もある。

鍵盤系電気楽器にもGuitar・Bassと同様ローインピーダンス仕様があったり、Bufferを入れたりして使う場合も勿論ある。
けれど電気楽器にとってはローインピーダンスのはバリエーションで、俺的には基本はハイインピーダンスも含めての物だと思っている。

物理的音質としてはローインピーダンスの1人勝ちなので必要性が無けりゃその方が良いが、楽器・手弾き…等を最大限に表現しようとするとハイインピーダンスの方が適しているのだ。
本来低性能では困る処なんだが例えば狭い道を通って近所のスーパーへ買い物に行くなら、フェラーリより軽自動車の方が何かと好都合なのと似た様な感じなのだ。

そしてハイインピーダンスとなると真空管Ampの方が適合性も高く、上記比喩に準じると石のAmpへ繋ぐのは軽自動車にフェラーリのタイヤを履かせる様なもんとなる。
そんな事をすればタイヤ巾が広過ぎて最小回転半径が大きくなって取り回しが悪くなるし、走行抵抗が増えて燃費も悪化するだけだ。

また聴感と理論が異なる原因には楽器とオーディオの違いもあり、人が音程として感知出来るのが音響的には中域迄ってのもある。
つまり音程としての高域はどんなに高くても音響的には中域の範疇で、Cymbalにだって音程はあるんだが大抵はそれを誰も簡単には言い当てられなかったりするでしょ。

見掛け上は石のAmpでもToneつまみのMiddleを上げたりすれば特定音単独では近似状態が得られるが、違う音程を弾いたとたんに所望のバランスから外れてしまう。
機械的に正直なのが楽器として好都合とはならない場合があるからで、石Amp専用電気楽器が未だに現れないのも原理的にほぼ不可能だからなのだ。

要は電磁Pickup式ハイインピーダンス出力のなら、どれでもつなぐ相手は真空管Ampが基本なのですわ。
鍵盤楽器って弦楽器と違って普通は音源に直に触れないし触らないからその面で小手先の小細工も出来ないしで、実は鍵盤系こそ真空管Ampが必要で特別な意図も無しにうっかり石経由のみでLine録りになんかすると魅力を発揮し損ね易い。

さていよいよ具体的段階へ突入するがかつては真空管のでMarshallを例に挙げると、Guitar用Bass用の他にKeyboard用なんてのがありやした。
が今は多分何処もそんなの出してない(石のは別)のでどうするかっつうと、ある程度低音が出せる物ならGuitar Ampで大抵はOKだす。

もしBassレスの編成だったらBass Ampの方が良い場合もあるけど、それよりも兎に角「真空管」へ是非拘って頂きたい。
デジタル音源のだって真空管へつなぐ価値はあるけれど、前出「ハイインピーダンス」出力の時にローのとはAmpの反応が大巾に違って来ますのでね。

因みに(石のは別)って言うのは近年のはデジタルのをつなぐのが主流だから、なるべくレンジの広さでPAに負けないのを第一義とされてるからです。
デジタル音源のは生演奏時のアンサンブル内でどうかは別として、基本的に楽器から直にヘッドホンで聴いてもLine録りしたのをオーディオで聴いても音が殆ど変わらないしそうなる様に作られている。

この様にデジタル楽器は単体で完結してるけど、電気楽器は楽器とAmpのセットで成り立ってる楽器なのを呉々もお忘れなく。
2つ無いと駄目とは面倒ではあるがその代わり組合せを変えて音色バリエーションを得られる利点もあり、デジタルのでは基本的に持ってないカードだ。

こんなん語っといて俺はLive等ではIC Buffer Ampなんかも多用する口なので一見矛盾と思われそうだが、基本的性質を知ってる上で適宣用いる分には大丈夫だからだ。
「知らずにやるな」と唱えるのは、そのせいでAmpのToneセッティングや弾き加減を誤認する危惧も大きいからだ。

