音楽をやる上での上手なお金の使い方② 弦の寿命編
最終的には使用者の感性に委ねられてるが、弦の寿命判定について少し例示してみよう。
1つの指標として個人差が影響しない物理面を主とするが、誰にでもすぐ分かるそれは切れてしまうのだ。
だがそれ以外にも幾つか兆候があり、知ってて損はしないと思う。
ヘタって来ると弦の振幅がオカシクなったりするが、大振幅の低音側は未だしも小振幅の高音側は目視が難しい。
これが発生してる時には大抵別の変化も伴ってるもんで、ひと手間要るが確実に判別可能な手がある。
先ずは弦を思いっ切り緩めてみるのがその1で、何処かに変な「曲がり癖」が付いてたりしていないかだ。
その2はOctave調整が新品弦時に合せといたのから、何時の間にか大きくズレてしまっていたりするので分かる。
但し新品弦と云っても楽器に馴染むより前にOctave調整をしてしまってると、折角弦が安定期にあってもズレた様に感じられるから注意が要る。
この安定期は弾いても殆どピッチが下がらなくなるので判定出来、1曲毎に修正が要る様な内はまだ弦はネンネ状態から目覚め切っていない。
最近特に俺が頻繁に記してる延命だの再生だのに関しては、貧民故最早その筋の権威の自負がある位かなり体験した。
それらから総合的に言えるのはどの策も真偽半々って処で、残念乍ら少なくとも新品の代わりが務まらないのは確認済みだ。
なので録音やLiveの「本番」に用いるのは事故の元だが、練習等用途限定なら邪道だが必ずしも無駄ではない。
但しこれも何事にも適正がある様に、自ら簡単にOctave調整が出来ない様なら不適応だ。
また物に依ってOctave調整の巾が狭い機種もあり、その場合もピッチが変なままとなるので悪癖が付くのを避けるにはお止しになるのが望ましかろう。
無茶延命はアブノーマルな使用法だから、楽器側がそれに非対応だったとしても何ら不思議は無いのだ。
更に設計寿命を越すと大抵はテンション(張力)が弱まるので、フレットの摩耗を助長する等のリスクもある。
幸い近年は流通の進化で消費量の多い物は低廉化したので、昔よりは張替えの抵抗感は減ったと思える。
なので誰にでもケチれとは全く思わないが、まだ全然新しいのに切れちゃったなんて時には裏技が役立つ場合もある。
因みに俺の場合は前回出した「それらしいプロ体験」君同様、どれにどれを張ってどう弾いててもほぼ無関係にフレットがどんどん減って行くので例外かもだ。
擦り減ったフレットで弾けばどうかってぇと、押えるのが大変になる。
気を付けねば悪癖製造機となるがもし既に正常値を充分把握出来てたなら、何とも「裏思考」全開だが運指の確実度向上に繋がったりもすると感じる。
サスティーン(音の伸び)にしても押え方が甘かったり途中で指が緩んだりすると途切れたれりするが、これにもそれなりの訓練効果が認められた。
判断が一番難しいのは巻弦とその芯線の間に溜まる汚れで、時間超過で巻線の巻きが緩んだりしても似た感じとなり易いからだ。
これには半ば神話みたいな煮沸法ってのが昔からあるが、現実的には洗浄より殺菌効果の方が高いかもだ。
金属弦は温度上昇による膨張で隙間が変わりはするが、洗剤で溶出させる方がまだ現実的な感じだった。
金属の伸縮に対する強度的にもGuitarよりはBass弦の方がまだ効果がみられたが、温度変化で意図的にでも伸縮させる分金属の消耗劣化も伴う。
また最悪時は巻線が緩んで戻らなくなるのもあって、万能には程遠い。
基本的に巻線-芯線間に「浸み込んだ」ものを除去するには溶かして染み出させるしかないが、汚れは大抵複数物質なので変な化合をして溶かし難くなっている。
それでもBass弦の場合は巻線の間の外側の部分の汚れは落せるから、全く無意味では無い様だ。
