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2019年3月 6日 (水)

音創り⑦ 歌物のミックスバランス編

俺の古臭そうな好みから外れるから余計そう感じるのか、歌詞最優先と思しきそのJ-POPの歌詞の聴き取りが疲れて仕方無い。
歌詞命ならどうしてあんなに無暗に後ろを喧しくするのよ?、工事現場で聴くべき労働賛歌か何かなのかい?。
でも老体に無理して漸く聴き取れば恋の歌が多いから、んじゃ肉体労働の職場恋愛なのかよってね。

さて当ブログではしばしば登場する音量バランス案件ですが、歌物で特に日本語の場合は他言語より本来は特別な配慮が必要なんですッ。
ハングルやヒトラー時代のドイツ語等だとアクセントが強烈だから埋もれる事はまず無いが、こっちは冷静なら延々と平坦が続きます。
その上ちっとも強くない母音と子音で、洋楽Rockテイストを出す為に矢沢永吉なんかわざと唾が飛ぶような発音にしてましたなぁ。

なので日本語で洋楽テイストを最大にしたくても本家の丸パクリで、演奏の音量バランス「だけ」を大きくするのは愚の骨頂なのだ。
英語圏では単語や言い回しが日本語より少なく、ストーリーで聴かせられても言葉自体の差で聴かせるのが幾らも出来ないみたいだ。
そもそものコミュニケーションの取り方からしてこっちなら言葉だけでも普通だが、あちらではゼスチャー併用が当たり前。
つまり各人の解釈差もあるだろうから言葉だけでなく、微妙なニュアンスは動作等で働きかけるのを選んだって事だ。

今では音楽も「映像付き」が普通になったけど、それ以前はゼスチャーの分を音で何とか表現しないと言葉足らずになっちゃうね。
それと発音のイントネーションやアクセントの差で、歌が小さ目でも聴き取りに困らない特性が元からあった。
そんなだから一部例外のAerosmithのWalk This Wayが早口の嵐でも、さだまさしのお経みたいに続くヤツに比べりゃ実際の言葉数はまだ全然少ないんざんす。


慣れや音の雰囲気のせいで実感は湧き難いが、日本語は早口じゃなくても情報量が多く限られた時間でウォーリー全員見つけろ状態になってんだ。

なので僅かな一瞬の子音1つが欠けても読解に大きく支障が出て、これ等を避けるにゃ歌を大き目にしとくっきゃ無いんだわ。
毎度の変ちくりんだけどもこれを以下に具体的に例示しましょう。

お題をI Love Youにするが、カタカナ化するとアイラブユーの6文字になる。
純日本的に発音すると文字数通り6音(伸ばす「ー」も個別に音にすると「う」)になるが、英語でしかも歌中で聴き取りに要するのは「ア・ラ・ビュー」位の3音で賄えちゃってません!?。
文自体を和訳すると「ワタシはアナタをアイしてる」で何と13音に更に大増量、歌だからって日本語ではギャル語みたく「ワタ・アナ・アイ」なんて無理に省いたら誰にも分からない宇宙語になるからそれもダメだ。

これで先ず物理・論理的にラテン語系と同バランスは無理なのが証明されたが、だからって「大人しい伴奏」しか無理との危惧は無用で御座居ます。
古過ぎ例ですぐ分かる人が居たら記念物並かもだが、洋物だが真っ先に俺が浮かぶのは
シルヴィ・ヴァルタンの悲しきジプシーだ。
これ太鼓は全編に渡ってかなり激しく叩かれてるが、音量バランスは珍しい位かなり小さ目になっている。

少しバロックチック感を出す為か鍵盤系はポピュラー系ど真ん中にしては若干大き目だが、小音量でもハードな太鼓が裏にあるお陰で俺みたいなRock好きも惹かれたのだ。
もし並音量でも太鼓が大人しかったなら只の暗めのシャンソンと思って、大奮発してドーナツ盤ゲットに至らなかったに違いない。
これ伴奏では主役の鍵盤にしても装飾フレーズ以外は白玉系中心で、太鼓だけがすっと色んな事を演っている。

それ故バランス的に小さくても1つだけ「他と違う」ので、充分耳に留まって印象に残った。
音量と音色しか目立たせる手が無いと勘違いするのはバカ丸出しもいい処、だいいち「棲み分け」を考えんと方法がたった2つだとホントに前へ出せるのもやっぱり2つしか無い。
その他にも数多の方法があるのを用いれば、お互いを邪魔せずにどれもに存在感を持たせられるのにオォ勿体な。

