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2018年12月21日 (金)

コンプレッサー(リミッター)の話し⑥ Bass編

前回アンサンブル的な音量バランスが得られるのは、手加減しか無いのを述べた。
これのエレキGuitar以外のについてを前半で、その中で生では無いのに一番面倒なBassのを後半に記して行こう。

確実性の面で人力より機械を選びたがるご時勢だが、録音の場合は機械が単純作業の場合にしか同じ様にはなりません。
しかも奏者自身が機器に詳しくてその設定からやれるならまだしも、技師頼みでは正確伝達の困難さ+手間が掛ります。
機械本願は弾く時間は最少になるので一見楽に思えるけど、実は単なる「気のせい」で御座候。

録り直しは部分的でも特に他人からの指摘だと滅入るもんだが、「まだやり直せる」「もっと良くさせられる」もあるから負けちゃ駄目よ。
そもそも今みたいに幾らでも弄れるったって「録った元のを」だかんね、元が良い程結果が良くなるを忘れんでちょーだいな。
では人力推奨を推す訳を以下に。

先ずはリズムのタイミング修正問題からだが、確かに今ではPCを駆使すれば「それだけ」なら自由だ。
だが前後の繋がりが他と違う感じとなったり流れが急変したりの弊害があるので、それを気にせん位なら打込みを選択する方が手っ取り早い。
打込みなら人力比較では不自然だが、一定の状態が続くって点で流れが阻害される事は無いのでね。

次に音程修正については微小レベル以外は上記と同理由で、音程が直っても余韻が変化したりするからやはり実質的には制限付きとなる。
だいいち絶対にLiveで演らない曲でも無い限りどうせ後で演るんだから、結局は正しく演れる様になっとく必要が無くならない。
ケチって先送りする意義はとても低いと思うし、箇所次第でパンチイン・アウト(部分録り直し)も可能ですし。

機器の発達と人の様々な事情等もあって曲の一発録りは大変だが、バランス以外の点でも音楽的に最有利なのは今でも不動だ。
なのでバラ録りするにしてもこれを念頭に置いとくのが重要で、1人で弾く時も頭の中では皆にも弾いて貰っとく感じで演らないとゴールが遠のく。
メンバー全員で演った時のを、しっかり記憶しとくのが前提となる。

映画やドラマの演技で「いかにも相手役が眼前に居るかの様な」ってのがあるが、音楽でも同じなのだ。
この手の演技力が不足してたなら、一緒に演らなければ確実にクウォリティが低下するのは覚えておこう。
尤もある程度の体験と時間は要るが上記認識を持ててたなら、これの習得は誰にでも可能なので心配する暇にもう一回演る様にして行けば良い。

そろそろお待ちかね!?のBassへ行くが、近年世間では錯誤による音量一定のが好まれてる様だ。
この錯誤と言ってるのはBassと言われると単体扱いしてしまう処で、音楽での役割を忘れなければ「アンサンブル内で必要量を安定供給出来てるか」なのに気付けるだろう。
つまり周り次第で単体では必ずしも一定にはならず、却ってその方が全体で聴けば何時も同じ割合で聴こえるのである。

ここで割合に拘るのは曲のコード(和音やキー)に影響するからで、これに問題があるとハーモニー迄台無しになったりするからだ。
逆視点では例えBass自体は聴こえ方が曖昧な感じでも、これ等が達成されてるならアンサンブルとしては寧ろそっちの方が合格だ。
この辺がメロだけとか雰囲気だけが目的のパートとは大違いとなる処で、個人(単体)視野は却って邪魔な位だ。

現に近年俺体験でもウチのギタリストがこれを把握し切れて無く、未加工の太鼓にわざわざ合せたのの意味を未だ理解出来ていない。
後でコンプにしても最初からバランスしてるのとそうじゃないのでは違いが出て、音量が揃っても音色が揃わなくなってしまったりするからだ。
俺はこの事態は彼が生楽器での録音体験が少ないのが原因と推察してるが、その点エレキでも特にBassは殆ど生と同じ扱いと捉えるのが良さそうだ。

そもそも(Ⅱ)只弾くに際しスラッピングと指を併用する場合等無配慮で無造作に演ると、同一音量なのに低音の含有量が変化し過ぎてBassパートとしての機能に支障したりする事がある。
確かにコンプの高等技駆使でBassの音程域を取り出したので「掛り方」の指令を出せば、それなりの安定度は得られる。
しかしそれをやると
今度は倍音の含有率が不自然に暫時増減を起こしたりで、音色が不安定になるから機械で両立は困難だ。

他の楽器だってこの要素は皆無じゃ無いが、Guitarで深く歪ませたりしてるとかなり緩和される。
この不安定は安定を求める際は面倒な性質でしか無いが、裏返せばそれだけ可能な表現巾が広いって事だ。
GuitarでもスラップはあるけれどBass程リズムの強弱表現は出来なく、これも安定第一なら今は打込みにすれば一発解決だ。

