真実の音質とは⑥ 音質にも色々あるの編Ⅴ(エレキベース)
最近では機器性能向上で昔より随分楽になったが、音域が端っこへ寄ってるヤツはその分録るのが大変だ。
この点でだと太鼓よりBassの方が面倒なのは、元音の低音含有率が格段に高いから。
特にエレキだと顕著で、うっかり減らし過ぎたら違う楽器に聴こえちまうんだから。
少々順番が不親切となるがここで、俺体験の収音の難易度を記しとこう。
使える道具(主にMic)にもよるが、栄えある第一位に輝いたのは和楽器だ。
西洋のと違い近年のでも基本的にMicの事は無視した設計なのもあるのか、特にOn Micだともう大変。
大昔従兄ん処がLive Houseだった時に三味線のPAをやらされたのがあったが、現場環境的にOff Mic不可・コンデンサ無しとお手上げだった。
だからって中止には出来ないからコーラス掛けて誤魔化しちゃったっけ、兎に角ポピュラー系での普通の方法では実際より音が硬くなって仕方無かった。
第二位は音量と音域の広さでドラムセット、その次が今回のBassである。
Liveと録音では違いはあるが、耳に優しい低音も技師のお手てには優しくないのであった。
Liveでは残響からの影響が録音では低域の拾い損ねが第一問題となるが、Liveで特にPAと併存させるのが一等厳しさを呼ぶ。
太古の昔且つ幸運な偶然でも無い限り、Bass AmpとPAのスピーカは当然「違う物」になるから性質も異なって来る。
これは意図しない違う音を同時に鳴らす事となるので、奏者にしても技師にしても中々思った様になんか操れたもんじゃない。
ここから特有部分へ絞って行くが、指弾き・スラッピング時の「タッチ感」についてだ。
楽器の楽器側条件として弦とPickupの特にポールピースが近い程得られ易く、Amp側では中低域を増やすと得られ易くなる。
けれど音程感の明瞭さとは敵対関係となる部分があり、Amp側だけで対処するのは無理気味だ。
また「少し意外な現実」があって、感覚的には理屈に反してLineよりスピーカ録りの方が好結果が出易い様だ。
コアヲタ表現すれば「スピーカのコーン紙が動く時の雑音」が加担してくれるらしく、音程(ほぼ認識不可)・音域共楽音とは割合隔離している。
しかし雑音って位もうまともな音じゃないから、これを丸々Micで捉えるのは大変だ。
過去例でこれに秀でてたのが大手Studioで録られた、Fender系Bassのモノに多い。
楽器の方は以前に記した如く「得意」であるが、大手のハコってのに重要なのが含まれている。
ここで云う大手とはあらゆるジャンルを扱ってるの意も含み、何にでも使える高性能Micがどっさり用意されているのに繋がっている。
何人のどんな編成となるか不明・未定なので専用Micは最低限として、何でも行けるのを大量保有となってたのだ。
単純理論的にならBass実音の最低部迄扱えればOKなので、この俺言い「古代大手式」だと一見Micはオーバースペックだ。
どっこい生で聴いた時にはそれ以外の音も量は大抵僅かだが含まれていて、電気楽器の生ってのも妙だがAmpの次は人耳と解釈しとくれ。
しからば生と同じ音を求めたら人耳と同等以上の性能がMicへ求められるが、だからBassさえと思ったら大抵は不足してるのだ。
更にコアヲタ突っ込みすれば低音を爆音再生すると大抵振動も伴うが、それ故せめて音だけは全部拾わないと生耳に惨敗するのだ。
それなのに近年はとある事情でこれがやり難くなって来た。
アナログ時代は原理的に音が無くても常に雑音があって当り前だったから、生耳から足りなくなってるのがあるとそこが真っ先に気になっていた。
それがデジタルとなると真逆になってじっとしてれば無雑音って位だから、生耳より「何か余計な音」に対して敏感になってしまう。
よっぽど勇気を出さないと、誰でもやたらと極僅かな雑音が気になってしょーがなくなっちゃうのだ。
