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2019年3月 5日 (火)

音創り⑥ ミュート不足のSnareに物申す!?編

近年J-POPで俺が気になる(気に入らない!?)処の1つに、何でもかんでも「オープンなトーンのSnare」が横行してるのがある。
その手のが大好きな方には申し訳ないが、例えば歌だけを聴きたい時に一々「カーンカーン」とか鳴らされるのは邪魔になってるだけの事もあるのだ。

Snareはバスドラと共にリズムの根幹だから聴こえにゃ困るが、だからって目立ち過ぎて構わない訳じゃない。

でドラマーがどうしてもその音色じゃなきゃヤダってえと、録音技師やPA氏は「んじゃチョイとレベル下げさせて貰いますか」となったりする。
必ずしも目立とうとしてそうしてはいないかもだが、こうなると少なくとも音量的にはとても「地味」になるのだ。
これを極例で表せば警官が極悪犯罪で報道される様なもんで、目立つにしてもそれぞれに相応しい「目立ち方」ってのがあるってこった。

これがバスドラなら音域の低さで歌と帯域が被るのは少ないし、タムであればポピュラー系では出て来る頻度が低いからまだ何とかなる。
楽器自体の基本的な音色の目立ち度ではCymbal等金物系の方が上だが、これは分かり易い分最初から注意されてるしSnareよりやはり頻度が低い目だ。
また演ってる側にはノーミュートでもSnareは他楽器や金物比では音の長さが短いから見落としがちだが、聴き手にとっては「大き目音量で鳴ってる」物は無視不可となる。

ではどうすればってぇと、先ずは役割を良く理解するのがキッカケとなる。
次に「使い方」を色々学び、それ等の中から適したものを各々掻き集めて行くのだ。

オープントーンなSnareの代表使用例っつうと俺はJazzが浮かぶが、そこでは叩き方でミュートを加減したり他楽器が主役の時はかなり小さく鳴らしたりして「適応」させてたよねえ。
だが近年ポピュラー系ではBack Beatを弱めるなんてのは滅多に無いんだから、せめて曲に応じてミュートを増減させ
ないと難しい。

これとは別で割と最近目にして少し驚いてるのが非ポピュラー系での太鼓でも
ミュートされてたりその機能がある皮が張られてるのに出くわした件だ。
それは学校の吹部のでほぼPAレスでしか演らないし、JazzはおろかClassic系の強弱を付けて叩くのにも拘らずだ。
だがいざ演奏が始まるとそれでも結構太鼓がだらしなく伸びてたりなんかして、どうやらバチを押付けてミュートする奏法等が指導者が居なくなったりしたのか
廃れたからの措置の様に思えた。

また個人的に最近は緩解したが
Snareのオープンリムショットも毛嫌いしていて、それは目立っても太さが削がれたりする気がしてたからだった。
リムに掛けないと明瞭度を確保するのが少し大変にはなるが、何だかパワー不足を音色で誤魔化したみたいな嫌悪感があった。
これ出音の周波数バランスの違いもあって、中低域不足だと高域含有量の多い他パートが同時に大きな音を出すと聴こえ難くなる事もあったからだ。

そんな中普段はあまり「
リムに掛けない」達人達に興味が湧いて、Jeff PorcaroのSnareに注目させられた。
本邦世間では未だに彼の風貌等のせいで非力と誤解されてる様で嘆かわしい限りだが、
普段「リムに掛けない」等叩き方に目立つ音色の使用が少ないのも誘因となってるみたいに思う。
彼は俺がまだ太鼓に特別な興味を持つ以前の若い頃、望まなくとも歌物系では洋の東西を問わず頻繁に耳にする存在だった。

また本邦で有名になる以前は黒人のバックも当時としては異例な程多く演ってたのが珍しく、実はとても強い個性の持ち主だが「余計な癖が無い」からだったんだろうと感じられる。
本邦ドラマーの間ではその前にはSteve Gaddブームだったが、確かに彼も素晴らしかった。
だが即座には解析出来ないテクニカルさが売りで、もし難しい事を一切しちゃダメな楽曲だとかなり薄味にならざるを得なかった。

この点で真逆なのが
Porcaroの真骨頂で、彼は恐ろしくシンプルにやっても発揮できる個性を持っていた。
だからあんなに何でも演れてたんだろうが、フレーズのみならず音色面でも同様だったのにご注目でそれが普段はリム掛けない等に表れている。
でこっからが話の核心になるが取立てて目立たぬ音色で何でもこなすには、一聴地味でもかなり充分なパワーが無いと成り立たない処だ。

彼のミュートは必要次第で変化はあるが当時としては珍しかったのは、叩かれた瞬間だけ擬似ノーミュートとなるもので要するにミュートが随時「動ける様に」なっていた。
Classicオケの大太鼓では「叩かない方の手」の開け閉めでその状態を得るのが常套手段で、弦楽器でも弦を押える指の力を抜く等で余韻長さ調節するのと同じだ。

この方法の特徴は殆ど無添加純正の音色のままで長さだけをコントロール出来るのの基本形だが、常に両手で叩かなきゃなんないセットドラマーでポピュラー系では彼以前に覚えが無い。
また前回触れた「事前音色調整済み」の皮では実は「本当の太いアタック」は出し辛く、ある意味周波数バランスで誤魔化されてる側面がある。
これを確信したのは好みより薄い「ご自由にお持ちください」ヘッドで叩いてる時だったが、それには2つ理由があった。