もっとぶっちゃけちゃうと特にBassの場合で常用楽器がとても弦の状態に対して正直なので、古い弦でも高域を誤魔化して出すなんてしょーもない理由があったりする。
最近記した如く個人事情でBassはスピーカ録りが困難な現状だが、それだけに真空管Pre Ampだけは最低でも必ず通す様にしている。

加えてもし歪ませ音色が欲しい場合はもうどれでもスピーカ録りじゃないと無理で、歪み方の他に後述の周波数バランスの相違もあるからね。
理想と現実に距離はあるのが常だし知らなくたって死にぁしないが、知らなくて損しても知ってて損する事は無い。

楽器の音って感性等を抜きにするとオーディオ的にはローインピーダンスの方が音色が美しく、下手をするとその美しさへ依存してしまう。
だがオーディオと楽器では高音質の条件に相違があり、聞えて綺麗よりも絶妙に奏でた際に最高に美しくならないといけない。

楽器理論でデジタルとアナログ・機械と人力・インピーダンスのローとハイを比べると、前者はリニアだが融通は一切効かず後者にはその正反対の性質がある。
また後者で俺的に特筆しときたいのが、「ショボくても何とか使うに耐えられる」音が出る処だ。

ここで電気楽器(ハイインピーダンス設計)のをローにして鳴らすとどうなるかを挙げとくと、先ず中域に次に高域に違いが現われる。
一聴段階では高域増加で明瞭度が上がった感じを受けるが、大抵は中域の割合が減少・不足し各楽器の個性や艶がかなり低下する。

場合に依りけりだろうが折角聴き取りが向上しても「肝心な部分」は減ってしまうし、中域の「鳴り方」自体にもかなりの変化があってこれはEQで補う事は出来ない。
なので何かの意図があってわざとじゃないなら、楽器の「原設計と違う使い方」は少なくとも録音ではなるべく避けた方が良いと思う。

また理解不足の業者等は「今迄途中で欠落してた高域がちゃんと伝わって聴こえる様になります」等とほざくが、マトモな楽器だったら
予めそれも考慮して設計されている。
なので幾らオーディオ的にHi-Fi化しても、多くの場合「そのまま」だと楽器としては高域過多な音色となっているのに注意が必要だ。

かつて本邦でスラップBassが流行り出した頃、録音トレンドも丁度Line録りと大体同時進行した時期があった。
当時は記録媒体がアナログテープだったので誰もが高域が削られるのと格闘してたが、それで兎に角一番ブライトな音を出せた奴が勝ちみたいな風潮があった。

処がそれが行き過ぎてBassなのに肝心な低域割合を減らし過ぎて、アンサンブル内でのパートとしての役割を果たし切れん様なのも出て来よった。
Bassでは幾らブライトな音色を求めるにしても低域が主体でなくては、音域が同じだけの別の楽器になっちまうのを見落してた訳だ。

今回の鍵盤系電気楽器の音色はしかるに倍音主体だが中域主体で、これが音色上の最大の特性となっている。
エレピはクラビより倍音が少ない印象があるかと思うが、倍音の帯域が低目だったり整数倍のが多いのでそう感じられてるだけだ。

或はCymbalってば高域の上の方が目立つのでアホな俺は一時期超高域ばかりをブーストさせたりしてたが、実際に一番キレや鮮やかさを司ってる帯域は中域の「すぐ上」位にあった。

大サービスで種明かしすると大凡4kHz辺りが肝で、ここをほっぽっといてそれより上だけ弄り倒しても「Cymbalらしい高域」は得られなかった。
そんな「失敗サウンド」はどんな感じかってぇと、音程感が乏しくなったり音量の割にちっとも目立たないなんて風になる。

では最後にオーディオ的高域は楽器ではどんな部分に値するかと言うと、エレキBassの指弾き時が顕著だがズバリ「タッチ感」だ。
触るのの象徴として本のページをめくる音を例に挙げるがそれどんな音?、シュッとかシャッとか掴み損ねてカサカサとか声で言えば囁きみたいな音でしょう。

但し今回の鍵盤系は少しここが例外的で「音源のタッチ」を直接は加減出来ないのと、構造的に殆ど扱えなくなっているので弄っても弦系よりは効果が少ない。

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