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2019年3月23日 (土)

音創り⑩ バスドラのシングルヘッド・ダブルヘッド 後日談

今週は従兄が自分用のフロントヘッドを入手・装着したのでその様子等を試し録り結果と併せてだうぞで、サブタイトルとして「機械演奏(打込み等)と生演奏の相違点」にも踏み込んでみよう。
今回彼が入手したのは皮の内側にリングミュートが付いてる物で、且つTAMAのロゴのあるヤツで以前からお試し用として1つ持ってたのと同じのだ。

この以前~のは現在生徒用にしてるImperialstarに付けてて、今回最初は先生用(従兄)Artstarに代用装着してたCSに張替えテストもする腹積もりだった。
だが試し録り(Micの都合等でアート君のみ)の結果より俺が中止判定を下したが、それはアタックの明瞭度が理由だった。

Remo CSは中心部が重ね張りになってるから打面に用いればアタック音色が相対的に太くなるが、この「相対的」ってのが本件では明瞭度低下の要因だ。
要するにぶたれる場所が厚くなったので高域成分が減りその分低域成分が目立つって仕掛けで、これの効果が高いのはあまり強く叩かれなかった場合だ。
因みにちょっと変な表現だがもし皮の厚みが関係無い程強く打たれれば、打撃力の違いの方が音色への影響力が増すものなのはどんな皮を張ってても一緒だ。

それを共鳴側(レゾナント)へ用いると「点」での力を受けないので、単にアタックも余韻も全体の高域がミュートされて減る事になっている。
近くにしても通常状態で生耳で聴けば両面の音が聴こえるが、今回試し録りでは表皮(レゾナント)にだけMicを構えてたのでアタックの明瞭度が低下したのだ。
ではリングミュートだって「2重になってる所がある」のは一緒なのに何故違いが出るかってぇと、それは皮の「分割振動」の違いからである。

Photo

ここで概念図の登場だが上段は皮のCoated・Clear CS・Clear内臓リングミュートで、すぐその下がそれぞれの振動の様子を断面的に誇張したもの。
赤は皮の「基盤」部分・黄緑は2重になってる部分・青が内臓リングミュートのつもりで、大事な「但し」が表皮(非打面)な処。


内臓リングミュートは接着されてないので打面に依る内部空気圧で「最初に押される時」はCoatedと同じ動きだが、反動で戻る時はその1回目からもう動きが干渉されている。

1度でも干渉されて動きが弱まればその又反動も小さくなるので、2回目以降の振幅がCoatedより小さくなる。
CSにしても中心部がCoatedより撓り難くなってるせいで振幅が小さくなり、打撃の瞬間は兎も角「振れ難い」事で余韻も短くなるって寸法だ。

で下段の4等分に仕切られてて黄緑とオレンジ色の点線が斜めに掛ってるのが分割振動の一例で、点線の部分が例えばこの4分割丸の皮の揺れに依る凹凸の様子だ。
それぞれが別若しくは反対向きに振れてるがそのせいで色曲線の長さが半分になってるが、これは音的にはオクターヴ上の音程になってるのを意味する。
要はGuitarで12フレットを押えると弦長が開放時の半分の長さになるのと同じで、弦楽器に疎い方でも弦の長さが音程に関係してるのだけは分かるんじゃないかな。

んでもってもし完璧な精度の皮・均一チューニング・中心点ピンポイント打撃が出来れば理論的になら分割振動が起こらないが、どれか一要素にでも不完全があれば程度差はあれ太鼓の皮は「勝手に」分割振動も始めてしまう。
尤もその場合分割振動成分のみの震え方になってはいないので皮口径と張力由来の音程(基音)は無くならず、分割振動が出す音は所謂「倍音成分」となっている。

この面からは部分的に2重になってる皮はその部分だけ動きが悪くなる事で、分割振動の仕方を制御してると言える。

手で叩く時真ん中だと太く丸く音程感に優れ端っこを叩くとブライトになるのとも同じ原理で、音色的には真ん中ミュートのCSはアタック時の倍音抑制・リング君は余韻時の倍音抑制効果を持たされている。

実は当初は打面に使うんじゃないからCSだってそんなにアタック籠んないだろうと安易にタカを括ってたが、上記原因で「どっちへ張ったってほぼ一緒」なのが現実であった。
しかも上図の如く表皮の「初動」時瞬間はリング君はまだ働き出していないんだから、内臓リング君ならアタックのド頭の瞬間は殆どノーミュートと同じ音になってた訳だ。

因みにCSとリング君のMic収録音色をもう少し詳しく明かすと、CSはアタックは籠り気味でも余韻部の「皮の揺れ感」を表す倍音は豊富であった。
一方アタックは生っぽさ全開のリング君も「皮揺れ感」には劣勢で、余韻長目な音が欲しい場合には不向きそうだった。