他楽器でも安定には打込みはご同様だが、「不安定=表現巾の広さ」必要時には打込みは非対応なのだ。
Bassで後からの機械で補填出来るのは小幅の一点のみと思っとけば間違いが無く、大幅加工をすると「弄りたく無い処」まで一緒に他所へ行っちまう。
なので妙な表現だが少なくとも初期段階には「大雑把でも良いから大違いは無い」のを目指すと良く、要修正箇所が多過ぎると弾いたのと別物化するだろう。

これが出来る様になった上で先述の演技力も持ててるなら、細心の拘り弾きで数か所のミスは部分録り直しの方法が初めて有効になる。
とは言えもしポピュラー系ならそこ迄じっくりBassを聴いて貰える事は滅多に無いしで、単体ではなく全体としての流れが確保出来てりゃ大抵は大丈夫だ。
下手な拘り方をするのは一般聴者には無意味だし、土台が神経質な感じだと聴者は何となく不要に緊張させられたりするもんだ。

また本邦では「Bassは指弾き」神話が根強い様だが、俺的にはこれはノータリン思考だ。
これホントに脳足りんで、一部の偶発を全てと誤解したのが源と思われる。
上記の様な「役割上の責任」を維持出来てたのが偶然指弾きに多かったのか、指でさえ弾けばと錯誤短絡思考されたのだろう。

実際は何で弾こうと役割意識が足りなけりゃ、「サビは良いけど他が何か音程感が足りないな」等となってしまうだけだ。
これを必要なだけ分かってればこそシンセベースなんてのも成立してる訳で、本来Bassパートに楽器の種類何ぞ一切無関係ってこった。
さもなくばBassレス編成なんて絶対不可能でしょ、実際は誰かどれかがコッソリとそれを担ってるから気付かなくても聴けちゃったりしてるのさ。

何かの楽器を演奏して音を出すってのは、結局最初は人力だ。
だからそれを忘れちゃお終いよぉだが、これの影響度は楽器の種類次第で差があるかと思う。
独断だが参考例として例外を除けば、
①生は100%
②基本的には歪ませない電気楽器70%
③歪ませる電気楽器や出音変化巾の小さい電子楽器40%
って感じだろうか。

因みに電子楽器でも表現巾の広いのだと、例えばデジタルシンセのサンプル音源のだったら殆ど生のつもりで△まで持ってける。
これの△から○への不足分は「本物との違い」で、一旦生のつもりで演って変だった処を奏で方等で修正って寸法だ。
楽器の種類って先ずは音色だが、結構「奏でられ方」が原因でそう聴こえる部分もあるからねぇ。

先の指弾き神話にしてもそうで、「次の音を出す準備で弾く前に指が弦に触れる」ってのがある。
これ音的には弦が動けなくなるからミュートになるんだが、タイミングが良いとあたかも「自動ミュート」となるのだ。
低音域となる程音の鳴る・鳴り止むの挙動が鈍くなるが、それ故無作為なレガートは明瞭度を損ねてしまう。

寧ろ必要時以外は次を出す前に止める意識が必要で、特に次音が他の弦へ移動する場合は顕著に表れる。
Guitarと同感覚で演ると止めたつもりが実際には間に合わず、次音の頭と被って濁ってウェーキッタネーとなりがちだ。
両手で急いで抑えてもBassの弦は長いから、何処かに震えが残っちまっておいそれとは止まってくんないもんだ。

んでお題へ帰結するんだが、特にこの部分は機械は担当外なのですわ。
何つったって例えば2弦と3弦が間違って一緒に鳴ったのも、録音では単一トラックに一緒に記録されますよってに。
後処理可能化には4弦のなら、弦別に4トラックでの記録が最低条件。
しかも隣の弦のクロストーク(音漏れ)ゼロが必定と、そんなんでやったって話し訊いた事おまへんで。

太鼓にマルチ録音があるのにBassに見当たらないのもこの辺で、弾き直した方が良いからってのがあるんでしょうな。
太鼓だってマルチにした処で大した分離度にならないが、「被ったら駄目」が滅多に無いのがBassとは違ってるね。
特に高性能なエレキBassはサスティーンが抜群だから伸ばしたい時は良いが、ミュート命って位気にして無いとすぐ被るよ。

それと比べりゃ太鼓はどんな高性能でも、すぐに減衰して音が小さくなるよね。
歪ませエレキGuitarでも格別にメロが明瞭なのは、やっぱりこの現象を意識して回避されている。
その点一度に1つしか音が出せない楽器は、明瞭度が最初から保障されてる様なもんだ。
管楽器の速いパッセージなんかも、これが理由でしょう。

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