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2019年3月17日 (日)

音創り⑨ バスドラのシングルヘッド・ダブルヘッド 理屈編

前回起きた現象の検証へ行くが、それプラスプチオマケも。
太鼓の皮の打面のみか裏もあるかの違いは、胴の深さや材質等以上に根本的なものがある。
その1は皮の震え方の内特に余韻の部分で、その2は低音の出方だ。
PianoやAcoustic Guitarだって「入れ物」の影響はあるが、
入れ物じゃなく土台としての部分と比べたらかなり小さい。

それが両皮の太鼓となると特異で、空気抜きの小穴があっても「閉ざされた空間」を持つ事となっている。
Pianoだって蓋を閉めれば隙間は減るが、弦が震えるのに足りる空気移動量に対してはとてつもなく広大な空間がある。
だが特にバスドラみたいに皮の面積が大きいと、空気の移動容量はかなりのもんになるのだ。

発音体がそこ迄大きい面積なのは他に類は僅少で、それ故音への支配力も絶大となっている。
小口径で超々深胴のオクタバンみたいに普通の太鼓より「
極端な割合」になれば状況が変わっても来るが、口径の数倍以上の深さにならない限りは胴の影響比率は桁違いに低い。
因みにこの「長い管」によって音を制御する物はオーディオにもかつて存在し、BOSEからキャノンウーファーなる物が売られていた。

簡単に例えるならパイプオルガンの低音用の管みたいなもんで、太さは30cm程度なのに長さは4m近い代物だった。
後に改良小型化もされたがそっちは性能は妥協で、重低音を「管だけ」でしっかり出すには理論的に最低必要な長さだったからだ。
どんな手段を用いても低音を出すには嵩張るもんだが、それでも「箱」と云う形が最大寸法の部分を小さく出来る方法だ。

この箱型にも基本形と発展形があるが何れにも共通してるのが、「外からは隔離された空気の空間」を持たされている処だ。
当ブログで割と最近にも少し触れてるが、この隔離が無いとすぐに「回り込み」が生じて低域が相殺されてしまう。
音響世界ではスピーカキャビネットの基本形は密閉型で、発展形がバスレフ型を始めとした低音反射方式だ。

上の基本形を当て嵌めると極端な深胴以外の太鼓は、特に低音域に関しては穴無し両面張りじゃないと不都合だ。
片面張り・大穴開きにすると拙ブログ「音創り③」の図の「後ろが開いてる」のと同じで、打面皮の「裏側で揺さぶられた空気」がすぐに表側にやって来て喧嘩しちまう。
では発展形はっつうと勘の良い人は両面張り小穴開けが該当と思うだろうし間違いでは無いけれど、スピーカキャビネットでは箱の板は動かないが皮は動くのが違ってるのを忘れないで欲しい。

マイナーなので見落とされ易そうだが実は両面穴無しに見事に的中する方式がスピーカにもあって、パッシブラジエータとかドロンコーンと呼ばれるものがある。
先ずは概念図を見て貰うが、まとめた都合で現況従兄の処でやってる臨時外付けミュートのも同時掲載だ。
これは両面穴無しを試すに際し、ミュートの加減がその時点では不明だったのもあっての措置だ。

 
Photo_2
上図左2つがパッシブラジエータで右2つが臨時ミュートの様子で、右の左がTAMA 
Artstar・右右がImperialstarの現況だ。
説明が短く済むミュート案件から先に行くが、インペリ君は昔のなのでフープがクロムメッキの鉄製なのも再現した積り。

は置いといてピンクで表したのが折り畳んだタオル・茶色がガムテだが、インペリ君のよりアート君のが小さいのはピッチを限界迄下げてる事情に依る。


貼付け位置が左右逆になってるのは設置位置の都合で、奏者目線で先生のが左・生徒のが右に置いてある。

これは生徒は右利きの方が多いので、先生は左側の方が見易い為だ。
このミュートに大した厚みは無いが柔らかさを損ねぬ様に貼って膨らみはあるので、ビータの「奥側」のほうが視線を遮る可能性が無いからだ。
因みにタオルは雑巾代わりとして切られていた物で、丸々1枚分より量は少なくなっている。

