真実の音質とは② 音質にも色々あるの編
一口に音質と言っても人や場合によってターゲットとなる部分が違ったりするが、一般論では低雑音・ワイドレンジである等が多そうだ。
しかし本シリーズで掲げてるのはちょいとそれとは違ってて、出発点はピアノがちゃんとピアノに聴こえるかってな観点だ。
それもピアノにだってメーカーやモデル毎に音が違うが、それが過不足なくありのままで聴けるかと云う部分についてだ。
楽器を演らない人にとっては単により魅力的だとか、良い音である程心地良いであろう。(人によって「良い」は様々だろうけど)
だがもしそれが何処か途中で少し無理な加工が加えられた音だったりすると、かなり後になってからボロが露呈したりしてしまう。
余程特殊な設計で無い限り、楽器は先ず本体だけで「使える・聴ける」様に作られているからだ。
ここで一番大変なのがバランスを取る処で、気の遠くなる様な手間暇掛けて漸く落し所へ導くのである。
そして必要悪論と似てるのが綺麗な音は「綺麗な音だけ」で構成・成立しない場合が多い処で、時に全体の向上の為にわざと音としての異物を混入させる様な事もあるのだ。
これを一般物理・科学的なだけの尺度で個別に取出して判定すれば、異分子であるので却下・削除されてしまう。
で、それを安易に実施しちまうと「何か物足りない音」になってしまうが、最近俺吠えの「音楽物理・音響物理」と云った論理が含まれぬせいで行くべき先を誤ってしまっているのだ。
取ったらイケナイのをもいだのにそれを顧みず、足りないから何か模造して足しちまえである。
昔は音響機器の性能が今よりかなり低かったので保持したくても削がれるのが多々あったから、やむを得ない措置とも捉えられる。
尤も後付け加工の方も低レベルだったから、目一杯弄っても音の変化割合等タカが知れていた。
特にアナログ式しか無かった頃は弄る度に素材が必ず劣化するので、今のデジタルだけでのみたいに無制限に加工するなんて全く不可能だった。
これの裏を返すと今デジタルだったら、「元の音素材が無問題」だったら変質しないから「加工不要」となるべき処だ。
だがしかし特に本邦では、現に「無理盛りサウンド」全盛となってしまっている。
今に至る経緯を振り返ってみると、デジタル化初期から中期頃迄はまだ性能に弱点があっても加工は少なかった。
これはプロの世界でデジタル化して行った順番も影響してた様で、録音機→Mixer→Effectorと開発時期に差があったからだ。
末端では価格の兼合いで俺みたいにReverb・Delayのデジタル化が先も多々であったが、予算無制限の現場でのメイン使用では上記の順であった。
全デジタルとなって「望む部分だけ無劣化加工」が可能となって久しいが、「正しく用いる」限りは大変有難いもんではある。
ここから問題洗出しへ行くが、では誤った用い方とは何ぞやだ。
それが冒頭から暫くの拙文に記した要素を無視或は忘れる事で、もっと端的な表現をすれば「機械操作とは云え飽く迄音楽を向上させる目的を逸失」となる。
それには機械より音楽の理解度の高さが必要だが、本邦の特に企業系では誤った分業化の為にそれが犠牲となった模様だ。
前にも触れた俺の専門校体験はもう30年以上昔だが、既にその時点で適正教育は施されて無かった。
俺の学校には音響分野は俺の行った音響工学科と音響芸術科の2つあったが、どっちにも音楽の授業は皆無だった。
システム上専門学校は期間が2年しか無いので量的に厳しいが、音楽の付いた科が他に無かったからにはこれではロクなのが育たなくても仕方無い。
実際出た学校とリンクする業種へ就けた者は、俺みたいに皆個人で音楽を結構突っ込んで演ってた奴だけだった。
残りの3/4で少しは関連のある電気関係に行ったのが1/4と、つまり卒業生の半分は全く無関係な所へ追いやられている。
近年では余りの人材難に懲りたか教育状況に変化がみられるが、彼等が主戦級になれる迄にはまだ時間が掛る。
また体験からの実感も含むが幾ら想定しても、実際の生活が懸かった現場とそうでないのとの差を完全に埋めるのは不可能だ。
それにはプロの現場に「知ってる」先輩が居ないと教わり様が無く、これを含めると数十年先迄トンネルが続いてる事になる。
だが俺はここで只悲観論を嘆こうってんじゃなく、だったればこそどうすりゃ良いのかを訴えたいのだ。
先述の企業系の行き過ぎ錯誤経済追及は本来有能な者への低評価又は追出しとなったので、現在有名所には余り猛者が残っていない。
だからってクビと同時に皆死んじまったでも無いから、マイナー小規模となってもどっかで仕事してる人は結構居る筈だ。
そんな人の多くは安定した高収入よりやりがい追及へシフトしてそうだから、「流行りには縁遠いがかなり良い音」みたいな部分で見分けが出来るだろう。
妙だし乱暴だがもしアナタが「流行命」なら将来の希望は捨て、なるべく大手に何とかして潜り込めばよか。
ばってんどんどん減少するCD売上げ等からも分かる通り、今の売れ線は将来は確実に不要品扱いされるだろう。
1億歩譲って現況J-POPが最高峰としても、それだけ沢山聴かされりゃ何れは飽きてしまうのが明白だからね。
今ガッポリ稼げてる者以外にとっては、今の以外で儲かりそうなのを探さなきゃ仕方無いのよ。
昔からそれは不変だけど違って来たのは何処でヒントが得られるかで、今はマイナーな処になればなる程美味しいのが転がってる筈だ。
たまたま子供の同級生にDAOKOさんってのが居るが、彼女は極端な家内工業から出発した様だ。
最初から容姿には少し恵まれてる方だったが当初は独自性以外に売りは皆無で、まだ全然若いけれど紅白に辿り着く迄7年以上経っている。
今後どうするかは不明だが現時点迄その独自路線は堅持してるので、ある意味「粘り勝ち」って事である。
俺自身は打込みより手弾き指向だが現況の曲のレベルは、ボカロ系が大手人手系より数段優れてるのがハッキリ分かってしまった。
これも先述と同様に力に自信のある者は、勘違いし捲った大手を敬遠した結果と受け止めている。
件の「音質案件」では今ん処ハッキリした現象は表れてないが、時間の問題となるのは確実だ。
何しろ大手は「儲からなくなったら辞めちまう」んだからさ…○×△□!?。
<つづく>
« 真実の音質とは(演出過剰への懸念) | トップページ | 真実の音質とは③ 音質にも色々あるの編Ⅱ(電気楽器) »
「音楽」カテゴリの記事
「PA」カテゴリの記事
- 音楽備忘録1571 オーディオ等のスペック偏重に潜む罠⑫(2023.12.04)
- 音楽備忘録1567 オーディオ等のスペック偏重に潜む罠⑪(2023.11.30)
コメント