因みにⅡで今回のMic位置は皮の中心と端の間位で通称クジラの使用で、低音専門のMicより低域の限界が狭く低下量も多い物だ。
アタックを重視すれば中心狙いが良いがそれだと低域不足になるからで、宅では中に入ってるのがAUDIX D6なので少なくともMicの頭はしっかり中心を狙っている。
以前今回と同じ位の位置へ向けてたら低音過多になってしまい、音量を下げるとアタックが不足となってアカンかった。

勝手に大奮発で因みにⅢであるが前出リング君の皮揺れ感案件は、余韻を短くしたいから用いるもんだから当たり前っちゃそれまでの話しではある。
只気を付けたいのは特殊な場合を除き、基本的に共鳴サイドは打面よりミュートは軽くするのが半ばお約束だ。
極論的にどんな太鼓も「直接叩かない方の皮」だからってグッと押えて叩けば、低音も余韻も皆無な変なフン詰まった音しか出ない。
現実にはそこ迄至らないだろうが傾向は同じなので、「後で聴いたら変だった」を避けたけりゃ鉄則だ。

皮が1枚か2枚か・穴があるか無いかの違いは基本的には前回迄に記した通りで、常にキチンと踏めていれば気にするレベルでは無かったけれど「踏みムラ」があれば正直に音に表れた。
そこで1に生徒用となると初心者や耳が慣れて無い(聴き分け力)人が使うと分り難くなりそうなのと、元々インペリ君の方がまろやかな反面明瞭度ではアートに負けてたからってのが2だ。
ここ迄の本件での試し録り結果を列記してくと、シングルヘッドのみ若しくは表が「大穴付き」の場合明瞭度は高いがアタックの低域成分が不足気味であった。

この点は一般的にはイコライジング等で補うのが常套手段だが俺には過去に苦い体験があり、それはある意味低域を「実際以上に」増やすので低域暗雑音を増やしてしまうからだ。
こ奴はちっとも音っぽく無いが何か「ウン」とか「オン」とか「モン」とかってな変な超低音が記録されてしまい、厄介なのは超低域なだけに思いの外余韻が長い処だ。

それが昔のアナログオンリー時代ならサブソニック領域はマトモに記録出来なかったが、デジタルでは不親切にも正直に記録される。

すると雑音と求める音色の新たな戦争開始になっちゃって、両者共々望まざる妥協を強いるしかなくなるのだ。
それって昨今の本邦税政の「悪循環」みたいに負の無限ループで、この手の案件には対処療法は合わないしゴールが来なくなるのだ。
景気悪いから税収減る→税収足りないから増税する→値上がりしたからもっと買わなくなる→景気悪化…で御座居。

だから幾ら苦しくてもせめてどっちか一方に先に専念しなきゃしゃーなくて、経済の場合は何てったって先ずは元手を増やすのが他の全てより最優先ってか「無い袖は振れない」やね。
それがバスドラやBassだったら低音域が「元手」で明瞭度ったって「低音中心なのに」が本来は原則なのに、今は昔より自由が効く様になったので迷い易くなったのか「前提条件」は何処へだ。

この件で最初に困窮した当時は納得出来る低音が出せる太鼓を持って無かったから他に手が無く苦しんだが、録音じゃなくてもバスドラの低音不足は合奏時にも悩まされたもんだった。
個人的にBassは音域よりも低域含有量の多い音色が好みなので、バスドラが「アタック主体」過ぎると同時に鳴らした時Tomでも何でもと似たのにしかならなくなってイカンで遺憾。
近年はどんな太鼓でも低域が出る様になってるからあんなに苦しめられはしなさそうだが、ここで何時もの如く過去の実情体験へ行ってみよう。

本場のちゃんとした奏者・楽器・録音はどんな感じだったのかで、
最近の特に本邦では俺的に録音・楽器・奏者の順で優れてる様に感じられ当時の本場とは真逆の様だ。
達人でも楽器が悪いと普段よりつまらん音になり、それを貧相な機材で録れば更にお淋しやサウンドに成り下がっていたのだ。
私的にはこれの境界線は’70年代の内にデビューしたか否か辺りが目安となってるが、全く環境に左右されぬ腕の持ち主となるともう10年位遡るだろう。

これは本邦での一例だがテレビが生から録画放送主体になった時期と重なり、特に大人数の楽隊が付く音楽番組だったら決定的だ。
例えアナログだろうと業務用だろうとビデオはおろか、マルチトラックレコーダが普及したのが’70年代に入ってからなんだから。
時間の経過で当時の人たちがどんどん亡くなって行ってるが、彼等の生にお耳に掛れないからか
一般には具体的なレベル差の理解がどんどん失われてる様に伺える。