ではお待ちかね!?のパッシブ~へ入るが、左左が正面からの・左の右のが断面図的な様子である。
外見は単に同じスピーカが縦に2つ並んで付いてるだけで、実際違うスピーカでは所望の効果は得られなくなる。
処がどっこい外は一緒でも「中身」に差があって、下側のは黒で示した磁石やコイル等が見当たらない変な格好をしているねぇ。

これ俺が書き漏らしたんじゃなくて、上側のスピーカの「反動」で動かしてるから要らなくなったのだ。
ここでの反動は箱内の空気の仕業で、上のが外向きに動くと箱内気圧が低下して「動ける場所」があったら内向きに動くのだ。
その「動ける」がこの場合下の特殊スピーカ「ドロンコーン」なんだが、これだけだと上が出た時下は引っ込むで逆相になるから音が小さくなりそうだ。

だが現実には空気はその豊富な弾力のせいで伝わるのに時間が掛り、下のが動き始めるのが遅れる。
その遅れるお陰で逆相にならずに済むので、低音がちゃんと聴こえる様になっているのだ。
しかし極僅かでも上下が同時には鳴り始めないので、
厳密な検聴用途等では昔は用いるのは避けられ気味であった。

んでやっとこさで本題の本題となるが、入れ物があって「音の出る所が同じので2つ」あるのってダブルヘッドの太鼓と全く同じなのにご注目。
確かに動くのの付いてる場所は違うけど、動ける物と内部空気の関係はホントに全く同じなのだ。
入れ物の形の違いにケチを付け様ったって、そいつぁ旦那拙速ですぜ。
昔Acoustic社のBass Ampのスピーカで、外見は角箱でも内部でスピーカの後ろにチューブをくっ付けてたのなんかがありまっせ。

これ作者に依れば普通の只の箱より音の濁りが減るそうで、実際効果はありましたよ。
でもそのせいで唯でさえデカくて重いのがさらにヘビーになっちゃって、値段もその分増えたからか流行んなくて止めちゃったみたいだ。
では現代標準かもな両面小穴開けが対応するのは、「穴だけに依る」バスレフ式のが該当する。

このバスレフ式(
Bass Reflex)には多様な種類があるが、一般的なのは穴だけじゃなく「ダクト」が付けられている。
部品・手間・コストが増えるのにわざわざ付けてるのは、確実性が上がるからだ。
穴オンリーの場合その大きさ誤差が滅法シビアで、近年の小型スピーカみたいに全部が小さいと0.1mm違ったってもう完全アウトになっちまう。

その上スピーカなら普通は壊れなきゃ付け替えたりしないから望まれる特性は一定だが、太鼓は皮の張りでピッチを変える事があるから不定になる。
それで太鼓でも表皮へ付けるダクトが売り出されたりしてるが、肝心のダクトを付ける場所が「動く所で不安定」なのがスピーカとは大違いだ。
その意味では太鼓だって穴を開けたけりゃ
胴にでもすりゃ良いんだが、ピッチ変更で小さくしたくなっても無理だから滅多にお目に掛れ無いんだろう。

これ等よりその太鼓で可能などのピッチにでも即応出来るのが
両面穴無しで、この方式なら難しい計算・消耗以外での皮交換・穴開けの何れも一切不要だ。
それと奏者にとって影響大なのが反応と音色で、前回記した如く穴を無くすと「鳴らしムラ」が露骨に反映される様になる。
本番では有難くないけれど練習で無用な楽してて上手くなりそびれてたらどうなのよで、だから大昔の人達は今よりローテクでも上手かったんじゃないかな。

既にプロで始終Liveへ持ち込む持ち出す太鼓ならいざ知らず、PAや録音用Micを突っ込む機会が年に数回あるかどうかで穴開けちゃったら勿体無い。
しみったれ発想だけどもし表裏に同じ皮を使ってたら、表裏を入れ替えて延命なんてのも穴無しだったら可能だ。
趣味嗜好の問題ではあるが稼げない物へ必要以上の経費を掛けると、練習時間だってどんどん稼ぐのに取られて減っちまう。

しかも消耗品は必ず廃れるが、本当に身に付いた演奏力なら衰えこそしても無効になる心配は無いのだ。
また穴開け以前に必要時にだけ思い切って表皮を単に外してしまう手だってあるんだし、叩いてて破れて困る物にわざわざ穴開けたいですかって思っちゃっうんだよね。

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