弦は日常的消耗品なので節約したくなり易いが、殆ど素材に近い製品なので無理延命より廉価品で妥協する方が割安な場合が多そうだ。
個人差で消耗度が違うけれど健康状態を含めて考えると、グレードの上下両極でも倍迄性能差がある様には感じられない。
そうなると50%劣化でも最安品以下の状態となってる訳で、特に切れ易いGuitarでは安物でも新品交換の方が得策だ。
少し余談になるがある意味俺みたいな極限状態にあっても弦楽器が複数あって、録音や本番に使うのを優先的に弦交換する裏での話しなのだ。
弦代ケチって録音等が失敗やり直しとなれば、その方が大抵は高く付くからね。
では暫く楽器を冬眠させる場合はっつうと錆が出て楽器を汚損しては困るが、通常弦を外したりはしていない。
トラスロッドの無い物で「弾かない時は緩めといて」となってるの以外は、ピッチも合った状態で保管している。
こうしとかないと直に使う時にネックの反り具合等が「弾く時」に不適合となり易く、調整後すぐに安定するのならまだ良いが「弾ける」迄に時間が掛って間に合わなくなったりもしたからだ。
切れて無くても弾くに堪えない弦は新品とは色々状態差があるが、それでも弦を全部外してしまうよりは楽器側の条件変化が少ない。
こんな時は切れて1本弦が足りないまましまっとくより、無茶再生品でも張っといたほうがその後がマシな様だ。
錆は恐いが弦楽器の弦は普通の電気機器の電池とは役目が違うから、使わないから外しとくってのは不適当だ。
もし何年も寝かせといて復活に時間が幾ら掛っても構わないなら外すのもありかもだが、楽器自体の設計上は常に弦に引っ張られる想定となっている。
尤も内臓BufferやPreampの電池はしっかり抜いとかないと、後でお淋しやを招いてしまうけれど…。
更に因みに金属弦の多くは表面はメッキされてたりはするが、電車のレール程じゃないにせよ元からかなり錆び易い方だ。
電車のレールだって電気を通す都合で車輪と接触する処は無理でも、理屈の上では他はペンキを塗っといたって平気だ。
しかし寒暖差や列車の重さからの伸縮で、塗っといてもすぐに剥げてしまうだろう。
もっと極端な例だとスプリングとかバネ系の伸縮の大きいのは塗装困難で、弦はレールとバネの中間位の位置付けになるのかな。
しっかり掃除もし乍ら毎日弾いてて見た目上は光ってても、厳密には少し錆びてたりなんてのが常態だったりしている。
よく弾いた後弦に触れてた指先が黒ずんだりするが、あれは潤滑油や手垢より弦の初期の錆の一部なのが実態だ。
ひっきりなしに電車の通るレールは銀色に輝いているが、それでも科学的には錆度0%では無いのだ。
金属が空気に触れて酸化したのが錆だから、厳密には茶色いのだけが錆では無い。
鉄より錆びないニッケル等でも曇りが出て来るし、クロームメッキも経年で粒子の隙間から錆が出て来たりする。
錆を考えずに済むのはステンレス等一部限定で、錆だけを嫌うならプラスチックやガラスやセトモノなんかの方が手っ取り早いってもんだ。
弦の一番の延命に役立つのは小まめな清掃と、保管時の適正環境維持だろう。
錆耐性のある油分はあった方が良いが潤滑剤等の乱用も特に巻弦にはマイナスで、効果があるのは外表部のみで巻線-芯線間には毒になる。
滑りの悪さは元から摩擦係数の低い金属弦よりネックや指板が元凶で、しかしそのままでは弦の方が指板より手前にあるからね。
拘るなら弦を一旦外すか大幅に緩めて遠ざけないと駄目で、そうしないと幾ら細くても弦の影には元々潤滑剤が届き難いし。
<つづくっく>
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