戻って例示曲についてもう少し触れると普通の歌とサビ間の、歌が休符の処で急にクラビコードが出て来るのも効果抜群だった。
余韻が太鼓並に短い楽器だからコンプレスだと音量を大き目にしないと音程が聴き取り辛くなるが、歌が留守なら平気とは上手く押し込んだもんだ。
近年のラップとかだと歌パートの休符区間が僅少かもだが、人は息継ぎが要るので必ずどっかに隙間が出来てしまってる筈だ。

どのパートを担当するにせよ「単体」「単純思考」では「これだけハッキリした音色なら絶対埋もれないぞ」と思いがちだが、いざアンサンブルになったら裏目に出る事の方が多くなる。
特にミキサー氏が俺みたいに音的博愛主義だったら、お邪魔な「出る杭」は下手すりゃ勢い余って徹底的に叩き潰しちゃうかんね。
これは単なる好き嫌いじゃなくある意味「曲を理解出来て無い」証拠の現れだから、程度が悪いと幾ら頑張っても「適合箇所」が見つけらんないからなのさ。

ミキサー氏は演奏してないが聴者は必ずしも不具合が「誰のせいか」は分からんし、軽く聴いて楽しむのにそんな探求は不要だ。
すると元は奏者の瑕疵でも「何でこんな変な音を大きくしてんだよ」と、ミキサー氏が容疑者にされる危険だってあるのだ。
それでも「ミキサーは最低だが曲は最高」と思われる保証がありゃ良いが、混ぜる以前の段階で欠陥がある位だから期待薄だ。

また近年ではデジタル楽器を中心に単体で出せる音の種類が無制限に近くなったが、複数楽器が息を合せて鳴らすのに依って得られる「合体音」にも再評価が欲しい。
以前に触れた気がするがAl GreenのLet’s Stay Togetherが有名な、Hi Recordsのお得意のリズムアンサンブル等が嚆矢と感じている。
実際に演ってるのはSnareのBack Beatと同時にCongaの低いのをオープンで同時に鳴らしてるだけだが、チープな録音音質と音量バランスが同一等のせいで聴き味を別物化させてるアレだ。

ドラムセットとCongaの組合せだけなら幾らだってあるが、それらとの大きな違いはもう殆ど「TomみたいなピッチのSnare」にしか聴こえない処だ。
アホな俺は中々秘密が分かんなくて超深胴とかウルトラローピッチのSnareを探索したが、それらのどれとも違う音なのだ。
従兄の太鼓の先生の指摘通りSnareは胴が深過ぎれば、単にスナッピー(響き線)の反応が遅くなるだけだった。

Wikiのバスドラの英語版にも音程下げたきゃ胴を深めるんじゃなく、口径を大きくするしか無いと載っててご尤も。
唯一残った可能性は大口径Snareとなるが、もしあっても作ったとしてもワイの短足では股裂きの刑になってアウトだろう。
今の音響環境では再現はとても厳しそうだが、こんな「あり得ない楽器」を基本的には組合せだけで作れたりもするんだから見逃せない。

一面で企業秘密だが出血大サービスでバランスの取り方を少し例示しとくが、各パートが同音量ならどうするかだ。
一体化が可能だったりしても構わんのなら同時発音しても平気だが、それが困る場合はタイミングをずらすのも一興だ。
短めの減衰音のだったら一番単純なのだと交互に鳴らすってので、余韻部は他のと重なるがアタック部は独立するから邪魔は殆ど入らなくなる。

前述の俺言い「バーチャル合成」が成立すれば2つで鳴らしてても1つにしか聴こえんから良いが、2つに聴こえると聴き手に依ってはどっちかが無視されるから犠牲が生まれる事になる。
しかもここでは同音量って定義してるので、聴きたい方に対して気持ちでは無視した他方のが大いに邪魔者となってしまう。
これより全体で目立たせるのが可能なのは、かなり完全に音が一体化した場合限定なのが分かって貰えるだろうか。

但しこれはチームとしては有名だがそのメンバーは無名って状況なので、今の本邦の指向性とは合わないかも知れない。
メンバーも漏れなくアピールしたいなら古典的で新味に欠けるが、順番に見せ場を設けるのが鉄板だし確実だ。
そしてその場合脇役に回った時には万難を堪えて、黒子に徹しないと効果が出せない。

行き過ぎた明瞭化はここでも可能性を狭めてるだけで、音量バランスも無理な画一化は弊害の方が圧倒的に多い。
息は一度吐かなきゃ吸えないのに、そんなに皆死にたいんだろうか。
近年スポーツの大選手が衰えてもクビになる迄続けるってのと、闇雲に何でも最大音量にするのとは全然別なんだけどねぇ。
衰えても続けてりゃチーム事情でレギュラーを外されるのは必至で、それは表舞台に立てるなら「脇役・チョイ役でも良いから」ってのを認めてるんだからさ。

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