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2018年12月15日 (土)

真実の音質とは⑪ 音質にも色々あるの編Ⅹ(高音質化の弊害)

音が良くなるのはとぉっても良いんだが、奏者側に全てプラスに働いてくれない部分も少しある。(ボロがバレ易いって意味じゃ無いヨ)
今の音楽再生はほぼ必ず電気に頼っているが、もしかしたらそのせいで機械寄りにチューンナップされ過ぎたのかもと時々思わされる。
特に録音物だと演った人の耳より、聴者の方が著しく明瞭・細密に聴き取れたりしている。

当然マトモな奏者ならそれを見越して奏ではするんだが、演奏時に「聴こえない分」迄完璧になんかコントロール等出来やしない。
大工さんが加工中の木の状態を良く見乍ら少しづつ削って行くのと同様、奏者は自らの耳からの情報に従って加減してくもんだ。
なので未確認だがもしかしたら、超絶に上手い奏者程その実力を発揮し損ねてるかも知れぬ。

こっから俺的サンプルを挙げて行くが、かつて俺のバカ耳(ホントは頭の方!?)が騙されたフレージングについてだ。
主に俺が10代だった頃の事だが、一部のスネアのゴーストノートがバスドラムだと捉えちまってたのがそこそこあった。
当時俺はドラマー以前だったのもあろうが、従兄の太鼓の先生に証拠付きで諭される迄自説を信じ込んでたりした。

CDが出るか出ないかの
当時に俺はレコードとその針の消耗を嫌い、普段はカセットテープに録ったので聴いていた。
これは当時の時点でも言わば「中音質」って感じのレベルだったが、極一般的な方法だった。
これは音楽を楽しむ自体に支障は皆無だったが、一度コピーしようと思って聴くにはかなり難儀させられる音質だった。

思い切ってレコードを聴くにしても超高級プレーヤは持ってないし、スピーカ・ヘッドホンにしたって高価過ぎて業務レベルのは大金持ち専用。
そもそも再生側はオールアナログだしで、楽しむには結構だが分析には不適当だった。
スピーカは今でも高嶺の花だが、ヘッドホンに至っては高級素人用の方が桁違いに高価となったのには隔世の感ありありだ。

その1:ToTo-Goodbye Elenore
当初当時の俺耳には太鼓の基本リズムは、ドドドタンッと認識されていた。
実際はド3つの真ん中はスネアのゴーストノートなんだが、楽器の種類とかどうのこうのを除くと感覚認識としては必ずしも間違いでは無かったのだ。
それ迄耳にしたシャッフルの殆ど全てはこう云う場合ドットタンッだったので、それと一線を画して聴こえた処が大事だし。

恐らくJeff Porcaroもその「新しい味」若しくは「Porcaro流」を、狙ってわざわざそう叩いた(踏んだ)んだと思われる。
これに関し演奏家のみの視点では「どれで出してたか」は重大問題だが、音楽家視点だとどれで演ってようと「そんな風に聴こえる」のの方が重要なのではと思うのだ。
それ次第で曲の基本リズムの印象が、大巾に「違っちまう」んだからさ。

これをもし今ので録音したら比較的誰にでも簡単に解析出来そうだが、余程苦労して手を掛けないとスネアとバスドラの音が違い過ぎて同じ効果が得られなさそうな気がする。
俺個人の解決方法では全くの偶然でバスドラをSlide Tripleにして「嘘を真」ってなりそうだが、現時点では出来る奏者が著しく限られ一般化には程遠そうだ。

その2:Hi Recordsの打楽器「隊」
昔からドラムセットとコンガの併用は良くあったが、Al Greenのを筆頭にこちらさんのはちぃっとばかし変わっていた。
スネアのバックビートと同時にコンガの低いのをオープンで鳴らすが、同時以外はコンガでその音は基本的に出さないとなっている。
これが貧乏レーベルだったからか独特のLo-Fiと相まって、あたかもTomにスナッピー(響き線)を張ったかの様な音に聴こえるのだ。

この他にも2Tomドラムセットの一番小さいTomだけシングルヘッドにして、端っこ寄りのオープンリムショットをしてティンバレス擬きの音なんてのも。
後年は本物使用かもだが、演り始めはAl Jackson Jr.考案!?のこの方法だった。

一般聴者には今迄聴いた事の無い「変なSnare」と聴こえ、多くの場合
小節それが出て来るんだからもう効果絶大だ。
俺はこれを小学生になるかどうか位で初めて耳にしたが、一発で完全ノックアウト・以来そのまま続いている。

現代でも「不要PA無し」で生演奏すればこれらのマジックは可能だが、録音では殆ど使えなくなったと感じさせられている。
本来なら音楽は表現や表情が最優先で、分析等「聴いて楽しむ」のにはどうでもいい部分だ。
だが音響の進化の方向が音楽的には誤ってしまったか、現代の状況ではあべこべ気味だ。

かつては奏者にとって演ったものが全部は記録されなかったから、兎に角全部聴こえるに拘り気味だっただろう。
しかし意図的に曖昧・うやむやに演るのも一杯あって、そこがハッキリ聴き取れて欲しいとは望んで無かった。
それが何時の間にか妙な具合となって来て、つまりボケた音しか出せない程度の腕前の主のでも聴き取れる様になっちゃったっと。

最初のは機械のせいだが次のは俺は奏者にも責任ありと感じてて、「ボケてるのはボケたままに」って要望を誰も出さなくなりゃそりゃあねって。
これの何がヤバイってのが上記等の例で、生演奏系特有の折角の「魔法」が減ったんじゃオモロイのなんて演れる訳無いやんとなるのである。

近年J-POPでの異様な一体感無理創出はある意味この問題への対策なんだろうが、目立つべきとそうでない音の落差が殆ど犠牲になっいる。
フレージングが先かサウンドが先か或は同時平行かワシャ知らんけん、表裏みたいなのが出せないからって全部表の音しか無いつまらなさは絶品…。

これが特にポピュラーだから「あきまへん」おすが、刺身と妻の大根が同一階級ってのは主役侮辱で御座居まして。
良い意味での分かり易い音楽とする為には、横一列並びでは対象が多過ぎるんですよ。
折角性能向上で聴き取りが劇的向上してんだから、昔より「後ろに居るヤツ」だってもう皆に
ハッキリ見える様になったんだけど。

強いて比喩すればマンガの癖に線が細かすぎて却って見辛いみたいになっちまいやがって、そっちは地獄で逆が天国行き方面なんすがねえ。

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