かつて一時期使ってたEmperorでは弱かったり叩き損じたりしても痩せた音にはならなかったが、気の弱いデブってのか太くても「弱い音」になっていた。
それが薄目のでも上手に「しっかり」叩けるとゴツくは無いが、まるでイチロー選手みたいな存在感に溢れた「強い」音が出たからなのだ。
これを出すにはパワーも要るには要るが、それよりもバチの軌道の美しさとでも言うか「正しく」叩けた場合に得られたのだ。

10_2
上図は上記を概念図化してみたものだが薄い水色がリム・桃色が皮、白はティッシュペーパー・茶色がガムテープで肌色がバチの先っぽのつもりだ。

上段3つがPorcaro式ミュートで要するにティッシュが皮へは固定されてないので、皮が震えると軽いからはじき飛ばされて浮き上がるのである。
皮の震えが弱まり小さくなるとティッシュの重さ等が勝って「乗ったまま」になり、叩いた瞬間(厳密には直後)はオープン・余韻部ではクローズになる按配だ。

年寄りには概知の者も多いかもだし他にも同じ効果(挙動)を得られるのがありそうだが、ミュート=演奏時は固定の固定概念に捕らわれず半固定のがあるのも知ったり思い出して貰おうって趣旨だ。
続いて下段2つは打撃時の様子を表したもので左は普通若しくは弱い場合、右が上述の「しっかり」のイメージだ。
実際の程度は図程極端では無さそうだし撮影した証拠がある訳でも無いが、「その様な現象」が起きてないと得られぬ類の音だったからだ。

これは弦楽器のエレキBassの場合だとネック寄りを指でフルストロークで弾くと音量は最大になるがアタックはそこ迄強くは無くマイルドで、音量より音質的にアタックが強くなるのはブリッジ寄りをピックで弾いた時等だ。(スラップ時を除く)
それだけならSnareのオープンリムショットと近似だが、弦がピックや指から「放たれる瞬間を粘る」とアタックの太さが出て来るのだ。

別表現では「ゴムのパチンコ」で遠くに飛ばそうとした時のリリースの瞬間みたいとでも言うか、どうやらアッサリ弾くより粘ると指やピックと弦の接触面積が広くなる様なのだ。


太鼓でもバスドラを鳴らすのにビータと敢えてバチで比べたら明解だが、この「接触面積」がアタック音質の太さに影響してるらしい。

それならハナっから太いバチとかにすりゃってのはご尤もだが、ここぞで何時もより太くってのはそれだけでは出来ない違いがある。

加えて皮でも弦でも伸縮性があるので、発音の初期に掛るテンションが違えば音にも影響するのは確かな処。


道具依存でも他人のと比べたら最初からでも太いのは分かるが、運悪く比較相手がもっと太かったらアウトになる。

どんな相手との比較でも生き残れるのは不要箇所ではわざと少し痩せさせといて、いざって時に極太をくれてやる様な自己完結型が良い。

人耳の感性は相対評価が主なのでもし直前直後が弱かったり細かったりすれば、その分ターゲットの強さがより強調されるって寸法なのだ。


でこの俺言い「喰い込ませショット」をPocaro氏は常用してた様で、だから決して派手で無くても埋もれずに済んでたんだと思われる。

強さを感じなくてもひ弱に感じられる事は皆無なので、地味だが真の意味で強い音の代表例ではと思っている。

但しこれをするのに厄介なのは押付けが強過ぎ(=力みが入ってる)と駄目で、皮の押し込む側は足りても反動で返って来る側の振幅が抑制されてしまうからの様だ。


全てでは無いだろうが
「事前音色調整済み」の皮が「喰い込ませショット」に不利だってのは、その多くが重ね張りとなってるからだ。
皮が1重でも2重でも全体としての強度や柔軟性は様々だが、「局部的な柔軟性」ではかなり差が出る。

特に打点が2重だとそこの硬さが災いして、スティックチップのめり込みが浅くなるの必至だ。


こう書いて来ると
俺は「事前音色調整済み皮」嫌いみたいに思われそうだが、どっちかってば買えないだけで興味は強い方だと思う。
ただ中々買えない(皮も太鼓も)上頻繁な張替えは億劫、気紛れですぐ全然違うのを突然演りたくなったりするので不都合になったのだ。

だが少しは不幸中の幸いもあったもんで、ほぼドノーマルな楽器で色んな音が出せる様になりつつある。


それって見た目はちっともだが奏法としてはより○○用のが出来る様になってる訳で、貧民の逞しさの典型みたいなもんかねぇ。

また考えてみればどんなジャンルでも黎明期には、楽器だろうが奏法だろうが「それ用」のは未完成だった筈だ。

つまり元祖とか本舗程「内容がそのジャンル」だった訳で、それを演ってた人も「その道度」は初期の方が格段に高かった事になる。


道具に頼らない太さは奏者の強さを強調する事にも繋がってて、強い時とそれ以外の時の落差が大きくなるのが最大原因だ。

叩き損じ隠蔽にはタフな道具は便利だし、実はそう云う安直な気持ちは俺は強い方のタイプだ。

だが出来れば素人を騙すより「分かる人」に分かって貰いたいし、そうしとかないと折角頑張っといても「後でボロが出て」評価が下がりそうだ。


ある程度色んな楽器に触れて来て思ったのは、生系で基本操作がシンプルな楽器程日々の地道な積み重ねが響く様だ。

苦労はしたくないし面倒も嫌だけど、例えば弦より太鼓は習熟不足だとそれが音に出易い。

その代り充分やれてると弦系等より演り損じが少なくなるみたいで、基本的な道具依存度が低いからなのかと思っている。

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