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2019年1月 2日 (水)

真実の音質とは⑯ 電気楽器Ampは真空管で頼んます編

新年早々寒いから熱くなるヤツってんじゃなく、幾つかの違いが原因で実は今でもまだ楽器には真空管が適しています。
Guitarで歪ませると差が分り易いけど、生単体では気にならなくてもアンサンブルで録った最終結果等では結構な違いが出るんですよ。
では音機器をデジタル・石(半導体)・球(真空管)で回路構成した時の、長短から参りましょう。

デジタルは物理的性能ならほぼ完璧で、音に癖が付き難いのも秀でている。
それでもニュアンス・表情の再現性に関しては、音データが現行方式である限りは絶対的に不完全から脱し得ない。
それは音は「継続して」連続変化するものなのに、瞬間的であっても時分割されて「間」が記録不能だからだ。
アナログ記録では連続だったのがデジタルでは細密でも断片化されていて、コマ数の異常に多いスライドショーみたいになっている。

映画だってそのフィルムにコマがあって同類の技が使われてるが、視覚には元から残像って現象がある。
音にも残響はあるが残音ってのは無くて、響きゼロ環境だったら鳴らすのを止めれば途端に無音となる処が違っている。
だから今のがどんなにリアルに思えても、厳密には現行方式だと飽く迄「ぽい」だけなのだ。

当節話題のハイレゾはこれを従前よりとても細かくしたもので、その分「取りこぼし」が減って再現性を向上させてはいる。
だがどんなに細分化した処で所詮は「階段」状態で、実際の音が「滑らかな坂道」なのとは同じにならないのだ。
それでも高性能なのであまり人耳に気になるレベルでは無いんだが、物理面での完璧さと比べると却って差が大きく看過し辛い。
デジタルは原理的に収録以降の劣化は無いしデータ保存性も良いので、一般用途オーディオになら許容範囲だろう。

石(半導体)の中には大別して過去主流だったディスクリートと演算増幅器(オペアンプIC)の2つあるが、最大利点の球より小さいのが顕著に発揮されるのは後者の方だ。
IC(集積回路)はその名の如く1つの器の中に多数の半導体が入ってて部品毎のバラつき不安も無い反面、概述の負帰還を必ず掛けねばならない仕様だ。
なので後から物理性能に目を瞑って、音硬さ回避の為に帰還回路無しにするのは不可能だ。

ディスクリート(トランジスタやFET)だと球より
なまじ高域性能が良いのでノイズも目立つが、工夫すれば帰還回路無しが可能だ。
それでヘッドホン等の音質に拘る一部のヲタが、敢えてこの旧式な回路のを自作したりされているのだ。
ある意味簡単な機能しか要らんのには、高度な集積回路はお呼びじゃないとも言えよう。

処が量産するには部品の選別は要るし
ICより場所は取るし等で、大手の普及品ではもう作られていない。
鶏が先か卵が
先かの如くでどんどん部品自体も廃版となって来てるから、特に量を要する場合は完全に選択肢から漏れた。
尤も個人で簡単なのを組むのには使用数が少ないだけに、多少の部品値上がりの影響はまだ大きくない。
しかしエレキ用には元々最適でも無いので、用いるとしてもEffector等付属機器止まりが無難だろう。

球(真空管)は上記のと比べると物理面では色々不利なので、複雑な回路だと度偉い騒ぎとなっていた。
石の無かった時代の球のコンピュータたるや超巨大で、広大な部屋1つが丸々
コンピュータって程だった。
大きさの他に消費電力も桁違いに多いので、ポータブル化なんてのは全く不可能だった。

でもその代りってのも何だが極力「少数且つ単純でも使える」様には設計されてて、この辺が他の2つとは真逆だ。
これは回路自体も複雑・高度なのは苦手な代わり、求める仕事の種類が少なくて良けりゃ割と「まんまで行ける」って事だ。
また妙な理屈だが低性能故わざわざ負帰還回路を組んでも大して性能が上がらないが(出力段除く)、無帰還での比較なら案外石より高性能だったりする。

