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2019年2月28日 (木)

音創り④ バスドラのミュート音色等編

冒頭に指摘しときたいのは是迄に確立された手法多くは、今より「まんま収録」が不可能だった時代のものな事。
アナログ録音時代の悲哀体験者じゃないと理解し難そうだが、今と比べたらもう殆ど「逆算と予測」が全てみたいな状況だった。
それはまるでテレビの実写変身物みたいで主だった箇所だけでも先ずテープに入ると1回、次にレコードへプレスすると2回目の変身ってな具合だった。
しかも面倒なのは変化の仕方が必ずしも一定じゃなく、最終的には実際に試すしか無かった。

そんなんだから奏者・演者は生耳でのベスト追及は本来正しいし素晴らしいんだが、寧ろ生耳には変な位にでもしとかないといざ録ったら使えなくなったりもしていた。
でも今より機械に詳しい音楽家も少なかったから技師は説得に苦労するし、もし理解を得られても今度は気持ち悪い音に奏者が勢いを削がれたりと散々だったのだ。
太鼓ミュートにしてもそんな苦しい環境下で苦し紛れに編み出された背景もあるので、俺はもっと再考・検証すべきと考えている。

現況本邦の特に大手系では未だに単に「昔は出せなかった音」にしがみ付いてる様だが、もういい加減聴者も慣れ過ぎて飽きが来てると感じられる。
確かに不自然でも極端な方が初対耳には目立つが、真の意味での
「昔は出せなかった音」は「ありのまま」なのが忘れられている。
この錯誤を続けてる内に本邦奏者のレベルもどんどん低下してるみたいだが、このままだと遠くない将来Liveが無理になっちまうんじゃないかねぇ。

長い前置きから漸く抜けるが、先ずは今一度俺言い「過去の擬似Hi-Fi」を振り返ってみよう。
これ端的に言うと重低音をそのままは拾い切れ無かったのを、「そう云う音が出てる時の他の部分」の特徴で「聴者に想像させる」って方法だ。
太鼓のピッチがノーマルとウルトラローで差が出るのは先ずは低域だがそれ以外に「皮の揺れる速さ」とかも異なり、それを逃さず適度に目立たせて代用表現させてたのだ。

これは今だってアンサンブルに依っちゃ低域のスペースを広く開けときたい時等には有効だが、それにはある程度実際に太鼓の皮がゆっくり揺れてくれん事には始まらない。
かと言って余韻が長過ぎれば昔より余韻が漏れなく録れる様になったから、邪魔にしかならない。
これを解決するにゃ俺言い「柔軟ミュート」が必要で、ミュートに使う材質が柔らかくないとならない。

具体的にはスポンジ等がどうも芳しくなく布や綿系統がこれには適してる様で、
その訳は弾力があっても「押した分強く押し返す」性質があると困るからなのだ。それだと皮の振幅が大きい時は強ミュート・小さい時は弱ミュートとなり、出音のパワーは削ぐが余韻に対しては非力となる。
アタック明瞭度を上げる第1手段は強く踏むだが限界もあるので、ここは極力邪魔されたくない処だ。

そして人耳に対する音量的案件は理論的には「対比」が殆どなので、アタックと余韻の音量差が大きい程明瞭度が感じられるものだ。
それにはアタックより余韻に対して強いミュート力が必要で、「強い奴には負けるがその辺のヘタレになら全勝」なんてのが相応しくなる。
これが材質の他にある程度「打点の近くにもミュート」が届いてた方が良い理由で、端っこを強くより真ん中目も含めて弱くってのが好ましい様だ。

またこの理想にはミュート以外に皮の状況も影響があって、それはピッチよりも両面張り穴無し若しくはそれに近いのが適している。
それを前回挙げたんだが皮が2つになると共鳴もするが、やはり増えた分だけ加えられたエネルギーの消費も早くなる。
更に皮振幅が微小になると太鼓内部空気を揺さぶる勢いが落ちて来て、反対側へ届くのが遅くなって来る。
その遅れ具合に依ってはこれも前回触れた逆相状態になって、動かすより止める方向に作用する訳だ。

また好みにも依るが片面張りは良く言えばアタックが鋭くなるが、低音域で短くなり過ぎると過去説の如く低域生成が不能になる。
すると余韻には低域がしっかりあってもアタック部は中高域だけになり、恰もバスドラの口径が小さくなったかの様な感じになったりもする。
これには収録後の音響後処理にも大いに悪影響があって、アタック部の低域をEQで増やそうとしても「最初から出て無い」のでどうにもならなくなる。

前回迄の従兄のビ
タビビリ問題をこの面で俺的分析してみると、ミュート位置が打点から遠すぎた他に足りなかったのもあったと思っている。
アタック音的には足りてたが、余韻の内で耳には殆ど聴こえなくなった時点の「止め」がかなり不足だったからだ。
そんなミュートに至った経緯を見てみると彼の好みには、両面張りでも表(レゾナント)の穴が大き過ぎたのが運の尽きだったと思う。

アタック部にも低域が欲しいのに対しては実質的に表皮が無機能化してたからで、それを誤ってミュートを減らす(そう意識したかは不明だが)ので補ってしまっていた。
意外に思う人が多そうだが「低域を必ず含むタイト」は、実は穴無し両面張りミュート付きの方が適してたのである。
何せ低音の「発生箇所」が片面と両面では単純になら倍違うんだから、もっと誰もが気付いてても良さそうな処ではある。

もしどうしても穴を開けたいのなら一寸面倒でも、かなり小さいのから始めるのをお勧めする。
或は大金持ちさんなら皮をジャンジャン買換えてっても良いが、恐らく皮直径の1/4以上の穴を開けると低音が得られなくなると思うよ。
それと穴の位置もかなり大事で、中心部に開けてしまうのは避けた方が良い。
それしちまうと
音響理論的には対角線が途切れる事になるから、半分の口径の皮に近い条件となってしまうのだ。

昨今本邦では猫も杓子もインスタ映えのご時勢だからか、音楽界でもアタックの明瞭度のみ最優先が横行している。
それなら生太鼓なんてのはLine録り不可だから使うの止めちまえなはれ、どう頑張ったって電子ドラムの明瞭度には絶対勝てませんから!!。
歌だって歌唱力が同等ならMic不要のボカロの圧勝、殊明瞭度に関しては「間のプロセス」の無い物が秀でている。

楽曲内での太鼓はその大部分は音楽的分類では「伴奏」で、目立たせるにしてもソロやメロのそれとは必要部分が違うのを忘れている。
本邦ポピュラー系では日本語の特性から英語系より歌のバランスを大き目にしなきゃならず、「同じ土俵で勝負」したのでは永遠に勝てない。
だがもし声では出せない音域が出ていたらどうだろうか、それはおろか他楽器が出せない音域の音が出てたら「1人勝ち」なのだよ。

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