本筋へ戻ってそれでも穴を開けたがる輩が多い様だが、所詮誤魔化しでもアタックの明瞭度安定がその主因であろう。
だが穴を開ければ録音と生音に差が生じてしまうから、録音機材の性能が上がったのに今更そんな古いの何時までもってのはお止しなさいだ。

それと皆さんの多くがお忘れになってると思うのの1が、例え打面へ直にMicを構えるにしても殆どのは「裏」からな処だ。

ホントにアタックの倍音成分を漏れなく拾いたいなら「打面の表」つまりビータとMicを並べる様な感じで行かないと駄目で、そうじゃない普通の方法は障子越しに盗み聞きしてるのと同じ状況に過ぎない。

そいじゃあペダルの出す雑音とかSnareのスナッピーの音がジャンジャン入るって?、アタック明瞭度至上主義ならんなもんは我慢せいや。
って暴言ってんじゃなくって「裏から」で籠ったのをもしEQで持ち上げたりすりゃ、折角皮の陰になったお陰で小さ目になってた雑音だって大きくなっちゃうからヨン。
だったら「裏の表」(ややこしいが打面の打点側)から拾ったって、逆にEQで削ったりすれば大同小異って処じゃない。

俺思いお忘れその2は安定度案件で、機械並の確実性が欲しいならせめて電子ドラムがお勧めだ。
現にMetal系等では見た目は生でもバスドラの音はトリガー利用で生音じゃないのなんかが一杯あるし、プロの公開録音ででも無けりゃ無観客だから見てくれを気にする意味が無い。
Live Houseで生のを叩くのに足りる腕が持ててれば、生っぽさより安定からの聴き易さを気にするならである。
裏を返せば視覚無しで生っぽさを最大に表現するにはある意味、「少し不安定だが聴くに堪え得る」状態へ持ってける腕が必要ってもんだ。

真に厄介な話しだが超安定を求むるなら今なら打込みが出来る訳で、「腕に依らない安定」を機械に求めるのは筋違いである。
また機械物も経験のある俺からすると精密に打込んであっても「他の音がどうなってるか」で一定には聴こえなくなる事もしょっちゅうで、現実的な視点で良い意味の妥協をしないと本件も無限ループへようこそだ。
余裕が大きいと安心感は高まるがカーレーサーが少しでも速く走る為に必要最低限の燃料しか入れないが如く、スリル満点だがギリギリでも「足り」れば結果に大差はないのだ。

それでもっつうなら少し面倒でもちゃんと補う手があって、それが以前記した昔のSimon Phillipsのやり方だ。
皮に穴が無くたってバスドラの内部空間は広大で、Micを中にセットする余裕は有り余っている。
邦人での俺知りでは過去に東原力哉氏がやっていて彼の場合はTomホルダパイプ穴へMicケーブルを通して、ケーブル自体でMicをぶら下げるなんてのの写真を雑誌で見た。

彼等の正確なニーズは知らないし手法は少し違うが俺も「中入れ派」で、共通事項は生音は所謂大太鼓なのが分かる感じだが録音のそれはかなり穴から突っ込んだのと同じになる処だ。
従兄は先生な位なのでムラ僅少に踏めるので大昔式の「表皮の外Mic」で構わんそうで、俺の場合は分離度と空間的都合が主因で中へとなっている。
「中入れ」の利点には設置がしっかりしてれば位置関係が狂う危険が僅少になるのもあって、もし演奏中にバスドラが少しズレたりしたってその影響は皆無な処だ。

俺的には一口に安定度っても別観点の方が何時も気になってて、バスドラヲタとしては折角のフレーズが聴き取り難いのは不合格としている。
例としてベーシックな16Beatで「ドッ・タンッ・ドドッ・タンッ」てのがあるが、これの「ドドッ」の頭は弱くなり易いしそれで変では無い。

だが弱目でも「聴こえなくなる」のが俺は嫌で、Hi-Hatもダブルストロークでの弱い側(通常は裏)が聴こえない程弱くなるのは特定時以外はとても嫌なのだ。

極端な話しそれでは聴き手には「演って無い」のと殆ど同じになっちまうからで、またそんな奏法が下手に身に付いてると違う場所で応用が効き辛くなりそうに思うのだ。

これは楽曲やアンサンブル次第でもあるけれど昔より全体のテクレベルが上がったからか、意外と不注意になってるのが増えた感じがしている。
「灯台下暗し」は仕方無い現象ではあるが些細でも「ベーシック」に見落としがあるままで、「アタックが・明瞭度が…」とか気にして一体どれだけの効能があるのか甚だ疑問で御座居ます。

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