フィードバック回路(負帰還)は物理性能に勝っても音的感性性能に劣るのは概述だが、石系部品は半ばこれを用いる前提の設計となっている。
一般用途に足りる前者2つのオーディオ機器も、もし俺みたいに昔の球のの音色を知ってたらきっと疑問符が付くだろう。
大昔の球ステレオは出力段こそ帰還回路が付いてても、プリ部は殆どのが帰還回路無しだった。(楽器用球のは近年のでもほぼコレのみ)

電子素子固有所持の雑音低減には有用な負帰還回路だから、付けなかったら恐ろしく雑音だらけかと心配になるかも知れない。
球は増幅率が石より小さいのでそれをすると、必要なゲインが得られなくなるのもあった。
だが逆手に取れば増幅率の低さは雑音もロクに大き出来ないのと、回路構成が単純で素子数も少ないので耳にはあまり問題にならずに済んでいる。

石のに大抵は付いて無い出力トランスが球にあるのの影響もあるにせよ、上記事由により実際に半偶然でも「音が硬くならない仕組」が用いられているのだ。
また
帰還回路は硬くさせる他に例え補正であっても、音に意図的加工を加えてるとも看做せる。
だから原音に対する鮮度が落ちるのは当然で、懐古趣味でも何でもなく実は「やり方の差」のせいでそうなってるだけなのだ。

そして素子違いの差は故障・修理面にも結構なものがあり、手間・暇・コスト・技術以前の問題をはらんでいる。
石系は小さいので電気の通り道は狭いが、増幅率が大きいので過電流破壊を起こし易い。
これの保護の為に音には不要な付帯回路ごっちゃりドッサリとなるが、お陰で信号経路は複雑怪奇となってしまう。

言うなれば狭小住宅街の宅配ルートみたいなもんで、沢山曲がる度に車体を擦って傷だらけってか。
これが球だと田舎の一本道で未舗装だからガタガタ揺れるが、埃は被っても変形は無いって感じか。
こんなんだから石系がピュアさを損なうのは、仕組み的には半ば最初からのお約束状態なのだ。

それだけ頑張って配達に回っても留守宅があるかの如く、PA業務用を除き石系Ampの保護回路は不完全だ。
俺過去体験で何度も故障に遭遇したが、瞬間的なのには耐えても無理が継続的になってしまうとオシャカ確定だった。
球では歪みに依る高域成分増加からのツィータ破壊さえ気を付ければ、こう云う顛末には至らない。

因みに石系にも同じ危惧はあるし、壊れてるのを気付かず電源を入れればウーハだって爆破出来る。(当然非推奨でガス)
石系の複雑なのは修理が面倒だがそれ以上に困るのが
、パソコンよりはまだマシも部品のディスコン(製造終了)による修理不能だ。
例え代替品が見つかり物理性能はクリアしても、殊「音」に関しては同じになる保証が何処にも無いので厄介だ。

球は余程変な事をせぬ限り、無理状態となっても単に音が歪むだけだ。
故障も殆どは物理的損壊(球ぶって割っちゃった等)以外は、単なる経年による部品劣化が大勢を占めている。
大柄で振動が苦手なので壊れにくいとは言い難いが、修理上の問題と云えば高電圧にご用心位だ。

すべからく再生ならまだしも電気楽器Ampは楽器の半身で、音を創造しなければならんのだから本件は避けては通れぬぞなもし。
余程の事情が無い限りエレキ用に石(半導体)を買うのは、楽器としての部分を捨てるも同然で金の無駄となる公算が高い。
それだけで済めばまだめでたいが、大抵は球知らずで過ごすと演奏面にも直接的悪影響が及ぶからタイヘンなのだ。

録音現場での今昔比較がこれを表出し易いが、近年デジタル録音オンリーとなって以降は音響周辺機材の球化が著しい。
記録や保存等の都合上録音は現状大抵はデジタルに頼るしか無いが、少しでもその弱点を補おうと時代逆行でもそうなっている。
Micプリやコンプがその典型で、俺が若い頃は直接目にする事が一切無かった現象だ。

その頃の録音はテープ(アナログ)が主流で、誰も望んでなくても録ると生より必ず音がボヤケるものだった。
これはホントの意味で柔らかいのでは無いが、今よりは音が硬くなるEffectorを気にせず済んでたのは確かだ。
実際は苦し紛れの怪我の功名になってただけなんだが…。

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