それとBass Ampだって進化してるも主にスピーカがネックになって、Lineの方が楽器が出した全部を拾える様になってしまった。
本来電気楽器はAmpを抜いたら半人前なんだが、先述楽器Ampはオーディオ性能より楽器性能優先なので若干ノイジーだ。
主にホワイトとかピンクノイズと呼ばれる類のだが、弾いて無い時の雑音なだけにデジタル収録だと余計に目立ってしまう。
ノイズゲートで隠す等の手もあるがそれにしたってそれ以前に、高級なAmpとMicの両方の準備が要る。
尚場所に依っては爆音で狭い部屋の何処かが共振して雑音を出したりするし、太鼓よりは楽器から出る音が長いから雑音も長くなってどうにも許容し難くなる。
Bassは低音中心だが部屋雑音は大抵高域成分が多いのもあって、楽音で雑音をマスク出来る可能性はほぼ無い。
この件は大音量低音楽器ならどれにでも付いて回るが、同時に鳴る高域量が他より少ないBassの時だけ目立ってしまう。
この様にAmp→Mic以外に低コスト・高確実性な方法があるとなると、商業性のある場所では採用し辛いのも仕方無かろう。
けれども本来は「もっと指で触ったまんまが出て来ます」を知り辛くなってるのは、由々しき問題だ。
それでか近年は奏者側の問題点として、ピッキングが小さ過ぎる人が増えた様だ。
電気楽器は感度を上げれば触れただけで爆音を出せるが、弦の動きが小さくなる程「どんな方法で得た低音か」は判然としなくなって行く。
これは一般論のとは違うけれど倍音の減少に直結していて、倍音は楽器の種類・特徴・弾かれ方を担ってる要素なのだ。
これが又単独時は未だしもアンサンブルへ入るとその差が大きく響いて来るが、近い或は同音程の違う楽器が現われる場合もあるからだ。
だから太い・強い・鋭い等の成分は機械より手に頼るのが有効で、草臥れるけどツマミを上げる前にしっかり弾かないと結局は貧相となってしまうのだ。
最近恒例化させつつある天の声コーナーだが、残念だが今回はちぃと渋く悲報気味だ。
スピーカレスでタッチ感を補うのにコンプが乱用されてるが、その補填度はスラップで50%・ピックで30%・指では15%位がせいぜいってのが俺の体験的見識だ。
スラップで半減するのはアタックを目立たせると、その代わりに基音が不要に小さくなってしまうから。
ピック・指でアタック部の効果を大きくするには「コンプのアタック」をかなり遅めねばならんが、それでは全体に余計な癖が付いてしまう。
コンプだって他の機器も動員すればもう少しは対応が向上するが、電気の機械に「何の音か」の判断力はAI化でもせんと持ち合わせが無い。
大体余りにこれらが大掛かりになれば手間暇経費もバカにならず、弾けるんだったら弾いた方が手っ取り早くなる。
全く頭を使わないでいたら上達しないかもだが、そうじゃなければ弾けば弾いた分腕も向上するしね。
状況次第で妥協が要りそうだけど、先ずは弾くの自体で何とかするのがお勧めよ。
効果の「度合い」が偽手段とは違って絶大ですから。
処で結局はどれでも「先ず演るので何とかせい」ばかりで、如何にも昭和非論理的と思われるかも知れない。
現に俺は昭和生まれのオッサンだが、寧ろ理論に基づくとこうなってるのだ。
電子楽器みたいに演奏は「音を出す指令」だけなら未だしも、それ以外の楽器は時に変身させたりはするが人が鳴らしたのが出て来てるだけだから。
変化量が多かったり先述の様な原因で体感し辛くなってるので、一度でも良いから電気楽器の基本的ダイレクトを是非体験して欲しい。
因みにダイレクトボックスとの誤解を避ける為に「基本的」って付けといたが、楽器本体をそれだけで完成品の音創りが完結出来るAmpへ繋いでね。
クドイがこの場合はAmp内臓EffectorもONにしちゃ駄目あるよ。
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