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2019年1月15日 (火)

PAは神様じゃない①

従前から不必要な環境下でのPA乱用を戒告して来たが、原理・物理的観点からそのメカニズムを解説して行くぞ。
近年はPAのお陰もあって明瞭度が向上したと誤解してる人が多いが、実は使わない方がもっと好結果が得られたりするものなのでした。

もし演奏会場・環境に対して音量が絶対的に足りない楽器だけを使うならPAは無いと困るけど、多くの場合混在・並立共存させれば欠点の方が出易くなる。
その原因は指向性と混変調歪みが発生する事で、空間が狭い程逃れ様が無くなる。
これは何かを必死に聴き取ろうとしてるすぐ側で、ガタガタ騒音を立てられたら誰でもイラつくのと似ている。

楽器からのとPAからのを
全く完全に同じ音にすれば平気なのではと思うかもだが、それには音源からかなり距離を離せる必要がある。
一見小さくても楽器にもスピーカにも大きさがあり、横にくっ付けて並べても普通はゼロセンチには出来ない。
そうなると真正面以外の場所では音源から耳への距離差等が発生して、色々望まざる現象が起きてしまうのだ。

1.大抵の楽音には指向特性がある
普通のスピーカが一番体験し易そうだが、高音になる程横からだと聴こえなくなる。
電気・電子楽器では必ずスピーカを用いるし、生楽器でもその多くは全方位に一様に音が出てはくれない。
なので楽器と人の「角度」が変われば、必ず違って聴こえる。

これの回避最善策はスピーカ正面の音色に大差が出ぬ範囲で聴く事だが、それには極端に幅が狭く
特に後席は舞台から遥か彼方の会場が必須となる。
当然乍らこんなの非現実的だし後席へ音が到達するのが遅くなり過ぎる副作用もあるから却下だが、だからって単にあちこちから音を鳴らしても別の問題が出るだけだ。

もし補助するなら「足りない分だけ」を鳴らすしか無いが、場所に依る差異の全部は中々カバーし切れないだろう。
普通楽器Ampは奏者より舞台奥に置かれてるが、せめてPAスピーカもそれ位奥へ置けたらベストだ。
少しでも遠ければ
明瞭度は若干落ちても、音の反射作用のお陰であっちへしか行ってない音も聞こえる様になって来るからね。

オーディオ系で広指向性とか無指向性スピーカが売られてるのはこれが原因で、置き場所・聴く場所とも制約がかなり緩和して自由に出来るからだ。
尤も俺的には性能に犠牲が感じられるし、聴き手の居ない場所でも同じような音がしてるのは要注意だ。
例えば部屋に2人居て片方だけが聴きたがってたとしても、聴きたくない人へも同じかそれ以上に音が行ってしまうからね。

これが少なくとも一般的演奏時用のPAには用意されてないが、ハウリング回避が第一原因だ。
その次は楽器至近の奏者には不要で、遠くに居る観客には必要なのが第二原因。
近年は各奏者の足元へもモニタスピーカを配置されるのがデフォだが、それだって奏者とお客さんに必要な音は色々と違う事が多いからね。

2.距離差は到達時間差に時間差は位相差に繋がる
これは当然の結果だが、人にはその時間差が小さければタイミングの違いは感知出来ない。
だがしかし音の出たタイミングは同じと感じられても、「音波の位相差」って問題はそのまま残るのだ。
敢えて完全に同じ音でタイミングだけ違う場合について、これは先ず下図を見て貰おう。

Photo
これは単純化した音波波形のモデルケースだが、最低限音として成立するのは一回づつ上下した分となる。
これが図の赤と水色では丁度半分ズレてるが、この状態が専門的に言われる「逆相」と呼ばれるのの一例だ。
赤が下へ振れてる時水色は真逆に上へ振れてるが、上下反対に引っ張り合えばそのエネルギーは相殺される。
つまり理論的のみなら、音は聴こえなくなる。

現実的にはどんなに聴感上一致させても完全同一は先ずあり得ないので聴こえなく迄はならないが、逆相になってるのだけ小音量化する等は頻繁に起きている。
ここで何故「だけ」って言うかってば、殆どの楽音には音程は1つでも倍音等様々な周波数が含まれてるからだ。
なので音色が違って聴こえるか、運悪く基音が逆相となってれば音程だけ妙に聴き取り難くなったり等となる。

これの回避策は音を出す場所を極力減らすのと、音源と聴者耳の角度を狭く保つ事が要る。
だがこれも前掲と同様非現実的なので、簡単なのは音の出所を一点に絞るのが効果的だろう。
補助の場合も1.と同様で、誰にでも出来るのはやはり「一点絞り」だ。

3.混変調歪み
一言で表せば
「混ざる事で生じる濁り」であるが、そもそも上記の如く単体楽音自体でも複数周波数の音が含まれてれば最初から入ってはいる。
この歪みの特徴は源音と無関係な周波数になる処で、それが感覚的には主に不要な「音の濁り」となるのだ。
なので明瞭度の低下や聴き取りの悪化に直結するし、程度によっては不快感の源泉ともなっている。

たった1つの楽音にでも大抵は「
最初から入っている」が、ある意味奏者が「良い音色」に調整した時に歪みは最小に近くなっている筈だ。
一切の邪魔が入らなくても酷い音色ってのは魅力が無い他に、こんな要素でも不適切で劣っているから感じられるものなのだ。
音楽は音色だけで成立しては居ないが、先ず「聴いて貰う」には大切な要素なのでマトモな奏者なら大変な労力を掛けてる事だろう。

それですら合奏すれば混変調歪みは更に増えるのを避けられぬが、余りに不快なら大抵は「音色が合って無い」と感じて修正へ向かう。
人の感覚頼りではあるがそうしてなるべく良いコンビネーションとしたのが、理想に近いアンサンブルサウンドってもんだ。

この状態は半ば必然的に不要成分である混変調歪みも少な目となっていて、奏者集団からしたら苦労して漸く獲得できた「低歪み率」である。
ここ迄はどうしても必要なので省けないが音を混ぜると起こる歪みだから、そうなるともうこれ以上は一切音の数や出る場所は増やしたくない処だ。

ここから共通事項になるが、敢えてPAが「上手く行ってない」原因を挙げて行くとしよう。
近年の状況では腕に自信が無い人程PAに頼りたくなるだろうが、実はそんな場合こそPAはマイナス作用を強めてしまうのだ。
どんな凄腕PAオペレータでも初対面では高くない限界があるんだが、「知らなければ最善が尽せない」からなのだ。

特にそれが露呈するのは音が変わった時等に、それの奏者意思の認否が分からないからだ。
わざと演ったんなら弄っちゃいかんが失敗だったら助けなきゃって、どっちかハッキリ分からないと無難な操作しか出来ないのだ。
なので先ず「知らない」ので苦しめられるが、その上支離滅裂で不安定だともうお手上げで為すすべが無い。

こんな場合はオペレータの腕よりも常時帯同の専属であるかが物を言い、例えば「ウチのGuitaristは花粉症でクシャミするとその後必ず音が小さくなる」なんて位熟知してたら補い様も出て来るってもんだ。
もし大音量楽器迄PA常用を前提とするなら、PAオペレータもBandメンバーとして普段からやってればなのである。

<つづく>

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